映画にする必要のないレベルの企画で、「カメラを止めるな!」を彷彿とさせるワチャワチャした話。30点
リバー流れないでよのあらすじ
京都にある老舗料理旅館で働く仲居のミコトは別館裏の貴船川のほとりに立っていた。彼女が仕事に戻り、番頭と部屋の後片付けをすると、なぜか2分前にいた貴船川のほとりに戻っていた。
他の旅館のスタッフや宿泊客などにも同じことが起きていた。そこにいるみんなが2分間のループに巻き込まれたのだ。
仲居のチノは熱燗が作れずにいた。宿泊客のノミヤたちは〆の雑炊を食べ続けた。作家のオバタは入力したはずの原稿が白紙になるなど、それぞれ時間が進まないことに困惑した。2分経つと時間が巻戻り、全員元にいた場所(初期位置)に戻ってしまうのだった。
その間の行動は全てなかったことになるが、記憶だけはリセットされることなく連続しているという現象が起きていた。そんな中、ミコトは自分の思いループに影響したのではない思い始める。料理人見習いのタクと恋仲のミコトは、タクが修行のためにフランスに行きたがっている事に気づき、時間が止まって欲しいと願ったからだ。
リバー流れないでよのキャスト
- 藤谷理子
- 鳥越裕貴
- 本上まなみ
- 早織
- 永野宗典
リバー流れないでよの感想と評価
山口淳太監督による京都の旅館で起きた奇妙なループ現象をコミカルに描いたドタバタ劇。出演者の演技はいいものの中身は薄っぺらく、ストーリー性はなく、エンタメ映画としてもいまひとつの出来です。
国内で高い評価を受けていたので、どんな映画なんだろうと思ってみてみましたが、劇団による舞台演技をスクリーンでやっただけというような印象を受けましたね。わいわいガヤガヤやってるからなんとなく楽しそうな雰囲気をかもしているけど、大きな笑いがあるわけでもなく、感動、興奮に包まれることもありません。なんとなくこのノリを楽しんでいってください的な作品で、舞台劇が好きな人が見たらいいと思います。
俳優陣はそこそこ上手く、低予算映画にしては良い仕事をしてると思いました。日本はこういう俳優たちが埋もれてるんですよね、使いこなせる監督がいないから。
会話のやり取りは悪くないけど、プロットやシナリオはまずまずですね。どういうオチにしたかったのかよく分からなかったし、2分経ったらまたスタート地点に戻ることをループ、ループって言ってるんだけど、同じことを繰り返しているわけじゃないからそもそもループじゃないんだよね。
あと、タイムループとかタイムスリップものって結局終始その説明で終わっちゃうじゃないですか。本作は特にそうで、会話の中で劇中に起きている現象をずっと誰かがそれっぽく解説して、無理やり納得させようとする感がダメSFでしたね。
2分進んではまた戻るを1時間30分ほど繰り返すって想像するだけでもダレます。その対策としていろいろ絵的に変化をつけているんだけど、それでもやっぱり飽きるしどうでもよくなりました。果たしてこれにお金を払う価値があるのかっていうとないですよね。飛行機の中で見たのでまだ怒りは生まれなかったけど、そうじゃなかったら怒ってたかも。
「一体どうしてこの現象が起きているのか」というのを餌にして最後までその理由を明かさないという手法を取ってて、もったいぶった割にタイムマシーンが壊れたとかしょうもない言い訳しか用意していないのもどうなんですかね。
タイムマシーンを修理するくだりのときのハチャメチャぶりは特にひどく、燃料はエタノールだからビールを流し込めばいいとか謎理論ばかりで詰めも甘いですよね。散々視聴者を振り回した末にラストは恋愛ドラマ風に終わっていくのも寒いです。つまんなかったわ。
コメント
こんにちは。本作観てくださったんですね。カメラやリバーなど、この手の劇団コメディー映画は一定の需要があると思います。※ループものだと、一昨年前公開の『MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない』という作品も同じような手法でヒットしてました。
この手の作品については、仰るように低予算で監督や俳優もマイナーな方(失礼します)な者が多いためか、宣伝や上映館が少ないのが難点です。それ故か、ファン熱は高く、評価も高くなりやすいのでしょう。
一方で、展開や笑いに乗れないと辛いのも事実です。悪くはないけれど、どうしても内輪感が出やすいというか…ドラマの域を超えるのは難しいですね。私もこの手の作品で感動したことはないです。
内輪感が出まくりですね
この作品に関してはインディーズ・プロレス的な内輪感が満載でしたが、最近の邦画は大分良くなってきたと思います。
「夜明けのすべて」…パニック障害とPMC(月経前症候群)を扱った作品。
「ミッシング」…近年 山梨県で起こった幼女誘拐事件をモデルにした作品。
「正義の行方」(ドキュメンタリー)…NHK特集の拡大・再編集版
「BAD LANDS」…安藤サクラ主演、オレオレ詐欺グループを扱ったクライム系。
「春画先生」…大学教授とウエイトレスの変態系ラブコメ。
「窓辺にて」…妻に不倫されても怒りも嫉妬も感じない文芸記者の煩悶ドラマ。
あたりは普通に面白かったです。
BAD LANDSは俺は好きだけれども世間的な評価は割と低めな作品だと思う
『ミッシング』『夜明けのすべて』は確かに近年でも稀に観る傑作でしたね
『リバー』と似たようなジャンルで同時期に公開された映画だと『MONDAYS』(2022)は『リバー』と比べて脚本やオチの付け方、俳優陣も素晴らしかったのでオススメです。