ひょんなことから大金を手にした男たちが転落していく姿を追っていて、最初の10分で登場人物の運命と結末が全て分かってしまう恥ずかしい話。15点(100点満点)
シンプル・プランのあらすじ
田舎で平凡な暮らしを送るハンクは、雪に覆われた森の中に墜落した自家用飛行機の中から現金440万ドルを発見する。この大金が自分達の未来を変えると信じた彼は、妻のサラ、どん底の暮らしを送る兄のジェイコブらと共に、現金を自分達の物にするための“シンプルな”計画を実行に移すが……。
シネマトゥディより
読者のshさんのリクエストです。ありがとうございます。
シンプル・プランの感想
大金を手にしたことで人生が狂う、あるいは命を狙われるというストーリーラインの映画って本当に多いですよね。ぱっと思いつく限りでもこれだけ浮かびます。
その中でも最もひどい映画がこの映画です。まず、見ていられないのが登場人物の大人たちがもれなくポンコツだという点です。民度が低すぎて話にならなく、主人公のハンクだけは一見まともな知能の持ち主かと思いきや、一番アホなのが彼かもしれません。全く罪の意識がなく、440万ドルの大金をネコババしたその晩に妊娠中の妻に隠そうともせず、「ねえねえこれ見てよ」なんて言いながら全てをぶちまけてしまったりします。
妻も妻で「警察に届けなさい」とは一言も言わず、そのお金を使う方向でしか物事を考えない、というまともな人間が一人も出てこないのが恐ろしかったです。おそらくこの手の話はこんなことを言いたいのでしょう。
「大金を手にしたら誰もが冷静に行動できなくなる」。
確かにそうですが、村に一人ぐらいはお金に惑わされない人間もいるはずです。じゃないと社会が成り立たないから。ジェイコブとルーの二人は生まれつき頭が弱いからまだしょうがないですが、地元の警察にも頭が切れる人が一人もいないというのはちょっとやりすぎです。
最初にハンクが殺したお爺さんも事故死に見せかけたって、首絞めて殺してるんだから死体の解剖すれば分かるじゃないですか、何が死因かぐらいは。ルーを殺したときも、夫婦二人が銃殺されてるにもかかわらず現場検証も行われないって、発展途上国並のいい加減さが、この映画をコメディーにしていました。
ラストは何を思ったかハンクがお金を全部暖炉で燃やしにかかります。警察には札の番号が分かってるからだそうです。あれにしてもあんなに人が死んでるのにお金を燃やしたぐらいじゃ何の証拠隠滅にもならないでしょって話なんですよ。それなのにお金さえ燃やせば一件落着みたいな終わり方しないでもらいたいですよね。
どうせなら最後は奥さんも殺して、自分も自殺するぐらいじゃないと劇中で描かれてきた「狂気」と辻褄が合わなかったです。それ以上に辻褄が合わないのは、墜落したセスナ機が炎上もせず、ほとんど無傷の状態で林にあったことです。セスナのスピードなめすぎです。
コメント
早速リクエストに応えて頂き、ありがとうございます!
あまりの酷評ぶりに、読んでいて心臓がバクバクしました(汗)
確かにありふれた話ですし、頭の悪い人しか出てこないんですけど、20年前の私にとっては衝撃的な作品でした。予定調和的な悲劇へ淡々とはまり込んでいくところが何とも不気味で、究極のホラーだと思っていましたね、ついさっきまでは(笑)
今は改めて見返したら、少し印象が変わるかもしれないと感じています。
それほど映画男さんの批評も衝撃的でした。
「それを言っちゃったらおしまいだよ!」というところまで切り込んでしまうところが凄いです(気に障ったらごめんなさい)。
これからも色々な作品の批評を読ませて下さいね。
この度は、本当にありがとうございました。
P.S.
『リリーのすべて』迷っていたのですが観に行こうと思っています(^^)
shさん
コメント&リクエストありがとうございました。この映画も公開当時に見ないと、その面白さが半減するタイプの映画ですね。当時はすごかったのかもしれませんが、今見ると、そうでもないといった感じでした。