弱弱しいヒロインの危なげな行動をつづった、インパクトに欠けるスローなティーネイジャードラマ。視聴者が期待、予想するようなことは一切起こらない物語です。38点
映画「愛のように感じた」のあらすじ
ティネイジャーのライラは恋愛経験豊富なキアラといつも一緒に行動していた。キアラはいつも男子に夢中で彼氏をとっかえひっかえしていた。一緒に遊ぶときもいつもキアラの彼氏が一緒だった。
そんなキアラにライラは密かに嫉妬していた。自分にはなにも経験がないが、ライラは背一杯背伸びをして、さも経験豊富であるかに振る舞った。
ある日、ライラはビーチでキアラの友人であるサミーと知り合う。サミーはお酒にタバコにパーティーが大好きな不良少年だった。ライラはなんとか彼に近づこうとするもののサミーの友人たちもまた不良ばかりで常にそこには危険が付きまとうのだった。
映画「愛のように感じた」のキャスト
- ジーナ・ピアルサンティ
- ジオバーナ・サリメニ
- ローネン・ルービンシュタイン
- ジェシー・コルダスコ
- ニコラス・ローゼン
- ケイス・プライム
映画「愛のように感じた」の感想と評価
「17歳の瞳に映る世界」で知られるエリザ・ヒットマン監督による長編デビュー作。映像美とリアリティーについては優れた部分があるもののテーマやストーリーがはっきりせず、中途半端な感じに終わってしまう粗削りな映画です。
年ごろのティネイジャーの女の子が異性や性に興味津々になり、危険な橋を渡りながらも友達と張り合うように大人の女になろうとする様子を伝えた人間ドラマです。
劇中、女の子が妊娠するシーンはありませんでしたが、カウンセラーと話すシーンがあったり、「17歳の瞳に映る世界」の原点になったともいえる内容になっています。これでヒロインが妊娠していたらうまく、「17歳の瞳に映る世界」につながっていく話になっていたんですけどね。
話の大部分は、ヒロインの友人キアラが彼氏とイチャイチャするところをヒロイン目線で嫉妬交じりに見るような感じになっていて肝心のヒロインのエピソードがなかなか進んでいかないもどかしさがあります。
初体験をするまでを描きたいのか、不良少年に乱暴されるのを描きたいのかが曖昧で、視聴者はただライラの危なげな行動に心配させられるだけで、その割には結局何も起こらないに等しいです。なので無駄に疲れますね。
「ダメだよ、そんな男についてったら!」の連続で、そもそもライラがサミーに惹かれる、またはサミーにこだわる理由がよく分からなかったです。そもそもサミーはライラには優しくないし、友達も下品でクズばかりだし、いつ乱暴しだすか分からない危ない雰囲気でプンプンしています。サミーだったら初体験の相手に手っ取り早いと思ったんだとしたらかなり見当違いでしたよね。
それなのにライラはあることないことを言って、背伸びをして、怖がりつつも、サミーの気を引くことに必死なのが痛々しかったです。理解はできないし、共感もゼロだけど、あのぐらいの年齢だとちょっと悪そうな男子に惹かれちゃうっていうのはあるあるなのかもしれませんね。
そして危険だと知りつつ、気が弱いし、相手にしてもらいたいから、また同年代の友人たちと異性関係において負けたくないから、劣等感を克服したいからサミーに言われたらなんでも受け入れちゃうみたいな状況も十分にありえそうです。
本作はそのあまりにも脆弱な少女の立場を映し出すことに一番フォーカスしていて、それがこの映画の見どころの全てといえるでしょう。正直、あの流れなら思い切りティネイジャーの性を描くとか、悲劇の方向に話を持っていくなど振り切らないと危険な話としてもリアルな話としてもインパクトに欠けますよね。
父親との関係性ももっと深く掘り下げてもよかったですね。母親を癌で亡くし、シングルファザーに育てられている少女がずっと父親に反抗的で、でもそこから話は特に膨らみませんでした。あそこから伝わってきたのはとにかく父親がうざいというヒロインの心境だけでしたね。
唯一、おっと思ったシーンはライラがサミーの家で一晩を過ごした後、パーティーで汚れたキッチンの後片付けするくだりですかね。彼女が甲斐甲斐しく掃除しようとしたのはやはりサミーに気に入られようとしてのことなのでしょうか。自分の家ではお父さんのことを一切手伝おうとしない女の子も男の子の前ではいい子に変わるっていうのが面白いですね。
それに対し、サミーはそんなことやらないでいいよ、とちょっとキレ気味だったのが意味不明でした。あいつの性格的には「え?やってくれるの?ラッキー」ってなりそうなもんですけどね。それともああ見えてサミーはライラが自分に気に入られようとしてやっている下心を見透かしていたのかもしれませんね。
いずれにしても女の子大好きのサミーがライラと二人きりになると途端に冷たくなるのが不思議でした。サミーって誰でもいいんじゃなかったの? なんでライラだけは相手にしようとせずにうざがってんたんでしょうか。ライラもサミーもよく分からないキャラクターになっていましたね。それこそティネイジャーといったらそれまでなんですが。
上映時間は1時間20分程度なので最後まで見るのにそんなに苦労はしないんですが、特に印象に残る映画ではなかったです。
あくまでも少女目線の話なので女性視聴者が見たら女の世界の出来事として共感できる部分もあるんでしょうか。
あるいはとてもアメリカ的な少女同士の熾烈なマウントの取り合いという気もしないでもないです。ティーネイジャーたちが自分の異性体験を自慢げに語ったり、友達に負けたくないからとりあえず相手は誰でもいいから新しいことを経験しようとするところなどは「ユーフォリア/EUPHORIA」と重なる部分がありますね。いずれにしても何を体験するにしてももっと相手は選ぼうよっていう話でした。
コメント
不満だらけの子供部屋おじさんがケチつけるだけのクソブログで草。もうええわw 笑っ