低予算で、アイデアだけで勝負している好感の持てるホラー。静かにゆっくりときどき驚かす程度で、わざとらしいフレームインや音の演出を連発してこないのがいいです。50点(100点満点)
IT FOLLOWS/イット・フォローズのあらすじ
ある日、女の子が叫び声を上げながら、肌着姿のまま自宅から飛び出していく。何者かに追いかけられているかのようにビーチの方に逃げていった彼女は数時間後に死体となって発見された。
女子大生のジェイはある晩、恋人のヒューと映画デートに行く。ヒューは映画の途中でキョロキョロしながらジェイを連れて劇場を飛び出す。車の中でヒューと愛を交わしたジェイは、気が付くと車椅子に体を縛られていた。ヒューはそこでどこまでも付いて来る”それ”について語るのだった。”それ”は人の形をし、永遠に付いて来る。誰かと性行為をすることで他人に移すこともできる。
そう、ヒューがジェイと寝たのは呪いを移すことが目的だったのだ。その日からジェイは”それ”に追いかけられる悪夢のような日々に襲われることになる。
IT FOLLOWS/イット・フォローズの感想
「アンダー・ザ・シルバーレイク 」のデヴィッド・ロバート・ミッチェル監督による、憑依ホラー映画。
特に怖くはありません。ただ、一つの映画として、作品としてちゃんと見れる仕上がりでした。映像もきれいだし、映し方も面白く、特別煽らなくても何かが起こりそうな予感をさせる演出が効果的に働いていました。
この映画に出てくるお化けは、一見普通の人間なので、それがお化けなのか人間なのかという紛らわしさがあり、その紛らわしさを恐怖のネタに利用したりと、ほぼお金をかけないとてもシンプルな怖がらせ方をしていましたね。そのせいか製作費はたったの200万ドルだそうです。頭いいですね。
テンポもスローで、追いかけてくるお化けもスローです。なぜか走って追いかけては来ず、みんなゆっくりノソノソ歩いて後ろを付いてきます。
お化けはその時々で姿を変え、ときにはおばあちゃんになったり、ときにはおばちゃんになったり、おっさんになったり、子供になったりします。笑えるのがお化けによっては胸を出しながら歩いたり、全裸で家の天井に突っ立ってたりします。
お化けの姿とストーリーは特に関連性はなさそうで、とりつかれたジェイと彼女の友人たちがどのようにしてお化けを退治するか、あるいはお化けに付いてこさせなくするかを考えていく物語です。
冷静に考えると、早く他人に移しちゃえばいいじゃん、という話なんですが、最後は道にいる売春婦に移すのを示唆して物語は終わっていきます。
ラストシーンではジェイと友達のポールが暢気に手を繋いで散歩をします。しかし二人の後ろをよーく見ると、誰かが付いてきているのが分かりますよ。あれは果たしてただの人なのか、それとも”それ”なのか。どっちなんでしょうかね。
コメント
ひさびさに“うまい”、あと“え、こわっ”と思った映画でした。
僕だったら80点くらいです。
低予算ならではのアイデアが光っている作品。
英語版で鑑賞したのでリナリオ全部を理解しきれていませんが、国内公開ってされてないのかな??そこがもったいないな。
日本でも公開されていますよ。そこそこ売れたみたいです。