開店を目前に控えたカレー屋に集まったオーナー夫婦と仲間たちによるドタバタコメディー。劇団風の演技とユーモア溢れる脚本に支えられた映画で、うざい登場人物たちが笑えます。55点(100点満点)
愛を語れば変態ですかのあらすじ
都市近郊の住宅地で、あさこ(黒川芽以)と夫(野間口徹)は念願のカレー店オープンを翌日に控え、準備に追われていた。そこへエラそうなアルバイト志願者やレトルトカレーを開店祝いに持参する青年、1億円を手に全身ボロボロの状態で現れた不動産業者などが続々と詰め掛ける。彼らは、全員あさこと関係があり……。
シネマトゥディより
愛を語れば変態ですかの感想
福原充則監督によるコメディドラマ。ほとんどのシーンがカレー屋の店の中だけで構成されていて、低予算で演技と脚本で勝負している作品です。特に脚本が良く、実際にいそうなうざい人たちの掛け合いが上手いです。
物語は、明日に開店を控えたカレー屋のオーナー夫婦のもとに次々と迷惑な人たちがやってきてトラブルを起していく話で、実は妻がかなりのあばずれで色んな男と浮気していたというエピソードを軸にハチャメチャになっていく喜劇です。
言ってみればお馬鹿映画なんですが、それぞれのキャラ設定と演技がいいので十分に楽しめます。中盤に行くほど、ストーリーも滅茶苦茶になっていって、SFチックになっていくものの最初からお馬鹿映画として視聴すれば許せる範囲じゃないでしょうか。
基本、登場人物にまともな人間はおらず、それぞれが面倒くさい、うざキャラです。特にうざいのは元キングオブコメディの今野浩喜が演じたフリーターですね。
顔のインパクトもあるし、演技も良かったし、なにか病的な雰囲気を持っているのがいいですね。お笑いより俳優のほうが向いているかもしれません。
劇中、フリーター男はバイトの面接にやって来てはカレー屋に入ってくるなり、店内をキョロキョロと見回し、店の物を平然とさわり、勝手に椅子に腰掛けたりして、気持ち悪さをいかんなく発揮します。
会話も全部自分本位で進めるし、挙句の果てにはオーナーにインタビューを始めたりして、立場が逆転していくのが笑えますね。さすがにあそこまで気持ち悪い人はなかなかいないだろうけれど、似たようなコミュニケーションの取り方をするぶっとんだ奴はたまにいますよね。
監督の演出がいいのか、ほかの俳優たちもみんな素朴かつ個性的で味がありました。ヒロインの黒川芽以は「ボーイズ・オン・ザ・ラン」でもヒロインでしたね。彼女も絶世の美女ではなく、近所にいそうな美人だからリアルでいいんでしょうね。
お笑い芸人なんかを積極的に起用しているところを見ると福原充則監督はコメディーが得意分野なんでしょうか。
劇団出身の監督が映画を撮ると、コメディーばかりになるのはどうしてなんですかね。こういう監督こそ脚本がいいだけにシリアスな映画を撮ったらすごい映画が撮れそうなんですけど。
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