「岸辺の旅」の黒沢清監督による、さもいそうな日本の家族の関係性を描いた物語。あるあるネタ満載の人間ドラマです。63点(100点満点)
トウキョウソナタのあらすじ
サラリーマンの佐々木竜平はある日、会社からリストラされてしまう。しかし家に帰ってもそのことを家族に打ち明けることができず、秘密にしたまま普段通りの生活を続ける。
そんな中、長男の貴はアメリカの軍隊に行くと言い出し、次男は給食費をねこばばしてピアノを習い始める。妻の恵もこらえ切れない苦悩を抱え、家庭は徐々に崩壊していく。
トウキョウソナタの感想
日本的サラリーマン家族の風景を綴ったドラマ。長男を除いた家族全員の演技が良く、とても日本的な部分を感じさせてくれる全体的には良質な映画。
ただ、序盤、中盤まで「いやあ、いい映画だなあ」と思って見ていたら、役所広司の出演シーンを境にボロが出始め一気に質を落としてしまったのが惜しかった。なぜあそこまでずっと現実路線で進んでいたのに急に脱線してしまったのだろう?
恵を失踪させたかったのは理解できても、なにも強盗と一緒に逃亡させる必要はなく、役所広司の人物設定がこの映画の評価を下げる致命的なミスになっている。
強盗と一緒に海に逃げて、小屋で時間を過ごすなんて喜劇でしかなく、あの瞬間から「この映画はフィクションなんで真面目に見なくてもいいんですよ」と言われてる気がした。
個人的には津田寛治の演技が大の苦手です。あの人はマニュアル通りに演技している感じがあって、「今おれはすごい演技してるんだぞ、良い演技とはこういうのをいうんだぞ」というのが全面に出ているのが嫌いです。
津田寛治を見ていても、「こういう演技する人よくいるよね」とは思えても「こういう人よくいるねえ」とは思えないのです。そうそう、役所広司は寡黙で真面目な男以外は演じさせちゃダメです。それ以外は全部アホな感じになってしまうので。
対して香川 照之はどの映画でも安心して見られるすばらしい俳優で、息子たちをしかったり、殴ったり、掴んだりする動きに微に入り細にわたる技術が垣間見られて、尊敬の眼差しで観察してしまいました。
これからはぜひもっともっと外国に映画に出演してもらいです。まあ、色々言いましたが、全体的には面白い映画だったな、と思います。黒沢清監督の次回作が楽しみになってきました。
コメント
私は津田ちゃんの演技、大好きですけどね。今出演している「9係」はもちろんですが、津田ちゃんが出ている作品は映画・テレビを問わず必ず見てます。
具体的にいうと、津田ちゃんのどういうところが好きですか?
参考までに教えてください。
激しく同意します。津田寛治先生の演技はもはや、メンヘラぶり全開としか言わざるを得ないです。
コメントありがとうございます。
津田寛治がメンヘラかどうかは分かりませんが、神経質そうですよね。
少し前に見ました。日本の名俳優香川照之が立派なパフォーマンスしてますよね。
でも性加害の大変なスキャンダルを起こして、表舞台からはいなくなってしまいました。もちろん彼の自業自得だからしっかり猛省して自分自身と向き合い、できることなら、スクリーンでもう一度自然な演技が見たいと思います。日本に数少ない名俳優の一人だから、(その中には安藤サクラも含まれます)才能を活かさないままにするのはすごくもったいないなと。ひどいパフォーマンスをする人しか見られない日本芸能界において彼は貴重な存在だと強く感じます。
香川照之は上手ですねえ