倦怠期に入った夫婦がアフリカを旅するロードムービー。映像が綺麗です。68点(100点満点)
シェルタリング・スカイのあらすじ
第2次世界大戦後まもない1947年、ニューヨークから北アフリカへある夫婦が旅行にやってくる。
かつて2人を取り巻いていた活気が薄れ、愛も夢もなくなってしまったことに気づいた夫婦は、この北アフリカで何かを発見できるのではないかと考えていたのだ。しかし、旅行を続ける内にかえって2人の関係は険悪になってゆく……。
シネマトゥディより
読者のインコさんのリクエストです。ありがとうございます。
シェルタリング・スカイの感想
「ラストエンペラー」や「ラストタンゴ・イン・パリ」で知られるベルナルド・ベルトルッチ監督の代表作。
アメリカ人夫婦が北アフリカを旅しながら自分たちの関係を見つめ直す恋愛ロードムービーで坂本龍一のBGM、北アフリカの風景、ジョン・マルコヴィッチの演技がいい、見ておいて損はない映画。
映画そのものが1990年公開と古いうえ、時代設定も1947年というのがこの映画の一つのキーポイントだと思います。今こういう映画を撮ろうと思っても北アフリカの風景もすっかり変わってしまっただろうし、あの幻想的な映像美を撮るのはまず難しいでしょう。
この前、UAEに行ったら、全身黒づくめの女たちがコーヒーなんかを飲みながらアイフォンを使ってお喋りなんかをしていて、雰囲気もへったくれもありませんでした。
世界中がアメリカナイズされていく中で街中を素足で歩く人々や桶に水をためて体を洗う人々の生活のシーンは大変貴重です。
そういう意味では今こそ見るべき映画なのかもしれません。夫ポート(ジョン・マルコヴィッチ)と妻キット(デブラ・ウィンガー)の関係や愛の結末がストーリーの核にはなっているものの、北アフリカの情景を映し出すのが監督の本当の目的だったんじゃないのかとも思えました。
物語の途中ポートが病気にかかり命を落としますが、その後も長い間ストーリー(旅)が続いていくところからもロードムービーとしての監督のこだわりが伺えます。
冷静に考えると恐ろしい映画だな、という印象も受けました。旅行中に夫婦揃ってお互いの目を盗んで浮気をし、そのことにお互い気付きながらも知らないフリを決め込んだまま旅を続け、途中夫が命を落としてしまう。
妻は夫を亡くした喪失感を抱えたまま、夫の死体をそのままにしてその場を離れ、また旅の道中でアラブ男とやってしまう、という「こいつらの道徳と貞操観念は一体どうなってんだ」と怒られてもおかしくない夫婦でした。
「ラストエンペラー」もそうでしたが、ベルナルド・ベルトルッチ監督は破滅へと向かう話の流れが好きなのでしょうか。その中に色気と哲学を含ませるあたりがなかなか見ごたえのある大人の映画に仕上げる秘訣ですね。
この映画は芸術路線のマジな映画です。しかしだからこそ突っ込みたくなるシーンというのもあって、僕的には夫婦のスーツケースの多さが気になってしょうがなかったです。
バスで移動するつもりなのに10個ぐらいスーツケース持ってましたからね。荷物の多い旅行者ほど馬鹿っぽく見える人間はいません。あの二人もインテリぶってたけど、実は馬鹿でしょ。
コメント
リクエストに応えてくださりありがとうございます。
昔々、深夜映画で偶然この映画をテレビで観たんですが既に数十分始まっており
改めてレンタル店に行きました。
その当時はマルコヴィッチのことも知らず変なおっさんだなとボンヤリ見てました。
砂漠の場景が素晴らしく、いつか行ってみたいとずっと思ってましたがそうですか・・・もう今はそんな風景は見られなくなってしまったのですね・・・
その後、鳥取に砂丘を観に行った時あまりの期待はずれで・・・
期待するほうが馬鹿ですね(笑)
荷物の多い旅行も馬鹿っぽく見えるんですね・・・。
私はあのふたりがすんごい場所でおっぱじめた時も「イカレテル・・・」と思いながらちょっと憧れました。ははは。
またリクエストさせてください。
インコさん
コメントとリクエストありがとうございます。そういえばこのカップルは砂漠でいきなり絡みあってましたね、あの辺もアラブの国なら厳罰を受けそうですね。