笑いあり、ほのぼのあり、感動ありのちょっといい話シリーズ。鑑賞後心温まります。68点
モダン・ラブ・今日もNYの街角でのあらすじ
エピソード1 私の特別なドアマン
マギーはニューヨークに住む明るくてフレンドリーな女性。マギーのアパートには洞察力に優れたドアマンのグスミンがいて彼女も彼には絶大な信頼を寄せていた。
新しい恋人が出来る度にマギーはグスミンに紹介し、グスミンは彼の意見をマギーに聞かせた。あの男とは上手くいかない、とグスミンがいうと大概その通りになった。
そんなある日、マギーはイギリス人のハンサムな恋人をアパートに連れ込んだ。グスミンはすぐにあの男は嫌いです。彼は中身が空っぽだ、と報告した。マギーはぞっこんだったが、すぐにグスミンの言う通りになった。
ところがマギーはしばらくしてその男との子供を妊娠したことを知る。そして悩んだ挙句彼女はシングルマザーとして子供を育てることに決める。
エピソード2 恋のキューピッドは世話好き記者
記者のジュリーは、人気マッチングアプリの開発者であるジョシュアにインタビューをしていた。最後に「あなたは誰かを愛したことがある?」と質問すると、オフレコでジョシュアはかつて心から愛し、別れてしまったエマのことを話し始める。
エピソード3 ありのままの私を受け入れて
レクシーはマッチングアプリで自分のプロフィールを書いているところだった。彼女には小さい秘密があった。ある日、スーパーで素敵な男性ジェフと知り合ったが、デート当日になって突然気分が悪くなり、最悪の形でデートを終えた。
しばらくして体調が戻ったのでジェフに自分から電話をかけてデートに誘ったが、その日も突然それはやってきた。ジェフが家まで迎えに来てくれたのにも関わらずレクシーはベッドから起き上がることができずにドアを開けることができなかった。レクシーは躁鬱病だったのだ。
モダン・ラブ・今日もNYの街角でのキャスト
- クリスティン・ミリオティ
- デーヴ・パテール
- キャサリン・キーナー
- アン・ハサウェイ
- ティナ・フェイ
- ジョン・スラッテリー
- ソフィア・ブテラ
- ジョン・ギャラガー・Jr
- ジュリア・ガーナー
モダン・ラブ・今日もNYの街角での感想と評価
「ONCE ダブリンの街角で」、「はじまりのうた」、「シング・ストリート 未来へのうた」などで知られるジョン・カーニーら複数の監督によるアマゾン製作のオムニバスドラマシリーズ。
ニューヨークタイムズに投稿されたエッセイを基にした、1エピソード30分程度のちょっといい話の詰まった恋愛劇。全8エピソードの大半が上質の演技と脚本によって楽しめる完成度に仕上がっています。
最初に断っておくと、僕はあまり恋愛恋愛している作品は好きじゃないです。恋愛オンリーの物語って結構どうでもいいんですよね。
恋愛ドラマには必ず何かを掛け合わせることが必要だと思っていて、恋愛XSFとか、恋愛Xホラーとか上手い掛け合わせができた作品は自ずと成功していますよね。
そういう意味でいうと、同シリーズでも掛け算していないゴリゴリの恋愛ストーリーはエピソード2、5、6、8でしょうか。
それ以外は恋愛と見せかけて別の主題を描いていますよね。エピソード1はヒロインとドアマンの関係性を、3はヒロインの躁鬱病と向き合っていく姿を、4は倦怠期を乗り越える熟年カップルの様子を、7はゲイカップルと彼らに養子の赤ん坊を授ける女性との関係を描いています。僕は好きなのはやっぱり後者のグループですね。
一番つまらないのはエピソード2でマッチングアプリのCEOとかつての恋人の話ですね。あれ彼女が浮気しておいて、私が愛しているのはあなたなのって意味不明だし。男も話し合いすらせずに許すこともできず、すぐに家を出て行っちゃうし、あんな別れ方をしたのにでもやっぱり忘れられないからって今の彼氏彼女と別れて、二人がもとのさやに戻るってなんて自分勝手な話なんだよ。お互い今の相手を大事にしろよって。今のパートナーを傷つけて昔の相手とよりを戻すことをなにを美談みたいに語っちゃってんだよ。
一方、僕が好きなのはエピソード1、4、7です。エピソード1のヒロインは自然体で可愛くていいし、ドアマンが最後に言った言葉は痺れますね。
「私が見ていたのは男じゃなくて、君の目だよ」
君の幸せそうな姿を見れば今のパートナがどれだけ君に相応しいか分かるっていうなかなか心理をついた名セリフでしたね。
エピソード4は恋愛ではなく、ぎくしゃくしている夫婦関係を絶妙に描いていましいた。特に夫のほうが無意識に妻をないがしろにする行動がリアルで、道路の向こう側に知り合いがいたときに妻をその場に置いて道を渡ってしまうとか男は結構やりがちですよね。
悪気はないんだけど、そういうちょっとしたところで愛情が失われたと妻に感じてしまわれても言い訳ができないですね。実際、恋愛の真っ最中にあれをやるかって言ったらやらないんだし。
ただ、二人は喧嘩をしながらもテニスという共通の趣味を見つけ、それを続けたことでいつしかラリーができるようになった、というのはものすごい美しい話じゃないですか。あのラリーは色んな比喩で使われていたような気がしました。
エピソード7のゲイカップルが養子を迎える話は今実際に現実で起こっている出来事で、僕の住むブラジルでもそういうケースが増えてきています。性別、セキュリティーに関係なく、家族を築ける時代になったんですね。そういうネタを早くから取り入れてるのはさすがだし、「モダン・ラブ」の名に相応しいテーマだと思いました。
ただ、あのヒッピー女を家に泊めるのはありえないですね。いくら恩義を感じているとはいえ、礼儀はないし、男は連れ込むし、部屋は片付けないし、あれを自由主義みたいな感じに言われてもね。主義を語る前にマナーを守れよって。人の家だからね。
ゴリゴリの恋愛エピソードグループの中では、デート中にガラスで手を切って病院送りになるエピソード5が男の妄想ストーリーとしてはなかなかの出来だったと思います。でもまああれを事実に基づくというと、嘘になるでしょうね。もうどんだけ女の子がいい子なんだよって話だもん。
いわゆるブサメンと美女カップルの話なんだけど、男のほうに外見だけじゃなく、中身のほうにも魅力が全然なく、なぜかそんな奴に美女が優しくデートに誘ってあげ、ベッドインになろうかというときにへまって怪我をするアホな男を病院まで付いて行って一晩中介抱してあげる、というファンタジーストーリーになっていました。
あれで女の子のほうがブスで男がイケメンだったら成立する流れだけど、あれはないわ。あれはないし、あんな美女にあんなことされたら誰だって惚れるよ。ふざけんなよ。なんでオシャレなカーディガンを血だらけにされてもあんなに気にせずにいられるんだよ。天使かよ。
承認欲求が高い女という設定だったけど、なおさらそんな子が出会ったばかりでへまばかりする男にあそこまで尽くすとは思えないんですけどね。
でも最終エピソードで彼女が再登場し、哲学的なことを言います。
「物事が上手くいかないときこそ、逆の行動をしたほうがいい。割り込み運転されたら、次の車にも譲ってあげる。お金を盗まれたなら、寄付をする、デートをすっぽかされたなら、ほかの人とデートに行く。そしたら宇宙を調節できるから」
パラドックスのようですが、なかなか的を射ているセリフだと思いました。あの男が言ったら、黙れよ!ってなるけど、病院で一晩中笑顔で付き添ってくれるあの子がいうと妙に説得力がありますね。
ラストのエピソード8は、日本人のお爺ちゃんと、白人のおばあちゃんの恋愛ストーリーという設定は意外性に溢れていました。こういうところにも多様性とモダンさを感じさせるものがあって、話自体もなかなか涙を誘ういい話になっています。
ただね、ひとつ惜しいミスを犯していたのに気付いたでしょうか。日本人のお爺ちゃんはケンと呼ばれていましたが、本名はケンジで葬式のシーンで名字をよく見ると、こんなふうに書かれていました。
「Kenji Inouuye」
ケンジ・イノウウイェーってなんだよ。ラストのラストでいい話をぶち壊すなよな。ブラジルでも確かに昔の移民って移住したときにスペルミスや現地の発音に合わせて名前や名字を登録する人が結構いるんですよ。Inouyeって書いたりとか。
でもせめてドラマの中ぐらいちゃんと書いて欲しかったなあ。いくらなんでも「U」は二つもいらないでしょ? そういうとこしっかりやれよ。
コメント
いまSeason2を見ていますが、舞台がイギリスやアイルランドなど色々ありで、地方も出てくるので景色も楽しめます。ミニードライバーを久々に見たのですが、若い時はつよつよ過ぎる?イメージが、歳を取って良い感じになったなあーと感慨深くなりました。
これシーズン1はすごく楽しかったんですが、シーズン2は急に質が落ちた感じがして最後まで見れませんでした。機会があれば東京版もぜひ見てみてください