電気を消すと現れる女性のお化けを描いたホラー映画。家の中がお化け屋敷になって、登場人物がキャーキャー言うだけのよくあるアメリカンホラーで、怖いというより笑えてくる話。37点(100点満点)
ライト/オフのあらすじ
電気を消して暗闇になると現れるという不気味な何かに恐怖を抱く弟マーティン(ガブリエル・ベイトマン)を守るため、レベッカ(テリーサ・パーマー)は久々に実家に帰ってくる。二人はたくさんのライトを用意して夜を迎えるが、次々に明かりが消え暗闇からえたいの知れない何かが迫ってくる。狙われる理由もわからぬまま不安な時を過ごす中、レベッカの一家に隠された秘密が明らかになり……。
シネマトゥディより
ライト/オフの感想
ユーチューブやVimeoで公開されたスウェーデンの短編映画の長編リメイクです。
「電気を消したら姿を現すお化け」というアイデアに頼っているホラーでストーリーは後付け、という感じがすごく出ています。
いちおう「ソフィーがかつて精神病棟で知り合い、若くして不慮の事故で亡くなった友人ダイアナがソフィーの側から離れず、やがて彼女の家族にも危害を加えだす」というストーリーは用意していますが、要するに暗い家の中で幽霊に脚を引っ張られたり、手を掴まれたりするコテコテのお化け屋敷映画です。
光を嫌がるお化けダイアナに対して登場人物たちはライトを当ててなんとか抵抗しようとします。その光景はドラキュラに十字架を掲げて抵抗する、過去にどこかで見たことのあるホラー映画の登場人物と同じ構図で、一見アイデアが新しいようで、やっぱり借り物という感じが出てしまっています。
ソフィーの娘レベッカはイケイケな若者で、鬱病の母親とも弟とも長らく疎遠にしていたぐらいなのに急に家族思いになって命をかけて彼らを守りだす下りはよく分かりませんでした。
それにしてもレベッカの彼氏に対する態度はクズでしかなく、行為が終わったらすぐに彼を家から出し、学校までわざわざついて来てもらっておきながらちょっと非難されるとすぐに「帰って」と言って追っ払い、また必要になると呼び戻すという、ありえないわがままなキャラでした。
どちらかというとお化けのダイアナより、僕的にはレベッカのような性悪な生身の人間の女のほうがよっぽど恐ろしいです。あれはレベッカを徐々にヒロインから悪役に変身させたほうが面白かったと思います。それでお化けダイアナが不憫に思って家族を守りだすとかのほうが意外性がありました。
それにしても次から次へと同じようなホラー映画がハリウッドで製作されますね。それだけホラーは興行的に利益を上げやすいからでしょう。
だってハリウッドホラーの出演者は無名の新人俳優であることがほとんどでギャラは安くすむし、本作のようなお化け屋敷映画なら室内でほぼ全シーンの撮影ができるので低予算で作れるからね。
それでも話題になれば大ヒットする可能性は十分なので「死霊館エンフィールド事件」、「ザ・ボーイ ~人形少年の館~」、「アンフレンデッド」のような映画が後を絶たないんでしょう。ただ、もう完全にいくつかのパターンができあがってしまっているため、同じようなやり方では今から視聴者を恐怖のどん底に陥れるのはかなり困難でしょう。
むしろホラー映画こそセンスのいい監督がメガホンを取り、ちゃんと演技のできる実力者俳優が演技をして、しっかりとした脚本がないとダメなんですよ。ああ、誰かホラー映画でゾッとさせてくれないかなあ。
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