登場人物が誰一人として幸せにならない、見ていて気が滅入って来る超ネガティブ映画。
賄賂、暴力、職権乱用、裏切りなどロシアの嫌なところばかりを映し出していて、政治も司法も警察も腐りきっている田舎町の物語。37点(100点満点)
裁かれるは善人のみのあらすじ
ロシア北部の小さな町で、自動車修理工場を経営しているコーリャ。住み慣れた家で、妻リリア、先妻との息子ロマと生活していたが、市長のヴァディムが彼の土地を買収しようとする。
権力を武器に自分の土地を容赦なく奪おうとするヴァディムに激しい怒りを覚えたコーリャは、モスクワから友人の弁護士ディーマを呼んで市長の悪事を暴露して徹底抗戦に挑む。やがて両者の攻防は激化し、思わぬ事態を引き起こす。
シネマトゥディより
裁かれるは善人のみの感想
「ラブレス」のアンドレイ・ズビャギンツェフ監督によるアカデミー賞外国語映画賞ノミネート作品です。
ストーリー性もあるし、ちゃんとできているんですが、人におススメしたくなるような楽しい映画ではありません。なんだかとっても暗く、登場人物たちに笑顔はなく、ロシアのイメージをかなり悪くしちゃいそうな予感すらあります。
政治家、警官、裁判官はみんな揃って傲慢で、まるでマフィアのような人相の悪い奴らばかりです。対して田舎町の人々はみんな目がうつろでみすぼらしく、不幸オーラが漂っています。
男たちは一見友情に厚そうでいて、どこか薄っぺらさがあり、酒を飲むと肩を組み合ったり、顔と顔を近づけて大声でまくしたてて、お互いのことを褒めあうという気持ちの悪いことをします。
権力者たちは町の人々を威圧し、権力を振るって容赦なく弱者たちから搾取しようとします。それでも頑固な男コーリャは彼らに対抗すべく、モスクワから友人弁護士を呼んで、真正面から戦おうとします。
しかし悪徳市長はありとあらゆる手を使ってコーリャの土地を奪おうとし、手荒な手段に出ます。そのうちあろうことかコーリャの妻と友人弁護士が浮気を始め、コーリャは土地だけでなく家族までも失ってしまう、というただただ救いのない話です。
ポジティブすぎる善人しかでてこない映画も嫌いですが、悪人しか出てこない映画もやっぱりイヤですね。何事もバランスが大事です。なんであんなに絶望的なエンディングにしたのか理解できませんでした。
あの悲劇こそがロシア文化の表れなのでしょうか。なんでもいいけどロシア人にはもうちょっと笑ってもらいたいものですね。ロシア人の幸せと笑顔を描ける監督はどこかにいないんでしょうか。
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