テロリストと戦うイラク人のソルジャーたちを主人公にした珍しいハリウッド映画。英雄大好きアメリカ人をイラク人に置き換えた戦争ものです。59点
モスルあるSWAT部隊の戦いのあらすじ
モスルの戦いの最中、カーワをはじめとする3人の警官はイスラム過激派組織ISの麻薬ディーラーを逮捕する。しかしISの仲間に包囲されてしまい、あろうことか銃弾も尽きてしまう。そのときどこからともなくジャーセム少佐率いるSWAT部隊が現れ、彼らを救った。SWAT部隊もまたISと戦っていた。
ジャーセム少佐はカーワが同じく警官の叔父をISに殺されたと聞くと、SWAT部隊に引き抜くことにする。SWAT部隊のメンバーはみなモスルの出身でISに家族を殺された者ばかりだった。そんな彼らは上層部の命令を無視して独自のミッションに向かうところだった。
そしてSWAT部隊は小部隊ながらISの要塞に突入し、基地を壊滅させるため命懸けの戦いに挑むのだった。
モスルあるSWAT部隊の戦いのキャスト
- ヘール・ダッバーシ
- アダム・ベッサ
- イスハーク・エリヤス
- クタイバ・アブデル=ハック
- アフマド・ガーネム
モスルあるSWAT部隊の戦いの感想と評価
「21ブリッジ」や「ワールド・ウォーZ」の脚本家として知られるマシュー・マイケル・カーナハンの監督デビュー作品。イラクのSWATチームとテロリストグループISの激しい戦いを描いた実話ベースの戦争アクション。
物語は、ひょんなことからSWATチームに参加することになった新米警官の目線で進んでいき、SWATチームがイラクにおいていかに恐れられているか、またどれだけ危険なミッションを遂行しているかを描いていきます。
タイトル通り、イラク第二の都市モスルが舞台となっていて、長年の戦争によって荒廃した町の様子をリアルに再現していて、ヴィジュアル的なクオリティーはかなり高いです。
また、アクションシーンも緊張感のあるものばかりで、いつどこから敵が発砲してくるのか分からない状況を上手く伝えていました。
ざっくりいえばアクションと緊張感を楽しむエンタメ戦争映画で、あまり歴史や背景を知らなくても十分に話に入っていけるはずです。
一方でストーリー性はそれほどなく、SWATチームがISの基地に乗り込んでいくまでの移動とその間の戦闘を映しているに過ぎないです。なのでこれを見てもモスルの戦いの政治的背景が見えてくるかといいうとそうではないですね。
あくまでもSWATチームの勇敢な戦いぶりと戦争スキルを見て興奮するのが目的で、大衆向けの分かりやすいアクション映画といった感じです。
「アベンジャーズ・エンドゲーム」のジョー・ルッソ&アンソニー・ルッソによるプロデュースということもあり、もうちょっと行くとヒーロー映画になりかねない雰囲気すら醸していて、典型的なハリウッド戦争映画といえそうです。
違いがあるとすれば登場人物がアメリカ人ではなく、イラク人であることで、その点はさすがグローバール思考の強いネットフリックス製作の作品だあなという気がしました。
スキルの高いSWATチームですら数的不利の中、闘っているため戦闘中にメンバーが次々と命を落としていくんですが、主要メンバーがどのタイミングで死ぬのかなんとなく分かってしまうところがありますね。
特にリーダーのジャーセム少佐は、そろそろこの人死にそうだなあというタイミングで死にます。一応その前に伏線もありましたね。そういう意味では展開は結構予想通りで、もうちょっと捻りがあってもよかったと思います。
あと特別なスキルを持った集団であるSWATチームに、最近警官になったばかりの若造をスカウトするかなあっていう部分は引っかかりました。経験や技術のない人物をチームに入れたらそれこそ仲間の命が危険にさらされるリスクが高まるわけで、足手まといになる可能性の方が高いですからね。そこはなんとも映画的な感じがしました。
特に上層部の命令を無視して独自の秘密のミッションを行こうとしているところで、いちいち「ねえねえ、これなんのミッション? 俺たち今からどこ行くの? それで何するの?」みたいな質問の多い、好奇心の強い若者を入れたら面倒臭いですよね。
でもそんな新米隊員でもしっかり戦闘のときにはほかのSWATチームのメンバーとほぼ遜色ない働きぶりを見せているのができすぎた展開でした。あいつはもっとずっこけたり、仲間を撃ったり、泣き出したり、お荷物キャラにするべきでしたね。
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