一定のレベルは達しているので最後まで見れる作品ではあるものの、いまひとつテンポと怖さが足りない事件ドラマ。俳優の演技やテーマは悪くないです。52点
L.A.コールドケースのあらすじ
LAタイムズ紙の記者ジャクソンはラッパーのノトーリアスBIGことクリストファー・ウォレスの未解決殺人事件を追っていた。そんなときジャクソンは退職した元LAPDの刑事であり、かつてクリストファー・ウォレスの事件を担当していたラッセル・プールと出会う。
ラッセルは当時のデス・ロウ・レコードのCEOシュグ・ナイトがLAPDの警官に金を払ってクリストファー・ウォレスを殺害し、隠蔽したのではないかと疑っていた。
クリストファー・ウォレスが殺害される数週間前、ある黒人警官が白人警官に射殺される事件があった。黒人警官はシュグ・ナイトと関わりを持っていたため関連して捜査を進めようとすると上司がストップをかけられる。
その頃、シュグ・ナイトの周りには複数のLAPDの潜入捜査官がいた。まもなくしてラッセルがクリストファー・ウォレス殺人事件の担当に就くと、彼は情報提供者から事件に関わった容疑者としてデヴィッド・マックとアミール・ムハマドなどの名前を聞く。しかし事件を追っていくと、ラッセルは必ずLAPDの上層部に捜査を妨害されるのだった。
L.A.コールドケースのキャスト
- ジョニー・デップ
- フォレスト・ウィテカー
- ロックモンド・ダンバー
- ニール・ブラウン・Jr
- ザンダー・バークレー
- シェー・ウィガム
L.A.コールドケースの感想と評価
「潜入者」、「ランナーランナー」のブラッド・ファーマン監督による実話ベースのサスペンス。ラッパーのノトーリアスB.I.G.の未解決事件の裏でLAPDどれだけ汚職にまみれていたかを描いたノンフィクションです。
2パックの殺人事件と同じく様々な噂とセオリーが飛び交うのがこのノトーリアスB.I.G.の殺人事件ですが、本作によればギャング同士の抗争といった単純な事件ではなく、そこにLAPDががっつり関わっていたそうです。そうじゃなければそもそもこれだけの大事件が未解決になるわけがないというのです。
そしてその事件を担当した刑事と彼にインタビューする記者の目線で事件を紐解いていく、というストーリー構成になっています。
もちろんフィクションも織り交ざってるので、どこまで本当か嘘かは分からないです。もしもろに真実だとしたら長年のファンの疑問を解消しているアンサー映画ともいえるかもしれません。未解決事件で本名を使ってここまで切り込むのはなかなかないんじゃないかな。
ヒップホップ好きの人にとっては間違いなく興味をそそられる内容でしょう。一方でノトーリアスB.I.G.って誰?っていう人には登場人物が多すぎて事件の背景が分かりにくく、いわばどうでもいいギャングと警察のクライムドラマともいえるかもしれません。もう次から次へと新しい悪徳警官が出てくるので、また出た!の繰り返しが止まりません。
それとジョニー・デップが好きな日本のファンが彼が出演しているというだけでキャーキャー言いながら見ては「なんかよく分からなかったけどアメリカって怖いねえ」っていう感想を抱いて終わってしまいそうな気もしますね。
この映画、実は2018年に公開を予定していたにも関わらず、ジョニー・デップがスタッフと喧嘩したことが訴訟問題に発展したために2021年まで公開が遅れたそうですね。ジョニー・デップ暴力を振るったとか、振るっていないないとか色々言われてるけど、どうなんでしょうね。映画のテーマと同じくそっちのほうも”未解決”事件にしちゃうんでしょうか。
未解決事件もののドラマといえば「ゾディアック」なんかが思い浮かぶんですが、そういったハラハラドキドキのスリラーとは本作はまたちょっと違いますね。2パックの事件と合わせたらそれこそ連続殺人事件といえなくもないけど、スリラー特有の気持ち悪さがないんですよね。
確かに事件の複雑さや警察の腐り具合はよく伝わってきます。しかしストーリーの伝え方のせいかそれほど怖さはなかったですね。こいつら悪いなあって思うだけで。
アクション要素もほとんどないし、テンポもそんなに良くないのもいまいち興奮しない原因でしょう。ノトーリアスB.I.G.の物語というより、結局のところ刑事ラッセルの物語になってるんですよね。もっちラッセルとB.I.G.のお母さんとの交流や関係性も深く掘り下げたほうがよかったかなぁ。
コメント
面白くなくはないのですが少々淡々とし過ぎていた感はありましたね。
そして私は2パックの名前だけ知っている、という状態だったので話が見えてくるまでかなり時間がかかりましたw
確かに背景を知らないで見たらちょっと意味不明な話ですね