欧州芸術路線のコメディ映画。国際映画祭向けの作品で笑いのレベルがとにかく低いです。30点
逆転のトライアングルのあらすじ
モデルのカールとヤヤは美男美女のカップルだった。ある日、カールはヤヤが食事を奢ってもらって当然のように振る舞うことに不快感を覚え、レストランで議論になる。
ヤヤはカールに交際しているのはあくまでもインフルエンサーとして好都合だからと宣言し、カジュアルな付き合いを提案する。逆にカールはいずれ自分のことを絶対に愛しては止まないようになるから問題ない、と自信満々に語った。
そんな二人はある日、VIP客ばかりを乗せるクルージングの旅に招待される。客の中にはロシア人の大富豪ディミトリー、武器商人の夫婦ウィンストンとクレモンティーヌ、テクノロジーズ会社の社長ジャーモなどがいた。
船のクルーたちは客を喜ばせるためにならなんでもするような意気込みで働いていた。スタッフのリーダーであるパウラは客の要望には必ず応じるように指示していた。わがままな客なクルーたちもプールで泳いでほしいなどといったとき彼らはしぶしぶ水着を着てプールに入ったほどだった。
そんな船を運転するのはアル中のキャプテン、トーマスだった。やがてトーマスのせいで船はコントロールを失い、海賊に襲われ無人島に座礁してしまうのだった。
逆転のトライアングルのキャスト
- ハリス・ディキンソン
- チャールビ・ディーン
- ドリー・デ・レオン
- ウディ・ハレルソン
- ズラッコ・ブリッチ
逆転のトライアングルの感想と評価
「フレンチアルプスで起きたこと」、「ザ・スクエア 思いやりの聖域」などで知られるリューベン・オストルンド監督によるブラックコメディ。カンヌ国際映画祭のパルム・ドール受賞作であり、アカデミー賞作品賞にもノミネートしています。
金持ちを乗せた豪華客船が事故ったことにより、無人島に流れ着き、金やステータスが意味を失い、逆に貧しい下働きの女性スタッフが主権を握っていく、ヒエラルキー逆転映画。特に笑えないし、あまり面白いとも思えませんでした。
船内と無人島という閉鎖的な状況で社会格差、貧富の差別、人種問題などを皮肉と風刺をこめて描きたかったんでしょうか。そのアイデアがどこか「パラサイト」のポン・ジュノ的な感じもしました。
プロットは決して悪くないんだけど、なにに、または誰にフォーカスしたいのかがはっきりせず、無駄なシーンが多いような印象を受けます。例えば冒頭のモデルたちのインタビューのシーンにあれだけの時間を費やす意味があったのか。カップルの口論のシーンもそうだし、笑えればまだいいんだけど、笑えもしないし、必然性もないシーンの多さが気になりました。
もしインフルエンサーや金持ちたちが無力になる姿を面白くおかしく描きたいなら、もっとそれぞれの背景を描いたうえで力を失っていく過程を見せるべきですよね。逆に無人島でこそサバイバル能力を発揮するアビゲイルの人物像も無人島に着く前に見せておかないとだめでしょう。
そうじゃなしに小ネタばかりを見せて時間を隙間を埋めるような構成と演出ばかりしているもんだからストーリーがつながっていく感じがしなくてあまり物語の中に入っていけませんでした。特に嘔吐シーンのしつこさといったらないです。海外の映画で多いよね、誰かが嘔吐したら笑いになる、みたいなシーン。ただただ不快なだけなのに。
無人島生活が始まるのが1時間半を過ぎてからというのも遅すぎます。むしろ無人島のパートがメインでもいいぐらいなのにね。
ちょっとだけ面白かったのは船ではトイレ清掃係だったおばちゃんが無人島ではえらくなって若いモデルのカールを美女から奪うくだりです。無人島においてはもはや美醜などはなんの価値も持たず、食べ物を見つけて来れる人が尊敬され、食べ物をくれるならなんでもしますという関係性になるのがよかったです。まあでも褒めるところといえばそれぐらいでしたね。
ラストシーンはグロテスクにしたらよかったんですが、どこか余白を残して終わっていきました。アビゲイルは果たして手を下したのでしょうか。それとも考えを改めたのでしょうか。あの顔を見る限り、殺ってしまった感じがしましたね。まあつまらない映画のラストなんてどうでもいいけど。
コメント
フレンチアルプス〜もスクエアも好きな作品なので楽しみにしていたのですが、今回はちょっとやり過ぎでしたねー。
私もゲロシーンは汚い以前にあんなに時間割く必要があったのか謎でした。
2時間越えだし、もう少しコンパクトにまとめられた気がします。
そして、コメディ扱いの割にはクスッとも笑えなかったですねー。
笑えませんでしたね