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カルロス・ゴーン最後のフライトは面白い!ネタバレと感想

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カルロス・ゴーンの事件を追った記録映画。報道されていない新事実も多く、逃亡の描写はリアルで、スパイ映画のようでした。75点

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カルロス・ゴーン最後のフライトのあらすじ

2018年11月、日産・ルノーのCEOカルロス・ゴーンが報酬過少申告の疑いで逮捕された。それから合計4つの罪を加算され、有罪になれば15年の刑を課せられると考えられていた。

カルロス・ゴーンは東京拘置所、通称「小菅」に何か月も拘留された。最初は妻のキャロルとも連絡を取ることが許されたが、彼が保釈中に記者会見を開くことを明言したことで再逮捕されると、妻との連絡は一切許されず、携帯も没収された。

裁判が始まるのには最大で5年はかかると言われていた。このまま5年も家族と連絡が取れず、15年の刑を受ければ日本で野垂れ死ぬと思ったカロルス・ゴーンは前代未聞の逃亡劇を企てる。

カルロス・ゴーン最後のフライトのキャスト

  • カルロス・ゴーン
  • キャロル・ナハス
  • グレッグ・ケリー
  • 弘中惇一郎
  • 高野隆

カルロス・ゴーン最後のフライトの感想と評価

ニック・グリーン監督による、元日産CEOカロルス・ゴーンの逃亡劇をつづったドキュメンタリー。英国のTV局BBCが放送した番組です。

日本をはじめ、世界中にショックを与えたカルロス・ゴーンの国外逃亡の裏では一体なにが起こっていたのかのを分かりやすく伝えた映像記録とインタビュー映画で、できる限り中立の立場で同件を扱っているのがポイントです。

これが日本製作だったら日本の司法目線になるだろうし、レバノン製作だったらカルロス・ゴーン寄りの話になっていたんでしょうが、英国のTV局が作ったということに意義がありそうです。

しかしながら当然製作者の主観は入るので、どちらかというとややカルロス・ゴーン寄りにはなっていました。いずれにしても日本ではあまり報道されていない知らない事実やカロルス・ゴーンの経歴や日産のCEOに就いた経緯含めて同件に興味のある人にとってはかなり面白い作品には仕上がっているかと思います。

まず、最初にカロルス・ゴーンにかけられた容疑は、報酬過少申告だったんですが、まだ受け取ってすらない退職後に彼がもらう予定だった報酬額にまつわる申告だったそうです。それで逮捕しちゃうっていうのが何とも日本の警察らしいです。逮捕したい奴はとりあえず適当な罪を作って逮捕みたいな。

そして彼が逮捕されたのは日本に到着した直後の飛行機の中という報道がされていましたが、あれも嘘であのときカロルス・ゴーンはすでに空港内にいて、別の部屋につれていかれてそこで検察から事情を聞かされ、身柄を拘束されたんだそうです。

飛行機に警察が乗り込んで逮捕した、という映像はいわばショッキングな絵を世論に植え付けるためのイメージ戦略だったんだそうです。

そして東京拘置所に連れていかれてからは罪を認めないと家族も逮捕すると脅され、日本得意の自白を迫る、裁判前から有罪決定作戦に出ていたそうです。

カルロス・ゴーンは最初こそ妻のキャロルとも面会はできたし、連絡を取ることも許されていたんですが、会見を開いて真実を話すとツイッターで宣言したことで会見を開く前に再逮捕され、今度はキャロルとも手紙を書くことすら禁止されたんだそうです。

だからこそ本当は日本の裁判で無実を証明しようとしたものの、ここでは公平な裁判を受けられそうもないと判断し、逃亡した、というのが事の経緯です。

カルロス・ゴーンが全くの無実で、一切法や倫理に反していない、ということはもちろんないでしょう。ただ、裁判が行う前からそもそも有罪と決めつけ、人権を一切無視する日本の司法のやり方の汚さを考えると、逃げたくなる気持ちは分からないでもないです。

本作に日本の元検察官が登場するんですが、その人はこう言います。

「カルロス・ゴーンが逃げたということは有罪を自分で証明したということ」

そもそも公平な条件を被告人に与える気のない検察官がこういうメンタリティーだからどうしようもないんですよ。こういう奴って「黙っているっていうことは認めたってことでいいんですね?」とか無茶苦茶な理論をふっかけるタイプだよね。

法律なんて解釈でどうにでもなるから一度検察に狙われたら最後ですね。そんな絶対権力の下でカルロス・ゴーンは転がされ、さらにルノーと日産のパワーバランスに不服だった日本政府とフランス政府の争いに巻き込まれた、というのが本作の見方になっていました。

カルロス・ゴーンの容疑に関しては裁判が行われることはなくなったので今後も公平な意味で真相が明らかになることはないでしょう。実際、裁判が行われていてもそれは同じだったかもしれません。

僕にとっての興味は裁判や事実関係よりもむしろ逃亡前後の出来事でした。それについては再現VTRで解説していて、聞いているだけで心臓がバクバクするほど興奮する内容になっています。

まず、カルロス・ゴーンは高額なお金を誰かに払って他人名義のスマホを手に入れ、そこから協力者を探し出し、お風呂の中でシャワーの水を流したまま人に聞かれないように協力者と連絡を取り、何日にも渡って逃亡計画を練ったそうです。

逃亡を手助けしたのはアメリカ人親子のマイケル・テイラーとピーター・テイラーの二人。二人はミュージシャンとして逃亡当日にプライベートジェットで入国し、ライブをしてそのまま日帰りで帰るというシナリオだったんだそうです。

入国時にすでに楽器を入れる大きな箱を持ってきていて入国管理局がそれを見ていることもあって、出国時はX線を通さないでくれと顔見知りになった入国管理局職員に直談判したことで、箱の中に入っているカルロス・ゴーンの姿は見られずにチェックを通過できたんだそうです。やっぱりプロってすごいですね。逆にいうと、見逃した入国管理局職員は首になってもいい案件でしょう。もしかしたらすでに首になってるかもしれませんね。

ちなみに二人にはそれぞれ懲役2年、1年8カ月の刑が下されていますが、外国では5つ星ホテルと言われるほど激甘な日本の刑務所で数年過ごしただけで、推定億単位の報酬をもらえると考えたら一攫千金を狙う人にとっては割に合う仕事と言えるのかもしれません。報酬額については記者がカルロス・ゴーンに聞いていましたが、さすがに濁していましたね。まあ当然「億」は行くでしょうね。

レバノンで自由を手に入れたはずのカルロス・ゴーンはしかしその後も逮捕されることを恐れ、毎日どこへ行くにも武装したボディガードを連れて歩かないといけなくなったんだそうです。おそらく警備費だけでも相当な費用がかかることでしょう。だからこそ今回のTV出演に至ったんじゃないかなぁ、という印象を受けました。

大金持ちだから金には苦労しないってイメージがあるかもしれないけど、庶民の生活に戻るのは無理だろうし、仕事復帰は絶望的だし、弁護士費用、逃亡費用で相当なお金も使っただろうし、なにかと大変そうですね。それでも刑務所よりはまだましという結論なのでしょう。

彼が有罪か無実か、悪者か英雄かは置いておいて、せっかく大成功してもこんなふうに転落してしまうリスクがあるのが人生で、生きるってなんなのかなあというのを考えさせられますね。面白かったです。

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