ディズニーピクサーがお届けする恐竜と少年による友情&家族の物語。ディズニー映画の中でもかなり子供向けの内容で、子供は大喜びしそうだけれど、大人受けはそれほどしなさそうな作品。43点(100点満点)
あらすじ
3きょうだいの中でも体が小さな末っ子アーロは、甘えん坊で臆病な性格のため、常にみんなにからかわれていた。アーロは体が大きい兄や姉たちに少なからず劣等感を抱いていたが、両親の深い愛情に包まれてすくすくと育っていく。だが、ある日、アーロは川の急流にのまれ、たった一人で見覚えのない場所にたどり着き……。
シネマトゥディより
文句
おそらくそれほどヒットはしないでしょう。映像がきれいで、ディズニーのブランドもあるので、それでもそこそこ売れるでしょうが、売れたとしても「インサイド・ヘッド」程度だと思います。やっぱりディズニーは挿入歌がないとダメですね。
ストーリーは何の捻りもなく、その全てが予告動画に集約されています。弱虫恐竜のアーロが迷子になって家族と離れ離れになり、人間の子供スポットと協力しながら故郷を目指す、という内容です。故郷にたどり着くまでに文字通り山あり谷ありの展開がありますが、それもまた悪い恐竜が出てきたり、あるいは優しい恐竜が助けてくれたりするぐらいなもので、最後まで予想通りでした。
登場キャラクターも少ないし、セリフも少なめです。恐竜たちが人間並の知識を持ち、言葉を話し、逆に人間が野生動物的で言葉は話せない、という設定で物語は進みます。
そのせいか恐竜が畑を耕したり、建物を建てたり、食料を蓄えたりといった文明を感じさせる生活をしていますが、その一方で戦いになると、普通に突進したり、噛み付くだけで、急に普通の「恐竜」に戻るのがちょっといまいちでしたね。「とりあえず一旦座ろうか」とか言って、恐竜同士の戦いが話し合いで解決したら面白かったんですけどね。
夜になると恐竜たちが焚き火したりシュールで笑えるんですが、ところどころキャラクターたちが独自のSF世界のルールに則っていないような場面がちらほらありましたね。
また、子供向けにするために恐竜同士の戦いも残酷にすることができず、恐竜のくせに動物を食べるというシーンすらほとんどありません。アーロが食べるのはせいぜい木の実か昆虫ぐらいなもので、あの図体の割には小食っていうのが、子供向け映画の限界を感じさせます。
一方で子供向け映画の路線を進みながらディズニーはこの映画で大きなミスを犯しました。それはアーロと少年が腐った果物だか木の実だかを食べて幻覚を見るシーンです。あれはドラッグを連想させてしまうため、アメリカでは批判が続出したそうです。僕も見たときは「これ大丈夫なのかなあ」と心配になりましたが、案の定クレームが入ったようですね。
さて、ディズニー映画を久作から新作まで追って見ていくと、あるパターンに基づいているのが分かります。おそらく彼ら独自の成功マニュアルがあるはずです。その一つに主人公の自立と成長の過程を描くというのがあって、序盤に主人公の親が死ぬ、というのが一つのパターンになっていますね。
この映画でも早い段階でアーロの父親が洪水に飲まれて命を落とします。すると頼る人を失ったアーロは自立せざるを得なくなり、迷子になって家族と離れれば、自分でなんとか強くなるしかないという状況に迫られます。それはライオンキングでもそうだし、アナと雪の女王もそうだし、ベイマックスもまた同じでしたね。
ただ、これだけ同じパターンを繰り返してもなお世界中の子供から大人までを引きつける魅力は一体なんなのか、という話です。終盤にはちゃんとアーロと少年スポットの感動の別れのシーンを用意しているし、コテコテなんだけどストレートだから、多くの人たちは感情を揺さぶられてしまうんですよね。ベイマックスのラストみたいな感じですかね。あれで泣いた人はこの映画でも泣くはずです。
僕的にはラストで今までずっと四足の犬歩きをしていた少年スポットが急に二足歩行になった下りで爆笑しました。進化するの速すぎって。
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コメント
アーロはアパトサウルスなので草食性恐竜。肉を食べないのは当たり前だが。
仰る通りです。
「アーロが食べるのはせいぜい木の実か昆虫ぐらいなもの」の下りは
全ての恐竜は肉食だという映画男の迷妄から来ています。
だから、せいぜい主人公の相棒には草食性恐竜しか持ってこられないというのが、ディズニー映画の限界だということなのでは?