習い事を始めたばかりの奴が嘘みたいにやる気を出したかと思ったらすぐにフェードアウトしていく話。後半失速します。30点
ノーヴィスのあらすじ
物理の授業で同じ試験を何度も受験し、強迫的に競争心を燃やすコレッジ1年生のアレックス・ダルは、ウェリントン大学のボート競技の新人プログラム、ノービス・ローイング・プログラムに参加しようと決める。最初のトレーニングセッション後、まもなくして彼女はローイングに夢中になる。
チームの中にはジェイミー・ブリルという別の1年生がいた。ジェイミーはボート競技を好きで選んだわけではなく、あくまでもスポーツ奨学金を得るためにやっていた。そんなジェイミーにアレックスは嫌悪感を抱く。それもそのはずアレックスは学業成績を犠牲にしながらもローイングの記録を改善しようと本気になっていたからだ。
そんな中、アレックスとジェイミーは大学の代表チームのメンバーに昇格する。ジェイミーは新しい環境に素早く適応したのに対し、アレックスはあまり馴染めず、重要な大会中に負傷してしまう。そのせいでアレックスはまた新人のノービスチームに戻されてしまった。
アレックスは再び代表チームに選ばれるためにコーチのピートが止めるほど異常なほど練習に注力していく。しかし取りつかれたようにローイングのことしか考えられなくなった彼女の健康状態は悪化していき、やがて自傷行為にまで走るようになっていくのだった。
ノーヴィスのキャスト
- イザベル・ファーマン
- ディロン
- エイミー・フォーサイス
- ジョナサン・チェリー
- ケイト・ドラモンド
ノーヴィスの感想と評価
ローレン・ハダウェイ監督による、異常なほど自分を追い込む女子大生をつづった、ちょっとダークなスポーツドラマ。ヒロインがボート競技にのめりこんでいく姿は狂気を含んでなかなか見ごたえがあるものの、ストーリーの背景や経緯が語られることがほとんどなく、いまいちノレない話。
物語は女子大生のヒロイン、アレックスが大学のボート競技のチームに入団するところからスタートします。そこからアレックスがいかに血のにじむような努力をして記録を伸ばし、ライバルたちに打ち勝とうとするかを早いテンポで描いていき、序盤は結構釘付けにされます。
従来のスポ根ドラマだと、弱小チーム、または弱いアスリートが強くなっていく姿を描き、最後は強敵に立ち向かっていき劇的な勝利を遂げて終わるというのが定番ですが、本作はあくまでもチーム内での争いにフォーカスしていくのが特徴で、それはそれでユニークで興味をそそられました。
簡単にいうと、小さな部活動の中でのレギュラー争いの話なんだけど、そこには様々な選手の思惑、事情、人間関係があって、ボート競技にはボート競技のドロドロで闇深い理不尽な戦いがあることを教えてくれます。特に女子チームなので女特有のいやらしさだとか嫌味さだとかがあって、なかなかあの中でやるのはしんどそうな雰囲気をかもしていました。
そういった設定はいいんだけど、今一つノレない理由は一体なぜヒロインがあそこまで熱くなっているのかが全然伝わってこない点でしょう。そもそもいつからお前はボートに興味を持ったんだよっていうね。やっていくうちに自分にもそこそこやれる手ごたえを感じて、徐々に熱量を増やしていったとかじゃないからね。いきなり初日からちょっと待てよお前っていうぐらい、やる気が尋常じゃないんですよ。そこで見ているこっちは取り残されるんですよね。
もうちょっとヒロインの家族だったり、高校生活だったり、ボートにたどり着くまでの過程を描いていたらまた違っていたでしょう。そうしなかったのは、説明過多な映画にしたくなかったのか、それとも特にいいバッググラウンドが思いつかなかったんですかね。
途中で入ってくるティーチングアシスタントとの同性愛ストーリーもいらないです。寝る時間も惜しんであれだけスポーツに本気で取り組んでる奴が、なんでパーティーに行ったり、酒を飲んだりするんだよ。あそこで急激にリアリティーを失い、つっこみどころができてしまいましたよね。教員が生徒に手を出しちゃうのもアウトだし、同性愛にすることでLGBT視聴者を取り込もうとしているようなあざとい気配もあって、興ざめしました。あのアシスタント嫌いだわー、キャラが嘘っぽすぎて。パーティーで会ったら他人面するの腹立つわあ。
あの恋人を登場させた理由はただ一つ、二人が喧嘩したときにヒロインがこれまでどういう気持ちで生きてきたかを感情的に吐き出すシーンのためでしょう。
「私みたいな人間にとってナンバー1になるのがどれだけ難しいか、あなたには分からないでしょ?」
あのセリフからヒロインはなにかの分野でどうしても一番を取りたかったのかあ、と気づかされるんだけど、もはやヒロインが今更何を考えてるのかがさほど重要じゃなくなるぐらい、話がつまらなくなっていたのが残念です。なんならあのセリフを吐く相手は母親だってよかったし、友達だってよかったでしょう。別に同性の恋人である必要がないんですよ。
そんでもってあれだけ狂ったようにやってきたのに、ラストは自らチームを去っていってたけど、辞める早すぎない? 夢中になった期間が短すぎて笑えるんだけど。せめて卒業までやりきって燃え尽きろよ。だから1番になれねえんだろうが。そもそもお前の中での1番の定義が、部活内で一番なのかよ。執着度に比べて目標低くない?
結局のところなんだったんですかね。競技や優劣に執着しすぎることで健康はもちろん、社会性や正気まで失う危険性をヒロインを通じて描きたかったんでしょうか。それにしてもちょっと薄いわ。
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