第二次世界大戦末期のハンガリーを舞台に、混乱の中を生き延びた双子の兄弟を追った戦争ドラマ。45点(100点満点)
悪童日記のあらすじ
第2次世界大戦末期の1944年、双子の兄弟(アンドラーシュ・ギーマーント、ラースロー・ギーマーント)は、都会から田舎に疎開する。祖母(ピロシュ カ・モルナール)は20年ぶりに戻った娘(ギョングベール・ボグナル)との再会にも不満顔。双子たちだけが農場に残され、村人たちに魔女とうわさされる祖 母のもとで水くみやまき割りなどの仕事をこなしていく。
シネマトゥディより
悪童日記の感想
ヤーノシュ・サース監督による不気味な雰囲気を出しつつ、戦時下の中で生きる人々の屈折した心や行動を上手く描いた作品です。
登場人物の気持ち悪さと嫌らしさを全面に押し出しているのは興味深いものの、スローで眠気を誘う点はマイナスですね。
双子の兄弟を演じた二人の冷たすぎるオーラが強烈で、物語が進むにつれ二人がどうなっていくのかが心配になると同時に楽しみになっていくゾクゾク感がいいです。両親に捨てられ、祖母の下に預けられた二人が家族愛を忘れていく中で、周囲の人々に義理人情を抱いていく姿が面白かったです。
双子の兄弟は周囲の人々がバタバタと倒れ、命を落としていくのを目の当たりにして、自分たちはなんとしても生き延びることを誓います。
そのために二人はお互いの体を殴り合って体を鍛えたり、食事を抜いて空腹に耐えられる精神力をつけようと努力します。
そんな中、最初はただのかわいい子供だった二人がどんどん逞しい男に成長していき、やがて他人の死にも全く動じない冷酷な兵士のような人間になっていきます。
家族と離れて暮らすうちに家族に対する思いにも変化が表れ、両親をまるで他人のように扱う下りは意外性がありました。
その一方で乱暴なおばあちゃんに対しては、反抗的な態度を改め、愛情を抱いていきます。結局何を考えているか分からない怖い双子なんですが、何を考えているのか分からない部分こそがこの映画の最大の魅力でしょう。
マイナス点は登場人物の素性がはっきりしないことで、誰がドイツ人で、誰がハンガリー人で、誰がユダヤ人なのかといったことが日本人には分かりにくいと思います。
内容は悪くありませんが、BGMがほとんどなく、物語の進行ものんびりなため、少し退屈で、気がついたらウトウトしている自分がいました。こういう映画は一人で見るより、眠りそうになったら頬をひっぱたいてくれる人と一緒に見たほうがいいかもしれません。
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