馬鹿馬鹿しいにもほどがある飛行機サスペンスアクション。登場人物たちが主人公ビルを敵に回したかと思えば、直後に味方になっていたりと手の平を返しまくる意味不明な映画で、「どっちだよ?」と言わずにはいられなくなる一本。29点(100点満点)
フライト・ゲームのあらすじ
ニューヨークより146人の乗客乗員が搭乗した、ロンドンへと向かう旅客機。その警備を任されている連邦保安官ビル・マークス(リーアム・ニーソン)のもとに、1億5,000万ドルを指定口座に入金しなければ20分おきに機内の人間を1人ずつ殺害するという異様な犯行予告メールが届く。
限定されたネットワークからメールが送信されたことから同僚が犯人ではないかと思いつつ、犯人の特定に奔走するビル。そしてメールの内容通りに、機内で1人ずつ人が命を落とす。やがて、地上から犯人が指定した口座はビルのものであることが判明する。
シネマトゥディより
フライト・ゲームの感想
「エスター」のジャウマ・コレット=セラ監督による駄作。
なんで飛行機映画っていつも乗客の中に必ずドクターがいるんでしょうか。「この中にお医者さんはいますか?」って台詞はもう聞き飽きました。
さて、この映画は146人の乗客の中から犯人探しをするサスペンスで、無理矢理こじつけたストーリーと、理にかなっていない行動の数々が緊張感より、笑いを意図せず生んでいました。
最初はそこそこ引き込まれますが、ビルの行き過ぎた犯人探しと、的外れの対処のせいで、いつの間にかハイジャック犯に仕立て上げられてしまうといった辺りから、話がおかしな方向に流れていきます。
ビルのハイジャックの模様はアメリカの全国ネットで報道され、過去の経歴やトラブルなどが洗いざらい伝えられ、ビルは完全な悪者扱いを受けます。
そんな中、乗客たちは力を合わせてビルに立ち向かい、せっかっく取り押さえたのにその場で射殺せず、「ちょっと待ってくれ、話せば分かるから」みたいな感じになって、散々武力行使に出ていた者同士で突如として話し合いの場が持たれて、「なんだそうだったのか」とあっという間に乗客たちが状況を把握してしまうのです。
終盤にはご親切にもわざわざ犯人が自ら名乗り出てくれて、「なんだやっぱりお前だったのかよ」というどうでもいいオチが待っています。そのタイミングもまた今更名乗り出てどうなるんだよ、というタイミングで、犯人の目的もさっぱり理解できる代物ではありませんでした。
ラストがまた爆笑もので、容疑者としてニュースで取り上げられていたビルがほかの乗客と一緒に空港に降り立っても、身柄を拘束されることもなく、急にヒーロー扱いを受けます。
間違って射殺されてもいいぐらいなのに、なぜか機内で起こった一連の複雑な出来事をたまたま緊急着陸したアイスランドの地元警察が全て熟知しているというアホすぎる展開に加えて、恋の予感をさせるビルと乗客のジェンのやり取りで映画は幕を閉じます。なにより乗客みんなが清清しい顔しているのが意味不明でした。最後まで遠足気分か、お前らは。
コメント
映画男さん
はじめまして。
自分も最近この映画を観ました。
なかなか面白い批評をされていると思います。
自分のこの映画の率直な感想は、「エグゼクティブ ディシジョン」の焼き直しだなと思いました。
カート・ラッセル、スティーブン・セガールの役割を、リーアム・ニーソンが一人で受け持っている感じです。
確かに“残念な映画”だと思います。
T-G-Mさん
コメントありがとうございます。そういえば、エグゼクティブ ディシジョンなんていう映画ありましたね昔。またコメントよろしくお願いします。
はじめまして。
この「フライトゲーム」を酷評しているブログを探していたら
ここにたどり着きました。
私はこの映画を今日見ました。
評価が星4.5だったので。
ですが、観おわった後は
「うん!微妙!」でした。
ツッコミとして、
「こんなに手の込んだ大がかりなことを仕組んだくせに犯人お前かい!犯人しょぼいし、動機がそれ?」
とにかく犯人の成り立ってない感が私にはかなり感じられました。
映画男さんの文句を拝見して、改めてこの映画の微妙さを理屈的に納得ができました。ありがとうございます!
やっぱり、星の数で判断してはダメですね。
というかみんな面白いって言うからこそ疑うべきでした。
ネットで調べたらみんな面白いって言っていたので、映画男さんのように批評している方に出会えて私は嬉しく思います。
ありがとうございましたm(_ _)m
ゲゲさん
コメントありがとうございます。日本人は周りの意見に同調されやすいので、評判がいいとみんなが釣られてひどい作品まで褒めだすという傾向がありますよね。
ジャウム・コレット=セラ監督作品が全て好きなので、自分もこの作品は好きです。確かに後半無理矢理感はありますが、前半はかなり引き込まれるサスペンスだなと思います。ジャウム・コレット=セラ監督の作品は前半そこそこ引き込まれるサスペンスやってて、良いなぁと思ったら最後必ずドンパチになってる所とか、監督の癖なんだと思いますが、なんか好きです。