決して共感はできないけど、憎めないカップルたちのラブコメディ。先が全く読めない個性の塊のような作品です。66点
ディナー・イン・アメリカのあらすじ
パンクロッカーのサイモンはドラッグを売ったり、人の家に火をつけたり、と次から次へとトラブルを起こし、警察に追われていた。
その現場をたまたま見かけたパティはサイモンの顔に見覚えがあった。かつて学校の音楽鑑賞コースで一緒だったのだ。
パティは行く場所のないサイモンを自分の家に連れていってしまう。サイモンはパティの家でも自分勝手にふるまい、家族にも遠慮なかった。
パティはサイモンに助けた代わりに自分と一緒に覆面パンクバンドのライブに行ってくれないかと頼む。パティはそのバンドのボーカルのジョンQの大ファンで彼にラブレターを何度も送っていたのだった。そのときパティはサイモンはそのボーカルだとは知る由もなかった。
ディナー・イン・アメリカのキャスト
- カイル・ガルナー
- エミリー・スケグス
- パット・ヒーリー
- グリフィン・グラック
ディナー・イン・アメリカの感想と評価
アダム・レマイヤー監督によるパンクロッカーとファンの女の子によるドタバタブラックコメディ。癖の強いキャラクターたちが繰り広げる、掴みどころのない青春ドラマです。
ちょい悪の不良ダメ男と無邪気な女の子がひょんなことから一緒に行動し、トラブルを切り抜けていくうちにやがて恋に落ちていく、というプロットは「バッファロー66」を連想させます。
「バッファロー66」ほどオシャレじゃないし、格好よくもないんですが、ユーモアや個性はそれに匹敵するものがあり、最後まで楽しめました。
主人公のサイモンはパンクロックバンドのボーカルかつドラックディーラーでとにかく素行が悪いのが特徴です。そんな彼はたまたま知り合った女の子の家に行き、家族と喧嘩になり、家に火をつけて逃亡します。
サイモンには逮捕状はもちろん、懸賞金までかけられていて、警察は街を徘徊し、彼を探していました。そんなときにサイモンが遭遇したのが天然ボケの女の子パティで、今度はパティの家に転がり込みます。
パティの家でもサイモンはやりたい放題。パティの家族をこれでもかというほど引っ掻き回します。それでもサイモンは自分を助けてくれたパティに対してどこか恩を感じていました。
そしてあるときパティをいじめっ子たちから救ったのをきっかけに二人の距離が急接近する、というのがストーリーの流れです。
ストーリー自体はなんてことのない話です。上手いのはその強烈なキャラクターたちと彼らの一挙手一投足に目が離せなくなる見せ方でしょう。
あと、ディナー・イン・アメリカというタイトルとかけているのか、家族の食事シーンが何度もあるのが印象的で、どれもみんな楽しそうに食事していないところがいいですね。
食事がむしろ家族の不仲を象徴するシーンになっていて、刑務所の食事シーンが一番幸せそうだったのも皮肉がきいていました。
もし主人公のサイモンに対して嫌悪感を覚えたら楽しめないかもしれません。しかし素行の悪さにも関わらず彼を憎めなかったら、どんどん彼の純粋さにはまっていくんじゃないでしょうか。
あんなにオラオラしてるのにいざ喧嘩したら弱いし、パティの歌に素直に感動してたし、あいつ絶対いい奴でしょ。
一方でパティはいわゆる典型的なハリウッド映画のヒロインとは一線を画す、もっさいブスキャラになっていて、体型もしゃべり方も身のこなし方も美人やセクシーとは無縁のキャラになっていました。
そんな彼女が物語が進むにつれ、見る見るうちに可愛く見えてくるところはさすがでしたね。それだけ彼女に親近感を覚えたからに違いないです。
サイモンもパティも一人ではさえないダメキャラなのに、二人一緒だとそれこそ最強、最高のカップルになりますね。
名作とか、感動作とか、爆笑コメディとかではないです。でもこういう意表を突いた、型にはまらないイレギュラーな息抜き映画があってもいいよね。いい意味でのサプライズでした。
コメント
可愛い話でした。
たまにはこんな映画もいいですね。