底抜けに明るくて元気な天然女子が数々のトラブルを乗り越える前向きな物語。キャストや演技が自然でリアルです。68点(100点満点)
ハッピー・ゴー・ラッキーのあらすじ
30歳のポピーは能天気な独身女。小学校で教員をしている彼女は、親友とアパートをシェアし、ときどきトランポリンやフラメンコダンスのレッスンを受け、人生をエンジョイしている。
ある日ポピーは自転車を盗まれてしまい、自動車の運転を覚えることにする。しかし彼女の前に現れたドライビングインストラクターは彼女とは正反対の悲観的で不幸せな男だった。
運転中にはインストラクターと口論になり、学校では生徒がいじめの問題を抱えるなど、楽天的でいつも幸せなポピーにも誰もが持つ悩みやトラブルが降りかかる。
ハッピー・ゴー・ラッキーの感想
「家族の庭」や「秘密と嘘」で知られる巨匠マイク・リー監督が贈る人間ドラマ。ヒロインが終始テンションが高く、落ち着きがなく、ふざけっぱなしのためややうざいものの途中からそんな彼女に情が沸いてくるのが不思議です。
これがアメリカ映画だったら、テンションの高い楽天的な女はキンキン声で大声でまくしたてる金髪美女というふうになるところだけど、どこにでもいるちょっとブサイクな女を起用しているのがまたいい。
マイク・リー監督の映画には、終盤に誰かが気持ちを爆発させるシーンが用意されていて、そこが映画のクライマックスとなり、それ以前のシーンは前フリといってもいいと思います。
そして映画の良し悪しを決めるのもこの“爆発シーン”だと自分は思っています。今回の爆発シーンは、インストラクターとその生徒というほぼ無関係に近い人間同士のぶつかり合いだったため、感動が多少薄かったかなと。
それよりも、あまりにもポピーが楽天的なので、どこまで楽天的で居続けられるのかというところに注目して見ていました。
すると、どれだけ失礼なことを言われても、自転車を盗まれても、決して気分を害さない彼女もさすがに髪の毛を引っ張られたときには逆上していました。髪の毛を引っ張られるのが沸点だとすると、罵られる、または尻を触られるぐらいじゃあ、あの女はびくともしないのでしょう。
それなら首を絞めるではどうだろうか。胸を揉むではどうだろうかと、怒りの物差しをもっと試したくもなりますね。
これは男の性なのか、ポピーのようないつもニコニコしている女を見ると、どうしても泣き顔が見たくなる、もっというとあわよくば泣かしたくなるのですが、この気持ち男性なら分かりますよね?
楽天的な女は泣かしたくなるし、悲観的な女は笑わせたくなる、つまり普段見せない素顔を覗いてみたいという願望が男には、いや自分にはあるのですが、残念ながらポピーは目をウルウルさせはしても、涙を流してはくれませんでした。それだけが心残りです。
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