ザル・バトマングリッジ監督による良質のスリラー。過激派グループの住処に潜入し、生活を共にしながら、実態を暴こうとする経緯がハラハラドキドキものです。78点(100点満点)
ザ・イーストのあらすじ
“イースト”は環境汚染や健康被害をもたらす企業への過激な報復活動で知られる環境テロリスト集団。
元FBIエージェントのサラは、クライアント企業をテロから守るため、“イースト”への潜入捜査を命じられる。最初はその過激なやり方に反発を覚えるが、健康被害を被った人の実情を知り、彼らの理念に正当性を感じるようになる。
Moviewalkerより
ザ・イーストの感想
稀に見る面白いテロリスト映画ですね。
一見怪しい過激派グループがいざ付き合ってみると話しも合うし、正義感溢れるまともな一面を持つ人たちだった、という下りに意外性がありました。
また新興宗教のような集団生活やテロ攻撃の手口も斬新で、最後までノンストップで興奮させてくれます。
ハリウッド映画では久しぶりにガガッと入り込めるスリラーでした。ジャンルでいうとスパイ映画ですね。
元FBIエージェントのサラが雇われた先が政府の諜報機関ではなく、民間情報機関というのが面白いです。
民間の企業がクライアントを守るために極秘にエージェントを送り込んで、クライアントに被害を及ぼそうと企む過激派グループの悪事を暴き、FBIに突き出すという設定です。
民間の軍事会社もあるように、アメリカは他国が警察や軍レベルでやることを企業がビジネスとしてやっているところがすごいですね。
過激派グループが標的とするのが人々の健康や環境に害を与えながら金儲けしている絵に描いたような悪徳企業で、潜入しているサラは誰が悪者かが分からなくなってきます。そして徐々にサラは過激派グループの考えに同感していき、心動かされていくというのが話の流れです。
サラは人間としては正しいのかもしれないけど、誰に雇われているのかを忘れてしまうプロ意識に欠けたスパイでした。
女性によくいる感情で仕事をするタイプです。仕事そのものの目的よりも、その仕事に対しての自分の意義のほうを大事にする私情を挟みまくるハサミ女です。
雇う側としたら面倒くさくてしょうがないこの手の女を面接で雇ってしまったボスは失敗でしたね。感情で仕事をしているから、任務中でももちろん恋愛もしてしまいます。
サラが過激派グループのリーダーと出会った瞬間、どうせこの二人はできちゃうんだろうな、というのが瞬時に分かってしまうのがハリウッド映画の悲しいところです。リーダーが男前すぎたのが不自然でしたね。
過激派グループの生活の中で一番印象的だったのが、みんなで輪になって座ってワインボトルを回して「王様ゲーム」をするシーンです。そこで「私とあなたがハグをする」などといった指令を与えてワイワイ言いながら楽しんでいる光景が恥ずかしくていいです。
王様ゲームといったら指令がエスカレートしていくのが醍醐味ですが、最後についにワインボトルの先がサラを指し、サラが指令を出す番がやってきます。
そこでサラは前々から気になっていたグループのリーダーを指名し、「キスしてもいい?」と聞きます。するとリーダーはあろうことか、「ハグにしてくれない?」と言ってキスを断ってしまいます。
リーダー可愛いすぎるだろ。普段は過激派のくせに王様ゲームは全然過激じゃないからね。あそこはせめてテロリストの意地を見せて欲しかったです。
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