テーマはいいけど、肝心な内容がつまらないギリシャ映画。サンダンス映画祭で高評価を得たらしいです。39点
PITYある不幸な男のあらすじ
弁護士の男には愛する妻と息子がおり、妻は事故に遭って昏睡状態に陥っていた。そのため彼は毎日号泣して朝を迎える。
そんな男を哀れに思って隣人はケーキを焼いて持ってきてくれるようになった。クリーニング屋に行けば割引してもらえ、美人な秘書は普通以上に気遣ってくれる。すると男は他人から受ける哀れみに次第に依存していくのだった。不幸な状況にいれば人々は優しくしてくれる、そんな状態が思いのほか心地よかった。
ところがある日、妻が奇跡的に昏睡から目覚め退院したことで男の生活は一転する。隣人はケーキを焼いてくれなくなり、クリーニング屋は割引をしてくれなくなった。人々はまるで自分に興味がなくなかったのように振る舞うのを見て男は取り乱していく。
PITYある不幸な男のキャスト
- ヤニス・ドラコプロス
- エビ・サウリドウ
- マキス・パパディミトリウ
PITYある不幸な男の感想と評価
「籠の中の乙女」や「ロブスター」の脚本家エフティミス・フィリップとバビス・マクリディス監督による周囲の同情に依存する男を描いた個性的な映画。芸術路線の作品で、斬新ではあるものの面白くはないです。
スリラーとブラックコメディーを織り交ぜた話で、妻が昏睡状態にあることで周囲がいつも以上に気遣ってくれることに快感を覚え、やがてそれに依存していく主人公を描きます。
タイトルの「PITY(哀れみ/同情)」の通り、人間が抱く哀れみの感情にフォーカスしていて同情する側とされる側の心理をつづる、という試みは面白いです。
一方でストーリーは退屈で、かつ肝心なラストの展開も読めてしまったため、特別心動かされる要素はなかったです。
コメディとしても、スリラーとしても振り切れていないので、笑うべきなのか、怖がるべきなのかがはっきりしないんですよね。
特に新人監督の場合、まだその監督のテイストが世界で知られていない中で振り切っていない作風のものを出すと視聴者はどうリアクションしていいのか混乱するんですよ。
人からもっと同情してもらうためにもがいたり、嘘をついたり、嘆き苦しむ主人公の滑稽さを皮肉っていて、それが最初から最後までずっと続くので途中で飽きてきます。
カメラは終始、主人公だけを追いかけるので1時間30分ほど、気持ち悪いおっさんをずっと見てないといけないきつさもあります。
BGMの使い方がものすごく下手で、絶望の音楽を流すときのボリュームが視聴者の鼓膜を破りにかかってるとしか思えないほど、うるさすぎるのもいけませんね。
妻が奇跡的に回復し、周囲の同情を得られなくなった主人公がやることは何かと考えたら、自ずとエンディングも見えてきますよね。
ほぼほぼ終盤にしか見どころがないので、ラストにショックを受けるかどうかがほぼこの作品の評価になるでしょう。なので先が読めちゃうとダメですね。僕にはダメでした。
PITYある不幸な男のネタバレ
そう、最後は頭がおかしくなった男が父親も妻も息子も殺してしまうのです。だってストーリー上そうするしかないもんね。それで同情を得られるのかどうかは疑問ですが。そしてそこまでしても全然涙が出てこない男は絶望に暮れて、物語は幕を閉じます。
最後、海に捨てたはずの犬が陸まで泳いできたのが監督が利かせた最大の皮肉だったのでしょう。しかしあのエンディングにするなら殺人のシーンはもっとグロくしないとダメですよね。それで初めて男の異常性が伝わるんだから。
どうでもいいけど最近、日本の映画会社ってなんで「ラスト30分の衝撃」とかっていう宣伝の仕方をするんですかね。それ言っちゃったら絶対ダメでしょ。
コメント
結構楽しみにしてみたのですが、先読めちゃいましたねー。
あんな皆殺しにしなくてもw
暗転して心の声がテロップに出るのもなんだかイマイチに感じましたー。
先読めちゃだめですね、こういう映画は。