ソマリア海域人質事件を基にした船を舞台に海賊と船員たちが繰り広げるハラハラドキドキのサバイバルアクション。最後まで緊張しっぱなしの展開に興奮させられること間違いなしです。68点(100点満点)
キャプテン・フィリップスのあらすじ
2009年4月、ソマリア海域を航海中のコンテナ船、マークス・アラバマ号を海賊が襲撃。武器を所持していた4人の海賊に、武装していなかったアラバマ号はあっという間に占拠されてしまう。船長のリチャード・フィリップス(トム・ハンクス)は、20人の乗組員を自由にしてもらう代わりに自らが海賊の人質となり……。
シネマトゥディより
キャプテン・フィリップスの感想
「ユナイテッド93」、「ジェイソン・ボーン」、「7月22日」などで知られるポール・グリーングラス監督の実録ドラマ。
漫画「ワンピース」を読んで「海賊になりたい」とか思ってる人はこういう映画を見て、本当の海賊を知ったらいいと思います。
10代にしてマシンガンを持たされ、海賊に繰り出されるソマリアのスラム街の悲惨な状況といったらありません。ワンピースみたいに「仲間がいるから大丈夫」なんていっている人間はあそこには一人もいません。
驚いたのが木造の小さなボートで、コンテナを積んだ大きな貨物船に追い付いていく下りなんですが、貨物船ってあんなに遅いんですかね。
荷物積んでる分スピードが出ないにしても、ボートに易々追い付かれるなんて無防備にもほどがあります。船には武装した警備員もいないなんて完全にこの事件は会社側のミスですね。
せめてスティーブン・セガールを雇うとかしてくれないと、マシンガンを持った海賊にホースで水を巻いて応戦するなんてゾッとします。
ちなみに事件当時この地域では5日間で6件も海賊に船が襲撃されていたそうで、そんな中危険な海域に飛び込んでいった船長のリチャード・フィリップスは事件後に船員たちから命を危険にさらされたとして訴えられたそうです。
そりゃそうだ、という気もしますね。船員からしたら、「船長、ふざんけんなよ」な事件だからです。もうどうせ船員に迷惑かけるなら、海賊が来たらイタリアの沈没した豪華客船の船長みたいに自分だけ逃げたりしたらもっと面白かったんですけどね。「だって怖かったんだもん」とか言って。
この事件に関してはリチャード・フィリップスのサバイバル術がすごいというより、アメリカ軍の軍事力のほうが光っていましたね。交渉術も見事だし、あの状況で狙撃を命中させるスナイパーたちの技術が半端ないです。
ソマリア沖で起きた事件なのに海賊の一人を逮捕してなぜか勝手にアメリカまで連れて行っちゃう、というのもアメリカ政府の恐ろしいところですね。あんなことが許されるのなら、アメリカ政府は誘拐し放題じゃないですか。
この映画の見どころはトム・ハンクスの演技です。海賊に拘束されているときよりも、アメリカ軍に救出された後の演技が特に迫真の演技で、あの放心状態の顔や仕草はちょっと普通の俳優には出せませんね。作品はひどいのが多いですけど、俳優のレベルだけは本当に高いですね、ハリウッドは。
そういえば同年のアカデミー賞のノミネート作品を見ても、「ゼロ・グラビティ」、 「her 世界でひとつの彼女」、 「ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅」の3作品以外全部実際にあった話を題材にしているのがわかります。
つまりアメリカ人はもうオリジナルのフィクションが作れなくなっているんです。もともとある誰かの話の権利を買って、映像化して終わりみたいな。ほとんどの映画が事実を基にしたものか、リメイクですからね。映画業界までファーストフード化してきているこの状況は本当に深刻だと思います。
コメント
>船長のリチャード・フィリップスは事件後に船員たちから命を危険にさらされたとして訴えられたそうです。
映画を観た後に初めて知りました。今後の訴訟の行方が気になりますね。
>映画業界までファーストフード化してきているこの状況は本当に深刻だと思います。
とても興味深い状況ですね。物語を創る能力が無くなってしまったのかもしれませんね。
ETCマンツーマン英会話さん
訴訟のその後はどうなったんでしょうね。僕も気になるところです。ハリウッドの映画作りに関しては今の状況は残念ですね。
自分はむしろ、「無知蒙昧なバカ」に襲われた際の「話の通じなさ」に恐怖を感じました。
何か逆上した女と喧嘩する時に似た感じが。
話の通じないバカほど怖いものないですよね。そいつが狂暴だったらなおさらです。
本日、昼間の地上波で放送してました。
なので2回目でした。
これが実話だなんてまさに事実は小説よりも奇なり、だなあと思います。
2回目でも、救助後のトムハンクスのあの演技には胸に来ますねー。
トムハンクスの演技、しびれましたねえ