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ウディ・アレンVSミア・ファローのネタバレと感想

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ウディ・アレンのあまりにも卑怯で、汚いやり方に虫唾が走る実録ドラマ。ウディ・アレンが好きな人が見ても、彼のことが嫌いになるほど強烈な内容でした。75点

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ウディ・アレン VS ミア・ファローのあらすじ

ウッディ・アレンとミア・フォローの養女ディランは幼い頃からウッディに溺愛されて育った。ウッディはどこに行くにもディランとべったりだった。ディランもウッディを父として頼り、尊敬していた。しかしあるときからディランはウッディを避けるようになっていった。

家族は最初、ディランはふざけてるだけかと思ったが、なにか様子がおかしかった。その頃からディランはウッディの接し方に本能的に異様な雰囲気を感じ取っていた。ディランがウッディを避けてもウッディはディランと遊びたがった。そしてディランが7歳の頃、彼女の身に生涯忘れがたい出来事が起こる。

ウディ・アレン VS ミア・ファローのキャスト

  • ミア・ファロー
  • ディアン・ファロー
  • ローナン・ファロー
  • カーリー・サイモン

ウディ・アレン VS ミア・ファローの感想と評価

「見えざる戦争」や「ハンティング・グラウンド」のカービー・ディックとエイミー・ジーリングの共同監督による、ウディ・アレンの性的虐待をテーマにした告発ドキュメンタリー。

養女ディアン・ファロー本人をはじめ、家族、友人、専門家、検察官の証言を基にした衝撃の内容にショックを受けること間違いなしです。

ちなみに僕はウディ・アレンは映画監督としてすごく好きで、彼の作品はほとんど見ました。なのでどちらかというと性的虐待については嘘であって欲しいと思っていた側です。が、しかしこれを見たらとてもそんなふうには思えなくなりました。

告発ドキュメンタリーといえば、賛否両論あるマイケル・ジャクソンの性的虐待をつづった「リービング・ネバーランド」も話題になりましたね。

本作が「リービング・ネバーランド」とも一味違うのはウッディ・アレンを告発しているのが外部の人間ではなく、身内だということです。それも被害者だけでなく、家族のほとんどが証言しているのです。

外部の人間なら金目当ての告発という可能性も捨てきれませんが、娘のディアン・ファローからすれば父親であるウッディを嘘の告発で犯人に仕立て挙げるメリットは全くないでしょう。

さらに裁判記録、関係者の証言、電話の録音などから判断すれば限りなくウッディ・アレンは黒だといえる、あるいは自然とそう思えるストーリーになっていました。

同シリーズを見る前は、てっきり僕はウッディ・アレンは刑事裁判で無罪を勝ち取った、とばかり思っていました。だから訴えられても刑務所も行かずに済んだんだ、と思っていたのです。しかし実は刑事裁判になる前に検察が意図的に起訴することを断念していたんですね。

そう、ウッディ・アレンは性的暴行の罪では一度も起訴されていないんです。そしてそれこそが最大の落とし穴で、起訴されていない=白じゃないんですよ。

なぜ彼は起訴されなかったのか。同シリーズはそれを詳細にわたって説明していて、事件を担当した検察官までインタビューに応じています。

検察官によれば被害者がまだ7歳だったため、そんな小さな子供に裁判の証言台に立たせて性的虐待について証言させるのはあまりにも過酷だと判断したんだそうです。

起訴しようと思えばできるだけの証拠はそろっていたんです。しかしむしろ被害者のことを思ってやむを得ず、取り下げたんだそうです。

その心境が容易に理解できるほど、事件をめぐって被害者のディアン・ファローと家族はメディアに袋叩きに遭い、卑劣な二次被害を受けていたのです。

特にウディ・アレンは、子供だったディアン・ファローは母親のミア・ファローに洗脳されて、ウディ・アレンを悪者にするために嘘の告発を強要させられたという戦略でメディアはおろか、事件の捜査で重要な役割を果たした数々の機関を操りました。

ニューヨークにおいてウッディ・アレンの権力は絶大で、またしてもいかにアメリカの司法が権力者に対してひいき目で、腐っているかが如実に表れていますね。

さらに信じられないことにウディ・アレンは民事裁判を起こし、性的虐待をしたとされる養女のディアン・ファローと、ミア・ファローとの間に授かった息子のローナン・フォローの親権を求めたのでした。これによってさらにミア・ファローはメディアに悪者扱いされ、追い込まれていきます。

結果、民事裁判でウディ・アレンは親権を取るにふさわしくないと判断され、敗訴します。また、自ら墓穴を掘って、裁判の際にはウディ・アレンが養女を性的虐待した、と複数の証人たちから証言されて恥をかくことになります。

裁判では7歳のディアン・ファローがウッディ・アレンにどんなことをされたのかをお母さんに話す様子を録画したビデオテープが証拠として提出されました。ビデオテープも一つではなく、複数存在し、幼いディアン・ファローの言い分は一貫しています。ただ、あくまでも民事裁判なので、それでウディ・アレンが罪に問われることはありませんでした。

ディアン・ファローはウディ・アレンにとって自分の養子の娘であることには違わないんですが、彼は彼女を最初から性的な目で見ていたんでしょうか。

赤ん坊のころから育ててきたといってもウディ・アレンはミア・ファローと結婚していたわけではなく、同じ家に一緒に住んでいたわけではないので、法的には自分の娘でもあくまでも他所の家の子供という感覚で接していたのかもしれませんね。だとしても病気だけど。

それでいうと、同じくミア・ファローの養女である韓国系のスン=イーに対しても自分の娘という感覚はさらさらなく、チャンスさえあれば手を出してやろうと思っていたのかもしれませんね。

スン=イーとは合意の上とはいえ、彼女が高校時代から関係があったと考えられています。当時ウッディ・アレンが撮った彼女の裸の写真がたくさん出てきたそうので二人が男女の関係だったことは否定できないでしょう。その時点でもアウトだし、後に彼女と結婚して、子供まで作っちゃうんだからぶっ飛んでますよね。

スン=イーはいまさらウディ・アレンとの過去を明かすことはできないでしょう。そうすることは自分自身や子供の人生も否定することになってしまうから。

結果的にスン=イーは長年血のつながりもないのに自分を育ててくれた母親を裏切って、ウッディ・アレンを選び、ほかの兄弟たちとも完全に縁を切ってしまった、というのは家族的には悲しい結末としかいいようがありません。スン=イーはあの家で幸せじゃなかったのかなぁ。スン=イーの生い立ちも悲惨なだけに彼女の心理状態を想像するのは難しいですねぇ。

一方で自分の娘を夫同然の恋人に奪われるってミア・フォローからしたらきつい話ですよ。ディアン・ファローを虐待されただけでなく、もう一人の娘まで連れていかれちゃうんだから。本当、彼女の気持ちを想像すると、気の毒で仕方がないです。どれだけウディ・アレンがミア・フォローにとって恐ろしい存在か、ということですよ。

ウッディ・アレンの本性を見抜けなかった彼女が悪いといえばそれまでだけど、結婚してから豹変する人もいるからわからないよねえ。

奇しくも二人の間に生まれたローナン・ファローは弁護士、そしてジャーナリストになり、#metoo運動のきっかけとなる記事を書きます。それももとはといえば父親に対する様々な思いから始まっているともいえそうですね。自分の家族を性犯罪によって滅茶苦茶にされたローナン・ファローだけにリアルな声を世界に伝えられたのかもしれませんね。

#metoo運動をきっかけにウディ・アレンは窮地に追い込まれ、「レイニー・デイ・イン・ニューヨーク」がアメリカで上映が中止になるなど、彼の作品にまで影響が出てきます。

#metoo運動は加害者だけでなく、その人の作品に出演者した人にまで批判の矛先が向いているのが特徴で、まるで彼らまで加害者の一味のような扱い方はフェアじゃないですよね。

同シリーズもローマン・ポランスキーやウディ・アレン作品に出た俳優たちのコメントを拾って、悪印象を植え付けていましたが、あの部分だけは違和感を覚えました。ああいう部分が一つでもあると全体の内容まで印象操作をしていると言われかねないのですごくもったいないですね。

あくまでもウディ・アレンがやらかしたことで、ほかの俳優たちは関係ないでしょ。それに一緒に仕事したことまで非難されちゃったら生活費を稼がないと生きていけないアーティストやスタッフたちはどうしたらいいんでしょうか。作品に罪はあるのかないのか。難しい問題ですね。

いずれにしても諸悪の根源はウディ・アレンにあって、同シリーズで描かれていることが全くの作り話でない限り、ウディ・アレンの自業自得かつ卑劣で許しがたい話でした。

果たして彼はこのまま次回作を作ることもなく、小児性愛者として死んでいくのでしょうか。たとえ新作を撮ったとしても同シリーズを見てしまったら彼の映画で素直に笑える人はそう多くはないでしょう。あるいは作品は作品として面白かったら笑えるんでしょうか。僕も自分でも分からないです。いずにしても輝かしい人生とキャリアをこんな形で汚して終わっていくなんて本当残念ですね。

コメント

  1.   より:

    ローナン・ファローは「父親へのあてつけ、敵討ち」のような個人的な動機が背後にあると思われたくなかったのか、性的虐待のようなテーマは意図的に避けていたところがあったみたいです。(ワインスタイン糾弾記事も、もとはテレビの朝番組で割り当てられた調査報道の一つにすぎなかったとのこと)
    でも最終的には、当事者の一人として父親の問題を見てきた彼だからこそ多くの人を動かす記事が書けたのは間違いないんでしょうね。

    ここまで来ると出演したい俳優もいなくなるだろうし新作がスクリーンで見られることはもうないかも知れませんね。作品は未だに好きですが、さすがに本人のイメージが悪すぎる。

    • 映画男 より:

      もうスクリーンで見ることはなさそうですね。ウディ・アレンもいい歳だし、これをきっかけに引退っていうことになるのかなあ。

  2. マンマミーア より:

    実際、好きな有名人の裏の顔を見せられるというのは本当にキツいですよね。ましてや「性犯罪」だなんて…僕だったらその人の作品は今後一切見なくなりますね…