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誰よりも狙われた男はハラハラドキドキ! ネタバレと感想

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「ディーン、君がいた瞬間」のアントン・コービン監督によるスパイドラマ。なかなかエキサイティングです。68点(100点満点)

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誰よりも狙われた男のあらすじ

ドイツ、ハンブルク。諜報(ちょうほう)機関でテロ対策チームの指揮を執るバッハマン(フィリップ・シーモア・ホフマン)は、イッサというイスラム過激派 に関わりがあるといわれる若い密入国者をマークする。人権団体の弁護士アナベル(レイチェル・マクアダムス)を介して銀行家ブルー(ウィレム・デフォー) との接触をもくろむ彼を、あえて拘束せずに監視するバッハマン。イッサの動向を追い掛けることでテロ資金源となっている人物にたどり着こうと考える彼だっ たが、思いも寄らない出来事が次々と降り掛かってくる。

シネマトゥディより

誰よりも狙われた男のキャスト

  • フィリップ・シーモア・ホフマン
  • レイチェル・マクアダムス
  • ウィレム・デフォー
  • ロビン・ライト
  • グリゴリー・ドブリギン
  • ホマユン・エルシャディ
  • ニーナ・ホス
  • ダニエル・ブリュール

誰よりも狙われた男の感想と評価

フィリップ・シーモア・ホフマンの遺作となったハラハラドキドキのスパイ映画。

2001年にアルカイダのメンバーがドイツの港町ハンブルグで911同時多発テロを計画。それを欧米諸国が食い止めることができなかったことから、その後ハンブルグはドイツのみならず、海外の諜報機関が目を光らせて警戒している都市となっている、といったテロップが流れて物語がスタートします。

ドイツ諜報機関が追いかけるのはイスラム過激派に関与しているとされるロシア人とチェチェン人のハーフ、イッサ。イッサはロシアで拷問を受け、ドイツにまで逃亡してきた、ヒゲボウボウの怪しい風貌をした若者。そんな彼がハンブルクに来たのは、父親が残した大金をとある銀行から受け取るためだった。ドイツ諜報機関のみならず、CIAまでその資金がテロ活動に流れると警戒し、イッサを追跡する、というのがあらすじです。

リアリティーは抜群で、緻密な脚本とストーリー構成によって物語が進み、最後まで緊張感が解けません。どこかスピルバーグのスパイ映画「ミュンヘン」を彷彿させるような内容の濃さがあります。

文句をつけるとしたら、フィリップ・シーモア・ホフマン演じるドイツ諜報員のバッハマンのセリフがドイツ語ではなく英語で、ドイツ人同士がみんな英語で話す部分で、あの辺のご都合主義はハリウッドは今度も変える気はないんでしょうかね。しかしその点をふまえたとしても、この映画の質が落ちるまでには至らず、完成度の高いスパイ映画を二時間十分に楽しめるはずです。

この映画の中でもCIAが相変わらず傍若無人な振る舞いをドイツでしているのですが、多少アメリカ政府の批判も含まれているような印象もありました。

ドイツの諜報機関は、容疑者、あるいはターゲットにしている人物の本質を見抜こうとしながら行動しているのに対し、CIAはただ点数稼ぎのために誰構わずテロリストとみなして捕まえようとしているのが対照的でした。

ドイツの諜報機関が途中からイッサを保護する方向性で行動し、亡命を受け入れたり、イッサの父親が残した資金をチャリティーに流すといった手回しを始めます。

正直、ドイツ側の目線で見ると、逮捕も拘束もしないで、ただの一人の密入国者の青年を手助けしてなんの利益があるのか、といった疑問が浮かびますが、その疑問を諜報員のバッハマンが一言でかき消しました。

「世界をより安全な場所にするため」

もともとCIAの女諜報員が言った言葉をバッハマンがあるシーンで引用したのですが、CIAとドイツ諜報機関ではそもそも諜報活動の目的やポリシーがずれていることがこのワンフレーズから受け取れるようでした。

本来なら「世界をより安全な場所にするため」に働くべきなのにCIAはいつの間にか自分たちの利益だけを考えて行動しているのが、ラストでまざまざと浮かび上がります。

ラストはありきたりでしたね。CIAが傲慢で強引だというイメージさえ持っていれば読めると思います。そのままなにごともなく終わってもよかったのに、インパクトを残すにはああいう終わり方しかなかったのでしょう。

ちょっと格好良すぎるほどの男に描かれていたのはマイナスですが、フィリップ・シーモア・ホフマンの演技は存在感と安定感があって、さすがでしたね。あそこまで実力もあって、作品にも恵まれ、成功を手にしていた男がなぜ薬物に溺れて死んでいったのかなんてことをふと考えてしまいます。

前回の「マルセルの夏 ~プロヴァンス物語」ではただただ幸せな人たちの話をしたけれど、 ハリウッド俳優たちはそれとは対照的で、お金や名声はあっても、一生大きな恐怖や不安と戦うことを強いられるのかもしれませんね。

スポットライトが当たっているときと当たっていないときのオンオフの落差も激しく、撮影をしていないとなにをしていいのかも分からなくなって自分を見失うのかもしれません。

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