映像、ストーリー、演技と全てにおいてクオリティーの高い復讐スリラー。意外性もあるし、先も読めないしで面白かったです。66点(100点満点)
ブルー・リベンジのあらすじ
ボロボロの青色のセダンを根城にし、誰とも関わらないようにひっそりと生きているホームレスの男ドワイト(メイコン・ブレア)。警察に呼び出された彼は、両親を殺した犯人が刑に完全に服すことなく刑務所から出されることを告げられて大きなショックを受ける。
やがて、すさまじい怒りに駆られた彼は復讐(ふくしゅう)を決意。セダンを激走させ、釈放された犯人のもとへと向かうドワイト。だが、その復讐(ふくしゅう)劇は思わぬ事態を引き起こし……。
シネマトゥディより
ブルー・リベンジの感想
「グリーンルーム」のジェレミー・ソルニエ監督のオタクっぽい、さえないホームレスの男が繰り広げる、恐ろしさとリアリティー充分の復讐劇。
ある日、警察に呼び出されたドワイトは、かつて自分の両親を殺害した男が刑務所から出所することを告げられます。
それを聞いたドワイトは刑務所の入り口で男を待ち伏せし、車で尾行してバーのトイレで殺害します。ところがこれがきっかけで男の家族からドワイトの家族まで命を狙われることになり、家族同士の報復の火蓋が切って落とされる、というのが筋書きです。
ストーリーは至ってシンプルで、一族同士が相手の居場所を突き止めて、殺し合うスリリングなアクションが見所です。
ほかの復讐劇と一味違うのは、主人公が男前で腕っぷしも強く、格好よく相手を倒していくのではなく、揉みくちゃになっては血だらけになり、それでもなんとか男をやっつけたと思えば、トイレに車のキーを置き忘れてしまったり、あとは殺すだけという場面で銃を取られてしまったりと、運動神経の悪さとドジさが目立つ普通の男だという点です。
だからこそ視聴者は主人公の危なっかしさに余計にハラハラする、という上手い演出になっているのです。
セリフも少なめで、会話で話が進んでいく映画でもありません。夜中に相手の家に押しかけて、そっと引き金を引くような緊張感溢れるシーンの連続で構成されているので、頭を使いたくない日に見るのがいいでしょう。
ひとつ惜しいなあ、と思ったのは、相手を銃で制圧して、あとは撃つだけというシーンで、さっと撃たずに、じらしてじらして、「いいか、お前は今日死ぬんだぞ、これは両親の仇だからな。いいな、もう撃つからな。本当に撃つからな。本当だぞ、本当なんだぞ」的な前置きがあるのが面倒くさかったです。
殺す決心はとっくの昔についてるはずなんだから、直前になってぐずぐずする意味が分かりません。あそこの会話も省いてくれればより一層リアリティーがあっていいんですけどね。そういえばこの映画に限らず、「いいから早く撃てよ」っていう映画多いですよね。あれ、なんとかならないんですかね。
あと、劇中では警察がわざわざ被害者家族に加害者の出所情報を明かしたりしていますが、あれは法律的にアウトですよね? アメリカならその辺はもっときちんとしてそうですけどね。
ちなみに僕の住むブラジルでは司法や警察が腐りきっているので、その辺の情報はダダ漏れです。一度友人が強盗に襲われて、警察所に被害届けを出しに行ったら、強盗はあえなく逮捕されたのに、それから数日後に強盗の家族(嫁)が赤ん坊を抱えて家に押しかけてきたそうです。
「旦那が捕まったらこの子が路頭に迷うから訴えを退けて欲しい」。
お前とお前の家族が住んでるところは知ってるぞという最低の脅迫です。家族同士の復讐劇はこうして始まるのです。
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