わざとらしすぎて、全然恐怖を感じないホラー映画。ハンディーカムで撮影して予算を抑えて大儲けを狙ったあざとい作品です。12点(100点満点)
パラノーマル・アクティビティのあらすじ
幸せに暮らすひと組の若いカップル。ある日、家の中の様子がどこかおかしいことに気付き、悪霊がいると感じた二人は家中の至るところにビデオカメラを設置する。そして、二人が眠りに落ちた後に撮影された映像には、背筋も凍るようなものが映っていて……。
シネマトゥデイより
パラノーマル・アクティビティの感想
毎度おなじみハンディカメラで撮影したホラー映画。「ブレア・ウィッチプロジェクト3」だと思って見れば、「こんな作風の映画だとは思わなかった」という事態に陥ることはまず避けられるストーリーです。
この映画の監督はスタートからいきなり、「この映像を提供してくれた親族と警察に感謝します」なんていう演出バレバレのメッセージを流す大失敗を犯していてがっかりさせられます。
この一文を見て「ええ、いやだぁ、この映画もしかして本当にあった話なの?」なんて思う奴がいるんだろうかと不思議に思うけれど、アメリカを始め、日本にも必ずそういう奴は少なからずいるからそっちの方が恐ろしいです。
でもそういう一部の視聴者に対しては成功する演出もそうじゃない人が見たら、まず吹き出してしまって、真剣味がなくなってしまうからやっぱりやめて欲しいですね。
怖い話をする人も、ホラー映画を作る人も、なぜか「この話はねえ、本当にあった話なんだよ」とか前置きしたがる奴が多いのがたまにキズで、そういう奴らはオーディエンスの気持ちをちっとも分かってないですよね。
事実だろうと、事実じゃなかろうと、怖い話は怖いし、怖くない話は怖くないんだから、その辺をちゃんと分かっとけと。
さて、この映画を見ていて一番気になったのは季節感のズレですね。まず1日目が2006年9月18日、場所はサンディエゴ、カリフォルニアとしてスタートします。
翌日、男は昼間にプールに入り、その恋人である女もノースリーブのシャツに短パン姿で日向ぼっこをしています。
そして次の瞬間、別の映像に移り、まだ明るいうちに心霊療法のドクターが家を訪ねてくるのですが、このアメリカ版織田無道が革ジャンを着ているのです。さらによく見ると、女までパーカーを着込んでいて肌寒さをアピールしている。
9月のサンディエゴは革ジャンを着るほど寒くないのになんでわざわざこんなことをするのか? それは就寝中に暑くて部屋の窓を開けたまま寝ているという設定にしたら、物音がしたり、ドアが揺れたりすることが超常現象ではなく、自然現象になってしまうからです。
さらにまだまだ矛盾が矛盾を呼ぶのですが、部屋の窓を閉めきって寝ているようなときに、馬鹿カップルはなぜかかたくなに寝室のドアだけは開けたままで寝ているのです。
あの風景が不自然で仕方がありませんでした。寝室のドアを閉じたら、見せ場が作れなくなる、映画自体が完成しない、というこの映画の最大の欠点が見えてしまってつらくなりました。
この監督は「この映像を提供してくれた親族と警察に感謝します」というテロップを出すよりももっと以前のロケーション選びとストーリー構成の時点ですでに大失敗を犯しているのです。
それでもアメリカではかなり興行的に成功したのがなんとも信じられない話で、それこそ超常現象だといってもいいでしょう。
コメント
なるほどこれはつまり、そのような間抜けな映画が売れてしまうというアメリカという国の文化レベルの低さに気付き恐れおののくためのホラーであるということですね?
トンボネコさん
コメントありがとうございます。まさにその通りですね。低予算なのはいいんですが、わざとらしくてだめでした。