色気あり、エンタメ性あり、賛否両論ありな大人の不倫ドラマ。昔の話だけど今にも通じる物語です。64点
チャタレイ夫人の恋人のあらすじ
コンスタンスは何人かの男性との恋愛経験を経て、貴族のクリフォード・チャタレイ準男爵と結婚する。ところが戦争から帰ってきたクリフォードは負傷し、両脚が麻痺したせいで車椅子生活を余儀なくされる。そのせいで夫婦は肉体関係を結ぶことができなくなってしまう。
コンスタンスは最初、愛でなんとか困難を乗り切れると思っていたが、日に日に欲求不満になっていく。日々クリフォードの身の回りの世話で肉体的にも精神的にもコンスタンスは疲弊していくのだった。
そんなある日、クリフォードは子孫を残すために別の男性と子供を作ることをコンスタンスに提案する。相手選びはお前に任せるし、相手の正体は知りたくない、と言った。コンスタンスは驚き、戸惑いはしたもののそれによって何か解放されたような気分にもなった。
やがてコンスタンスはクリフォードの使用人の男オリバーに興味を持ち、自らアプローチしていくと二人はたちまち恋に落ちるのだった。
チャタレイ夫人の恋人のキャスト
- エマ・コリン
- ジャック・オコンネル
- マシュー・ダケット
- ジョエリー・リチャードソン
- マシュー・ダケット
チャタレイ夫人の恋人の感想と評価
ロール・ドゥ・クレルモン・トネール監督による、大人向け官能恋愛ドラマ。第一次世界大戦後のイギリスを舞台にした不倫劇で同名小説の映画化です。
すでに何度も実写化がされている作品ですが、ネットフリックスによってお金をかけて作ったのがこの2022年版です。原作は1928年に発行されたそうですが、現在でも十分に通じる普遍的な不倫ドラマになっています。
物語は、戦争で下半身不随になったお金持ちの夫と夜の営みができなくなった妻が、使用人の男と愛欲に溺れていく様子を描いていきます。
夫が子孫を残すためならほかの男と子供を作ってもいいよ、という許可を下したことでヒロインは「そっか、じゃあ遠慮なく恋愛させてもらいます」と身近の男に手を出したことで村中で噂になり、妻の立場が危うくなり、男は村八分にされる、というのがおおよその流れです。
雨の中、裸で駆けまわったり、じゃれ合ったりする恥ずかしいシーンも多々あるものの不倫賛成派、反対派の意見が分かれるのはもちろんのこと、ヒロインに対してどんな感情を抱くかによって作品に対する評価、支持、あるいは嫌悪感につながる内容になっていてなかなか面白かったです。
官能シーンもちゃんと隠さず、ごまかさず撮ってるし、久々に見たメインストリームの大人向けエロティック映画という感じがします。
恋愛ドラマにおいては男、または女がどれだけ悪い奴かによって面白味が増すと思っているんですが、そういう意味では本作においてもヒロインの悪さは合格点に達していました。
まず清楚に見えるのに実は肉食派かつ恋愛体質な女という設定なのがいいです。口では愛があれば体のつながりはなくても大丈夫と言いつつ、実はやりたくて仕方がないといった感じで、自分のタイプの男を見つけたらもうあれこれ理由をつけて近づき、積極的にアピールする小悪魔ぶりはさすがでした。
夫が「子作りをしていい」という許可を出したばかりに、それを「やりまくっていい」と拡大解釈して子作りよりもむしろやることにフォーカスしていくご都合主義にはお手上げでした。そしていざ妊娠すると、「あなたがやっていいって言ったんでしょ」と開き直る始末。
不倫が良い悪いじゃなくて、ヒロインの浮気のやり方の問題点は夫に生活の全てを養ってもらっているうえで夫の土地で生活させてもらっている使用人の男に手を出したところにありそうです。つまりあらゆる面において、浮気するにしてもそれはまずいんじゃないのっていうラインを超えちゃってるんです。せめて夫とは無関係の男にしとけよっていう話ですよね。やっぱり友人とか知人とか夫婦共通の知人に手を出すのはね。
だからこそ燃えるっていうのもあるんでしょうか。でもそれならそうと、バレたときには全面的に謝罪してもらいたいですね、日本人的な感覚でいうと。でもさすがにイギリス女ともなると、「あなたが悪い」、「私は離婚したい」とか言い出すから笑えますね。夫に対する感謝ゼロっていうね。
夫も夫で前もって「浮気するにしても使用人とか内輪の人間はやめておけよ」って言わないとダメでしたね。あと妻のフラストレーションにも理解を示し、一度の過ちならと許してあげたらどうなっていたのか気になるところです。もし「もう浮気のことはいいから子供は一緒に育てよう」って優しく包んであげたら妻はどうしていたんでしょうか。それでも駆け落ちしてたのかなあ。彼女のことだからしてそうだね。
妻と不倫相手の駆け落ちは、地位や名誉、そして今の贅沢な生活を捨てても愛を選ぶという究極の選択なんだけど、あれはちゃんとその後を見せないとダメですね。二人が家族、親戚、知り合いとのコンタクトを切り、貧しい生活をしてそれでもまだあんなにラブラブでいられるのか見たいですよね。「私、やっぱり夫のところに戻るね、だってこんな生活無理よ」とか言い出しそうだもん、あのヒロインのことだから。
コメント
映画男さんの感想はいつも的確でそして面白いです^_^
女性の私が見た感想は、夫人の何が悪いのよ?あんたが他の男とやっていいって言ったんじゃない!、ですww
立場的なものを考えたら、確かに男を見極めろ、なんですが一般的に恋愛脳が強い女性は、まずは自分のタイプじゃないとなかなか体を許せないですからねー。
たとえ不能でも旦那が愛情表現を間違っていなければ、ここまでにはならなかったように思いますし。
ただヒロインの姉が言っていたように、セックスと愛を混同してる、というのは一理ある気もします。
それがはっきりするのは、仰るようにやはり地位や財産を投げ打った後の生活ではっきりしますよねw
やたら外で裸になるのが好きな二人でしたが、物語のキモのラブシーンがしっかりと描かれていて良かったです。
男性、女性で見方変わる映画ですよね