アブデラマン・シサコ監督によるイスラム過激派に占拠された砂漠地帯に住む可哀相な住人たちの物語。
テンポがスローなため体調によっては眠気を促しそうな内容だけれど、未知の世界である彼らの生活を知るためには役立つ作品。51点(100点満点)
禁じられた歌声のあらすじ
キダンは妻サティマと娘トヤ、そして12歳の羊飼いの少年イサンと、ティンブクトゥ近郊の街で幸福に暮らしていた。だが、その街はイスラム過激派に支配されて以来すっかり様変わりし、人々の間に恐怖がまん延する。住人たちは音楽やサッカーなどを禁止した、過激派が作ったルールを押し付けられ、不自由な毎日を送ることになる。
シネマトゥディより
禁じられた歌声の感想
アカデミー賞外国語映画賞ノミネート作品です。自由を奪われた人々が恐怖に怯えながらも、自分たちの権利を主張するためにできる限り反発する姿が勇敢であり、物悲しくもあります。
過激派の連中は住人に娯楽の一切を禁じます。サッカーボールを所持していた、音楽を演奏したというだけで鞭打ちの刑にするほどです。
住人は家の前に腰掛けることも道端でお喋りすることも許されません。女性は当然顔を隠すことを強いられ、知らない男から「俺と結婚しろ。さもなければ武力行使するぞ」などと脅されます。
つらいのは住人もそうなのですが、過激派のメンバーもあれだけ厳しい規律を敷いていたら、当然自分たちの首を絞めることにもなり、それでも上からの命令は絶対なので守らないといけない、という矛盾や葛藤の中で生きているような印象でした。
本当はメンバーたちもできれば楽しくやりたいんじゃないのかなあ、と思わすシーンもちらほらありましたね。一人ぐらいなにかの弾みにハジケちゃう奴がいてもよかったかもしれません。
アラブ女性というと、どうしても男性に従順なイメージがつきまといますが、僕が実際に会ってきた女性たちも、この映画の登場人物たちもとても気の強い女性ばかりでした。
なんかこう命を捨ててでも自分の守るべきところは守る的な根性がありますね。魚を売っている女性が過激派のメンバーたちに両手を隠すように言われて「手袋して魚なんて売れるわけないでしょ。
だったら私の両手を切り落とせばいいじゃない?」と楯突いた下りは驚きました。過激派だったらあんなときはばっさり切ってしまいそうですけどね。
それにしても嫌な世界ですね。あんな状況ではとても冗談なんて言えないし、シモねたなんてタブーだろうし、僕みたいなふざけた男が行ったら速攻で死刑じゃないですか。
こうしてバカなことをブログで自由に書いてもいいというのは素敵な人生なんですね。問題があるとしたら数多くネガティブコメントが来るぐらいなもので、そんなの彼らの日常と比べたら、くすぐりの刑みたいなものです。
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