見れなくはないけど、特に怖くも感動もしない、話に入っていけない作品。登場人物の正当化と美化が半端ないです。48点
ボーンズアンドオールのあらすじ
時は1988年のバージニア。ティーネイジャーのマレンはクラスメイトの友人の家に行くために夜中に家を飛び出す。ところがマレンは友人に会うと衝動的に彼女の友人の指を噛みちぎってしまう。
血だらけで家に帰ってきたマレンを見てシングルファーザーの父親はすぐに荷物をまとめて家を出ることにする。メリーランドに拠点を移した親子だったが、ある日突然父親はマレンを家に残して失踪してしまう。彼はもうマレンの面倒を見切れなくなってしまったのだ。マレンは子供からカニバリズムの傾向があり、それによって父親は散々苦しめられてきた。しかしそれももう限界だった。
一人になったマレンは父親が残した少しのお金と出生証明書を持ってまだ会ったのことのない母親探しの旅に出る。道中、彼女は同じく食人種の青年リーと出会い、行動を共にするのだった。
ボーンズアンドオールのキャスト
- テイラー・ラッセル
- ティモシー・シャラメ
- マーク・ライランス
- アンドレ・ホランド
- クロエ・セヴィニー
ボーンズアンドオールの感想と評価
「君の名前で僕を呼んで」や「サスペリア」でお馴染みのルカ・グァダニーノ監督によるロマンティックホラー。食人種のカップルが喧嘩したり、仲直りしたりしつつ人を食べる映画です。
小説の映画化ということもあり、現実味はなく、ファンタジーに近い話ですね。ひょんなことから出会った美男美女が、食人種として生まれてきた自分たちの境遇を嘆き悲しみながら自己陶酔に陥るのを見る映画で、どこにロマンスがあるのかさっぱりでした。
グロテスクホラー一本に集中すればよかったのに、変な恋愛を混ぜたことで世界観がちぐはぐになっていて、どういう姿勢で見ていいのか困ります。
なにより主人公の男女をまるで社会の被害者かのような描き方をしているのがひっかかりますね。一番の被害者はあいつらに食べられた無実の人々で、それを棚に上げて愛だなんだ言われてもね。
いや違うんだよ。この映画の食人種は、社会で孤立した人々のメタファーで、マイノリティーや虐待被害者などを描いていて本当はカニバリズムを描きたかったんじゃないんだよ、とか言い出す奴がうじゃうじゃ出現しそうな気配がするのも嫌ですね。やかましいわって。
結局のところティモシー・シャラメの美しさを見るための映画という感じがして、それ以上でもそれ以下でもないですね。つまり女性向け、ティモシー・シャラメファン向けの映画といっていいでしょう。
カップルが車で旅行し始めてロードムービーみたいになっちゃう辺りから、一体なんなんだこの話は?ってなります。食人種のくせに遊園地でデートしてるの笑えますね。せめて動物園行けよ。
食人種の設定がいまいちブレブレで、衝動的に食べちゃうのか、ちゃんとコントロールできるのかはっきりしてもらいたかったです。食べたくて食べたくて仕方なしに食べちゃうっていう設定なら食人種同士も最初から共食いしないとダメだし、なんで変な仲間意識持っちゃってるんだよって。
あとあれだけ衝動的に、本能的に行動する奴らがいざ恋愛となると、途端に草食系プラトニック男女になっちゃうのが笑えます。あんなにむしゃむしゃ人肉を食べるぐらいならそれはそれは激しい男女の絡みを見せてくれるのかと思ったらなんですか、あの少女漫画みたいなキスシーンは。お互いの下着ごと丸飲みするぐらいの食欲、性欲見せてもらいたかったのに。
基本的にどんな犯罪を犯しても警察は出動しない、誰も逮捕されない世界のおとぎ話なので、捕まる恐怖がないのがダメですね。まさに食い放題。
あと、すごい少ない人数でストーリーを回してるなあ、という感じが否めないですね。冒頭で出てきたお爺ちゃんがずっと出てくるのなんか滑稽ですよね。ほかにやることないんかなって。それは登場人物全員に言えることなんだけどね。仕事しないのかよって。お金どうしてるの?って思っちゃいますね。お父さんが残したお金なんて大した額じゃなかったなのに外食ばかりしてるし、車で移動しまくりだし、もっと節約しようね。
ラストはまあ悲劇的に終えるならああするしかなかった、という終わり方でした。みんな読めたんじゃないかな。あれで最後一言、「やっぱりうめえ」とか言ってくれたらよかったんですけどね。
コメント
カニバリスト2人のふわふわファンタジー恋愛映画、というだけでしたねー。
若い子にはウケそうですが、おばさんには何も響きませんでしたw