コーエン兄弟による宗教色の強いユダヤ人映画。いまいちストーリーにも出演者にも愛着や共感の沸かない一本です。33点(100点満点)
シリアスマンのあらすじ
1967年、アメリカ中西部。物理学の教授ラリー(マイケル・スタールバーグ)は妻と二人の子ども、兄と共に、一見幸福そうに暮らしていた。ところが、妻のジュディス(サリ・レニック)に別れ話を切り出され、学校ではわいろを渡され、ラリーの穏やかな生活はさまざまなトラブルに見舞われ……。
シネマトゥデイより
シリアスマンのキャスト
- マイケル・スタールバーグ
- リチャード・カインド
- アダム・アーキン
- ジョージ・ワイナー
- フレッド・メラメッド
- レイ・バーク
シリアスマンの感想と評価
「ビッグ・リボウスキ」、「ファーゴ」、 「ノーカントリー」など意味不明な映画を撮らせたら右に出る者がいないコーエン兄弟の人間ドラマ。
あのプロローグが何を意味するのか。ラストの竜巻は一体なんなのか? 演出に意味があってもなくても面白ければいいけど、思わせぶりなシーンがあまりにも多くてコーエン兄弟の個人的な映画という感じがしないでもないです。
それでもちょっとは笑えます。ただ、笑いは笑いでもユダヤ系アメリカ人向けの笑いというか、日本ではまず受けないだろうという気もします。
過去にアカデミー脚本賞を受賞した同じ監督の「ファーゴ」もアメリカでは絶賛されたのに日本ではいまひとつでした。日本在住のアメリカ人に「ファーゴ」が日本であんまりだった理由を聞いてみると、「あれは脚本が緻密で、会話がすごく笑えるんだよ。でも日本人は全然理解してなくて、映画館で笑ってたのは俺一人だった」というようなことを言っていました。
外国人が日本の笑いを理解できないようにコーエン兄弟の笑いを日本人が100%理解するのは難しいのかもしれません。
また、今回は遊びで作ったような印象を強く受けました。おそらく作る側からしたらそれはそれは面白かったんじゃないかと想像できます。
視聴者に媚びずに好きなものを好きなように撮っただけだとしたら、コーエン兄弟はすでに映画界ではやりたい放題の存在なのかなあなんて思ったりもします。それならそうと面白いかどうかは別として自由で独創的な作品は今後も期待できそうです。
できることなら彼らにはブラックユーモアや奇妙なスリラーだけでなく、もっと普遍的なテーマや日常を描いてもらいたい。
普段ふざけてばかりいる人がふとマジになるとものすごい真剣味が伝わってくるように、ずっとコメディー色の強いものを撮り続けてきた彼らが急にシリアスなものを撮ったときには、世間をあっと言わす作品ができそうです。
それにしてもアカデミー賞の作品賞は今年は該当作品なし、というわけにはいかないんでしょうか。毎年毎年そんなにいい作品が出てくるわけないんだから、何も特別なのがなかったら、今後5年ぐらいずっと該当作品なしでいいのに。
最近、投げやりに話題づくりのためにテキトウな作品や人を表彰して、自ら権威を落としている賞が多くて困ります。
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