知らない情報満載のカルロス・ゴーンストーリー。ちなみに彼の正しい名前の発音はカルロス・ゴスンだそうです。60点
逃亡者カルロス・ゴーン数奇な人生のあらすじ
カルロス・ゴーンは日産の会長とルノーのCEOを兼任していた。実質両社とも彼の会社といってよかった。ワンマンの彼に意見を言える人物はほとんど言えなくなっていた。それだけ絶対的な権力を手にしたのだ。
そんな中、カルロス・ゴーンは会社のお金を私的に利用したとして日本の警察に逮捕される。拘留期間は100日以上にも及び、彼は日本ではとても公平な裁判は受けられないと悟る。そんなカルロス・ゴーンは多額の保釈金を払って保釈されると、一か八かの逃亡を図るのだった
逃亡者カルロス・ゴーン数奇な人生のキャスト
- 西川広人
- ルイ・シュバイツァー
- ナイラ・ベイドウン
- 安藤優子
- 高野隆
逃亡者カルロス・ゴーン数奇な人生の感想と評価
ルシー・ブラックスタッド監督による、カルロス・ゴーンの成功と転落をつづったドキュメンタリー映画。「カルロス・ゴーン最後のフライト」とはまた違った目線で同事件を解説していてなかなか興味深かったです。
「カルロス・ゴーン最後のフライト」は本人も出演していてカルロス・ゴーン寄りなのに対し、こちらは本人が出演を断っていることからもより批判的な内容となっています。両作品を見ると、どちらの視点も分かるので良かったです。
ネットフリックス制作だけにゲスト出演者たちが豪華で、当時日産CEOだった西川広人、かつてルノーのCEOだったルイ・シュバイツァーをはじめ、カルロス・ゴーンのメイドを務めていた日本人のおばちゃんまで出演しているのがすごいです。みんなよっぽどいいギャラをもらったんですかね。じゃないとわざわざ出てこないでしょっていう人たちが多くて驚きました。
本作を見ると、カルロス・ゴーンは日本だけじゃなく、フランス側にもかなり敵がいたんだなあというのが分かりますね。彼が完全な結果主義者、数字主義者で徹底的なコスト削減とノルマの遂行を社員たちに課していたことからフランスではルノーで自殺者が複数人出ていたんだそうです。日本人ほどがむしゃらに働く文化のないフランス人を過労>鬱>自殺に追い込むってよっぽどだよ。
また、逮捕の理由は報酬の過少申告と言われていますが、実際はもっと深刻で架空の国際ファンドを設立して複数の役員を交代交代させつつ、金の流れを不明確にする完全犯罪スキームをカルロス・ゴーン自ら作り上げていたようです。
ブラジルやレバノンなど世界各国で購入した彼の不動産は、そのファンドを通じての買い物だったようです。それなのに表向きには日産の持ち物だみたいな感じにしてしらばっくれてるようですね。当時、彼に雇われていた国際弁護士をはじめ、ファンドの役員をやらされていた人が証言しているのでかなり信ぴょう性がありました。
ベルサイユ宮殿のパーティーも表向きは日産とルノーの提携15周年記念という名目でやり、実際は彼の60歳の誕生日パーティー兼彼女との結婚披露宴で日産とルノーの重役はほとんど招待されていなかったようです。それを会社の金でやっちゃうんだからそりゃあ怒られるよ。
日本の法律で裁けるかどうかは別としてこれを見る限りだとカルロス・ゴーンは完全にブラックのような気もするんですけど、どうなんですかね。
カルロス・ゴーンは公正な裁判が受けられそうにないから脱出したと話していて、それは確かに一理あるでしょう。ただし、じゃあ、日本以外の国で逮捕されてたら逃げなかったんですかね。
面白かったのが、もともとカルロス・ゴーンのお父さんも脱獄囚なんだそうです。それも殺人で死刑が確定していた死刑囚。レバノンから家族がブラジルに亡命したのは戦争の混乱の中、脱獄してブラジルに逃げたからなんです。親子揃って脱獄囚ってすげえ血筋だなあって。
たくさんの出演者たちがいる中で一番目立っていたのがメイドのおばちゃんです。NGなしでまるで友達と話してるかのようにカルロス・ゴーンのプライベートのことを話してて、口の軽さがにじみ出てて最高でした。それもなぜかインタビューを受けながら、Yシャツのアイロンをかける、という意味不明な演出をやらされていて、それ誰のYシャツだよって気になってしょうがなかったです。
ちなみにカルロス・ゴーンが逃げたって報道を聞いたときは、嬉しくて涙が出たんだそうです。やっと家族と会えてよかったねえっと思ったんだそうです。
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