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「二郎は鮨の夢を見る」は日本らしい職人映画!ネタバレと感想

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jiro

銀座の名店「すきやばし次郎」の大将、小野二郎さんの日常を追ったドキュメンタリー。外国人監督による外国人目線で寿司の奥深さと職人芸を伝えている優れた記録映画で、本来なら日本人監督が撮っていなければおかしい作品。68点(100点満点)

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二郎は鮨の夢を見るのあらすじ

銀座に店を構える「すきやばし次郎」の店主で、大正14年生まれのすし職人・小野二郎さんが握るすしは5年連続で「ミシュランガイド」三つ星を獲得し、大きな注目を浴び続けてきた。その味に魅了されたアメリカ人監督のデヴィッド・ゲルブが密着取材を行い、二郎さんの職人としての姿勢や、父を超えようと精進する2人の息子や弟子たちとの師弟関係を映していく。

シネマトゥディより

二郎は鮨の夢を見るの感想

またしても外国人監督に日本の面白いテーマを持っていかれた、という映画です。

カメラは銀座の有名すし店の料理人小野二郎さんの寿司に対するこだわりと日々の鍛錬を芸術的な映像で映すことに成功しています。小野二郎さんのインタビューシーンをはじめ、料理シーン、市場の競りのシーンなどがとにかく絵的に格好いいです。

寿司について、寿司職人について表面的にですが、その奥の深さを外国人に分かりやすいように説明しているため、海外にいる外国人寿司職人にぜひ見せてあげたくなる内容でした。特に僕の住んでいるブラジルの寿司職人なんて2週間ぐらいの講座を受けて、すぐに包丁を持ってレストランデビューするぐらいなので、ろくに魚のことも分かっていない人がほとんどで、適当に鉢巻を頭に巻いて、「いらっしゃいませぇええ」って言っておけばいいんでしょ、みたいなノリでやっています。

それでもレストランではドヤ顔で握っている奴らが多くてまじで困ります。寿司屋に行ったら、「今日はマグロはありません」とか平気で言われます。ブラジルのメインはチリ産のサーモンです。そのためブラジル人はサーモン=寿司だと思っていて寿司の種類なんて2,3種類しかないとほとんどの人が思っています。

そんな馬鹿野郎たちにこの映画は最高の教科書になるので、ぜひ世界各国の寿司職人講座で流すべきですね。それにしてもとても日本独自の文化を感じさせるテーマで、小野二郎さんを追いかけることで、面白い映画が出来ることに気づいたのが日本の映画界ではなく、アメリカだったという点が残念でなりません。

おそらく日本人の多くはこの映画のなにがすごいのかすら分からないでしょう。なぜならどういったものがそもそも日本らしさなのかを日本にいると忘れるからです。邦画業界の人間たちですら、日本の日常の面白いテーマに気づかない現象が起きていて、取り上げることといったらアメリカナイズされまくった物語ばかりです。

かといってじゃあ日本人が海外のことをテーマにあげたらうまく描けるのかというとそうじゃないから残念なんですよね。日本の良さも気づいていないし、海外についても知らないから、海外を舞台にすると「かもめ食堂」のようなとても見られたもんじゃない映画になるんです。

すごいと思いますよ。あれだけ頑固そうな親父を口説き落として密着取材して、一本の映画を撮ったんだから。それも外国人が。

小野二郎さんの職人魂はたまらないですねえ。90歳を超えても、働くペースは昔から変わらず毎日ひたすら全く同じ作業をするそうです。決まったことを決まった時間にやる。ひたすらシンプルを極めていく。長く続けられるというのはそういうことなんですね。まさに職人です。

小野二郎さんに対する市場の人たちのリスペクトも半端なく、小野二郎さん本人も魚については彼らが専門家で自分よりよく知っていると認めています。米の仕入れ先の社長はハヤットホテルに米を売ってくれるように頼まれても売らなかったそうです。作る人が米の炊き方を知らなければ美味しくならないから、という理由で。

ああいう頑固さがすごく日本の職人っぽくて懐かしいですねえ。プロたちがお互いに敬意を払って、こだわり抜いて仕事をしている、ああいう姿に日本文化を感じます。

特に僕のようないい加減な人間は、忍耐もないので10年間見習いをするといった世界では到底やっていけるはずもなく、自分でやるのは勘弁願いたいんだけれど、ああいうこだわりの世界が存在することには少しほっとするんです。じゃなかったらみんな寿司職人が外国人になっちゃうからね。

ちょっと前に寿司屋で10年修行するすべきか、寿司スクールに通って短期間ですぐに店を出すべきかというのが日本で議論になっていましたが、僕はどちらもありだと思っています。ただ、前者と後者を同じ寿司として出すのはどうかなとは思いますね。

前者が寿司で、後者はアルファベットでSUSHIって表記しないといけないとかにルールを決めてもらいたいです。店名やメニューに漢字を使うのには最低でも何年か修行して「資格」を有していないとダメみたいな。ブラジルの寿司屋なんて「寿司」を名乗ってもらいたくないんですもん。作ってる奴らも適当なら、食べてるお客もコーラ飲みながら、焼きそばと寿司を一緒に食べてるからね。死ねって話じゃないですか。

いやあ、それにしても日本はまだまだたくさんいい映画のネタがあるのに誰もそれに気がつかないんだなあ。まじで最高のネタをアメリカ人に横取りされましたね。寿司だけに。

コメント

  1. Aiu より:

    ブラジルの寿司と手巻きにはびっくりしますね。サンパウロには数軒まともな寿司屋があるようですが、ここで高いお金だすくらいなら我慢してお金ためて日本ですきやばし次郎に行きたい、と思わせられる予告でした。いつか観てみたいと思います。
    日本を題材にした日本のドキュメンタリー映画で思い出したのが「わが心の歌舞伎座」。歌舞伎に詳しくない方が観てどう思われるかは分かりませんが、私はとても好きでした。邦画ですし、文句を言われるのはつらいのでリクエストはしませんが、もしまだご覧になっていないようでしたら、機会あれば観てみてください。
    今秋には築地を題材にしたドキュメンタリー映画ができるようなので期待しています。海外にもっていかれなくてよかったです。。。

    • 映画男 より:

      Aiuさん

      この映画はブラジルのネットフリックスでも見られるのでぜひ見てくださいね。「わが心の歌舞伎座」は機会があったら視聴して文句言っちゃいますからね。

  2. Aiu より:

    見ました!映画の中でも言われてましたが、回転寿司など手軽な店が増え、日本人にとってもこのような本当のお寿司屋さんに対する憧れや理解が減っているように思うので、日本人にもたくさん見てほしいと思いました。寿司職人の仕事もですが、撮り方が芸術的でしたね。一瞬出てきた雷門の映像と、フィリップグラスの音楽だけ気になりましたが(フィリップグラスの曲は好きなのですが、私にとっては不穏なイメージに聞こえるので)総じて美しい映画でした。
    サイトを読んでみたら、監督が撮影許可を得るまで相当努力されていたようですね。日本人にそのガッツはなかったかもしれません。日本の食文化に興味を持ち、それほど愛してくれて、有り難いです。

    わが心~は、歌舞伎をあまり知らない方には説明不足に感じられるかもしれませんが、こちらも職人のような世界なので、分からない部分はやり過ごして、生き様を楽しんで見ていただければ幸いです。

    • 映画男 より:

      Aiuさん

      見てくれてありがとうございます。気にいってくれたようで嬉しいです。撮影の仕方は本当に芸術的でしたよね。

  3. みま より:

    初めまして。こちらの映画、youtubeにアップロードされているのですが
    スシローの方が美味いだの、ぼったくりだの、妻子の悪口を書いていたり
    あの臭い東京湾の魚ね~wだの、日本人のお子様たちのくだらないコメントばかりで
    なんだか世も末だなと思っていました。
    こちらのサイトの紹介で、こういう芸術的な職人さんをメインテーマにしてくれた本作に出会えて私は良かったです。
    素直に素晴らしいな、一度は食べてみたいなと思いました。

    • 映画男 より:

      食べてみたいですよねぇ。普通に美味しそうだし、寿司をつくるまでの過程や背景が美しいですね。