ヴィンセントが教えてくれたことは偽善映画！ネタバレと感想

感動を誘う、卑怯な演出ばかりが目立つ偽善映画。コテコテの展開が好きな、アホなアメリカ人がこれを見せ、笑って、泣いている姿しか想像できない一本。３２点（１００点満点）

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ヴィンセントが教えてくれたことのあらすじ

アルコールとギャンブルが大好きで、ちょっとクセのあるヴィンセント（ビル・マーレイ）は、隣家に引っ越してきたシングルマザーの12歳の息子、オリバー（ジェイデン・リーベラー）の世話をすることになる。酒場や競馬場へと連れ回し、ろくでもないことを教え込むヴィンセントに反発するオリバーだったが、嫌われオヤジに隠された真の優しさや心の傷に気付いてから、徐々に二人は心を通わせていき……。

シネマトゥディより

ヴィンセントが教えてくれたことの感想と評価

序盤こそ、そこそこ面白かったのに、どんどんレベルを落としていく残念な作品で、ビル・マーレイが主演じゃなかったら、見る価値がまったくない代物です。

ビル・マーレイは渋くて、いい俳優だけれど、こんな映画に出演しちゃいけません。なんだろうこの格好つけた演出は。酒、ギャンブル、女が大好きで、口は悪いけど、思いやりがあって優しい心を持つ男みたいな主人公ヴィンセントの設定どうにかなりませんか。チョイ悪おやじといえば酒にギャンブルって発想が乏しすぎて笑えてきます。もうちょっと捻りがあってもいいでしょ。

ストーリーの核となるのは、そのヴィンセントと、隣に引っ越してきた少年の友情物語です。少年のお母さんは仕事で忙しく家にいないから、しょうがなくヴィンセントに息子の面倒を見てもらうことになり、それがきっかけで少年は競馬場やバーなど、子供には相応しくない場所に連れまわされ、いろいろと人生勉強させられる、といった感じでしょうか。

ヴィンセントがモラルのない不良おやじとして描かれていて、少年の面倒の見方を巡って母親と何度も衝突する、という展開があまりにもバカバカしかったです。

そもそも知らない酔っ払いのおっさんに自分の大事な息子の面倒を見てもらうなんてありえない話だし、自分でそんな無謀なことを頼んでおきながら、あのデブシングルマザーはなにをヴィンセントに期待していたのかがまるで分かりませんでした。文句言ってねえで、感謝しろよ、感謝。

それに「苦労して息子を育てている母親」、「旦那に浮気され、息子の親権まで裁判でもっていかれそうな哀れな中年女性」みたいな一連の描写はなんなんですかね。

あの女の物差しがずれずれで、いつも不機嫌だから旦那に嫌がられるんだし、あれだけブクブクに太って、車の中で適当に化粧をして終わりみたいな調子で生きてるから、浮気されるんです。それなのに名前だけは「マギー」って、めちゃくちゃキュートなのが許せませんね。

ラストは「セント・オブ・ウーマン／夢の香り」とまったく同じオチです。みんなの前で、主人公を褒め称えてスタンディングオベーションで迎えるって、バカなアメリカ映画のいつものパターンね。

アメリカ人からしたら人生最大の喜びは、講堂で訳の分からない理由でみんなに拍手されることなのでしょう。あの皮肉屋のヴィンセントの性格からしたら、あんな学校で知りも知らない生徒やその親たちに「いい人」扱いされても、ちっとも嬉しくないはずです。

前から言いたかったんですけど、スタンディングオベーションって、気持ち悪い連帯感でみんながアホ面で立ち上がって盛大に拍手するもんだから、冷静に座ったままの人がまるでノリの悪い人か感動の薄い人のように扱われて迫害されてるような気持ちになるので、やめてもらえないでしょうか。

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