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デンマークの息子はテンポの悪い差別映画!感想とネタバレ

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この記事は 約4 分で読めます。

重くて息苦しいデンマーク産人種差別ドラマ。見れる映画ではあるけれど、スピード感に欠け、先が読めてしまうのがマイナスです。55点

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デンマークの息子のあらすじ

デンマークの首都コペンハーゲンでイスラム過激派による大規模なテロが発生してから1年後。アラブ人に対するネガティブな国民感情が膨れ上がったのもあって、国民の間では極端な思想が支持されるようになっていった。

そんな中、移民排斥を公約する極右政党が立ち上がり、党首のマーティン・ヌールダールは過激な発言で注目を集めていた。首相選挙を間近に控えた彼は単一民族国家であるデンマークを取り戻すなどといい、移民を祖国に帰すとまで言い切った。

一方、19歳のアラブ人青年のザカリアはそんな状況を悲観していた。街ではヘイトクライムが頻繁に起こり、移民を侮辱する落書きがあちこちにあった。

やがてザカリアは過激派組織に身を置くようになり、極右政党の党首マーティン・ヌールダールの暗殺計画に参加することになってしまう。

ところがいざ計画を遂行しようとすると、思わぬ出来事が彼を襲うのだった。

デンマークの息子のキャスト

  • ザキ・ユーセフ
  • モハメド・イスマイル・モハメド
  • ラスムス・ビョーグ

デンマークの息子の感想と評価

アラブ系デンマーク人監督ウラー・サリムによる長編デビュー作。人種差別、ヘイトクライム、移民問題などをテーマに過激や思想に走るデンマーク国民と移民たちをつづったヘビーな話です。

舞台は2025年のデンマークですが、これといった未来っぽさはほとんどなく、今現時点で世界で起きていることをデフォルメして描いているような印象です。

党首マーティン・ヌールダールはトランプ大統領でしょうか。それともフィリピンのドゥアルテ大統領でしょうか。

彼は過激な発言を繰り返し、移民のせいで治安、経済が悪くなった、警察に犯罪者を殺す権利を与える、などと信じられないことを言いつつも国民から強い支持を受ける、という最近よくいる口の悪いワンマン政治家キャラになっています。

一方の青年ザカリアは勉強も仕事もせず、移民排斥の雰囲気が漂うデンマーク社会でもがきながら、悪い大人たちに誘われるように過激派組織のメンバーになります。

最初の1時間はザカリアが主人公のような扱いですが、その後はデンマーク警察で働く覆面捜査官のアラブ人マリクにバトンタッチしていくのが特徴で、マイノリティのザカリアとマジョリティの象徴である政治家のマーティン・ヌールダール、そして中立の立場にいるザカリアの目線で物語が進行していくユニークな手法を取っていました。

社会に不満を抱えたマジョリティ、あるいはマイノリティがなにかをきっかけで爆発するのは2020年のアメリカを見ているようです。

それにしても一部の頭のおかしいテロリストのせいで、どこにいっても迫害を受けるイスラム教徒の人々は不憫でしょうがないですね。せっかく戦争を逃れて、先進国に移民してきたのに、外国でも別の戦争が待っている、という皮肉。

地理的に近いというのもあるんだろうけど、なんで難民や移民の多くは欧州やアメリカを目指すのかなぁ。人種差別の少ないブラジルに来ればいいのにって思っちゃいますね。街歩いていて、酸をかけられる国なんかいたくないよね。

全体的に緊張感はあるし、不穏な空気は伝わってきて、最後まで見れる映画ではありました。演技も上手いしね。

一方で途中からテンポが失速し、なかなか話が展開していかないもどかしさがあります。特にザカリアが実行しようとする暗殺計画までが引っ張りすぎで、もういいから早くやれよって突っこみたくなりました。話が長いし、悩んだり、迷ったり、食事したり、っていう無駄なシーンが多いですよね。

それは覆面捜査官のマリクが主人公になってからも同じで、スローなせいもあって自然と先が読めてしまうのがいまひとつです。特にラストのオチは誰もが予想できたんじゃないかな。最初からマリクは自分の仕事に抵抗を覚えていた様子だったし、人種差別を題材にした映画のオチとしては当然ああなるわな、っていう終わり方でしたね。

あと、覆面捜査官は二度同じターゲットの任務についたりしないからね。そんなことしたら危険極まりないし、もう顔バレしてるんだからそもそもその任務に意味がないよね。

色々と突っ込みどころはありますが、デビュー作にしてしっかりとしたテーマのもと、議論を呼ぶ内容で話を組み立て、話題を作ったのはすごいですね。

セイント・モード」や「サンダーロード」もそうだけど、今の時代、デビュー作=未熟や未完成、といったこともなくなりましたよね。それだけ映画製作の手法、ツール、環境が揃っているのもあるんでしょうね。

コメント

  1. アオヤンマ より:

    デンマーク、LEGOとカールスバーグかな、ビールを知ってますがあとは知らない。
    でも移民問題があるんですなあ。
    こういうのは観ておきたいですね。

  2. ちー より:

    確かにスローでしたが、緊迫感はありましたね、
    仰るように先は読めるので、自分の読みが外れて欲しいと願いながら見ていましたが、あれが現実ですね。
    移民とはまた違いますが外国からの移住者が増えている日本も近い将来、似たような事が起こるんではないかと他人事には感じられなくなって来ました。
    ブラジルは人種差別が少ないんですね!素敵ですね!