ストーリー性がなく、終始迫力のない戦いを見せられる中身スカスカアニメ。守護神の防御力の低さに度肝を抜かれました。16点
ミューン・月の守護神の伝説のあらすじ
その惑星ではもともと太陽と月がなく、惑星には明かりがなかった。そのうち強い男が太陽を惑星に引き寄せて日が当たるようになった。男は太陽の守護神と呼ばれるようになった。対する月は、最初の守護神が夢の世界から持ってきたことで惑星に月が上るようになった。
それによって惑星では昼夜のバランスが保たれるようになり、その大事な役割を担う太陽の守護神と月の守護神は人々から崇められるようになった。
そしてついに長年守護神を務めたゾラルとユールが引退することになり、後継者のソホーンとリヨーンが任命されるときが来た。
ところが任命式の最中、後継者を任命するクリチャーがたまたまそこに紛れ込んでいた森の子ミューンを守護神に選んでしまい、後継者になるはずだったリヨーンが落選してしまう。
リヨーンは大いに落ち込み、ミューンに対して怒りを隠しきれなかった。そんなときリヨーンは白い蛇に、月の守護神にはお前がなるべきだから一刻も早く月を奪い返すんだとそそのかされれる。
するとリヨーンは太陽の守護神ソホーンのところに行き、いかにミューンが彼の邪魔をして惑星のバランスを崩そうとしているかを説く。それを聞いたソホーンまでがミューンに敵対するようになってしまう。
ミューン・月の守護神の伝説のキャスト
- ミカエル・グレゴリオ
- イジア・イジュラン
- オマール・シー
- フェオドール・アトキン
- パトリック・プレジャン
ミューン・月の守護神の伝説の感想と評価
アレクサンドル・エボヤンとブノワ・フィリポンの共同監督によるフランス製作のアニメ。月と太陽をテーマにした、雑な脚本と絵によって作られた、中身のないアニメーション映画です。
2014年に本国で公開された作品を2022年に日本で公開しようとしている時点でどんなレベルの作品かは想像できちゃうんじゃないでしょうか。そう、6年落ちの古い作品を安く仕入れて、それに気づいていない無垢な日本人視聴者に新作として上映しちゃおうっていう商売です。それって今の時代にiPhone7をアフガニスタンで定価で売りに出しちゃおうみたいな発想ですよ。嫌ですねえ。
これで面白ければまだいいんだけど、いかんせんつまんないからね。架空のその惑星では太陽と月は守護神によって管理されていて彼らの仕事ぶりによって朝と夜はもちろん、惑星全体の秩序が守られている、という設定はまだいいでしょう。ダメなのは人工的に太陽と月が管理されている惑星の生活は一体どんなものなのかをほとんど見せないうちに太陽と月を悪者に奪い取られ、それを主人公たちが力を合わせて奪い返すための戦いをメインに描いちゃってるところです。
その過程でいろいろと言い訳を作って主人公たちが様々なファンタジー世界に寄り道をしていくんだけど、どのシーンも特別な意味がなく、いつまで経っても方向性が見えず、ただ時間を埋めるためだけのエピソードが続いていく印象を受けました。
悪者たちに太陽と月を奪われたことによって人々の生活にどんな影響が起こるのかといったこともほとんど触れず、主人公と悪役たちの追いかけっこがひたすら展開されるのもダメな部分です。それによっていざラストで太陽と月を取り戻したとしても、なにがどう解決されて平和が訪れたのかがピンとこないんですよ。なんとなく悪者をやっつけたから終わりねっていうノリでエンディングに行かれてもね。
悪者たちに支配されることによる住人の苦しみを描いていないからハッピーエンドの前にそもそもアンハッピーになってねえだろっていう話なんですよ。住人がほとんど出てこないよね。守護神たちばかりにフォーカスしすぎて、守護神が守ろうとしている惑星のことだったり、人々のことがおろそかになりすぎですね。
ヒロインのグリムが冒険についてくる意味が分からなかったし、女の色気で周囲に従わせるみたいなキャラもよくないです。またそれぞれが違うクリチャーになっているせいで統一感がなく、世界観もゴチャゴチャになっていました。せめてもっと家族、種族をたくさん出さないとね。絵を描くのが大変だから面倒臭がってるのかなあって思うぐらいキャラが手抜きでしたね。
デザインはださいし、BGMも平凡です。あと喋りがとにかくうるさいですね。ギャーギャーうるせえなあと思いながら二回ぐらい寝落ちしました。途中3Dアニメが2Dになったりするのも全然効果的じゃないし、芸術性にも娯楽性にも欠けます。
キラキラ光る綺麗な絵を描けば子供たちを騙せると思っているでしょ? いわゆる雰囲気アニメですね。フランスの細田守かよ。
コメント
今晩は。私も本作を観ました。
本作、「昼と夜の世界の共存」というアイディア自体は「悪くない」ものの、内容は詰めが甘く、雑で強引な点が目立ちました。
プロットは、ディズニー版「ヘラクレス」ともろ被っており、力持ちの男キャラ・小悪魔な女子キャラ・冥界のラスボスが登場し、悪を退治するために主人公達が冥界に乗り込み、ヒロインが死にかけるところまで同じです。
「聖獣」に至っては、「ハウルの動く城」の「城」そのものですし。
映画男さんが細田守監督の名前を挙げられていますが、本作の監督は、ジブリとスタジオ地図作品のファンだそうで、ケモナーとヒロインのキャラデザは細田守監督からインスパイアを得たそうです。
私は、ディズニー・ピクサーなど大手アニメーション以外の海外アニメをよく観ますが、その中では「中の下」くらいだと思いました。少なくとも、人には勧めないですね。
最近、アニメも色々な制作会社で作られるようになって、質もまちまちになりまひたね。