ネットフリックスの映画ランキングで上位に入っていたから見たら、大いにがっかりさせられたイタリアンアクション。プロットはパクリだし、オチがひどいです。34点
内なる獣性のあらすじ
かつて軍の特殊部隊にいたレオニダ・リヴァは引退後、戦場のトラウマを抱えながら孤独に生きていた。精神不安定だった彼は常時、薬を服用していた。カウンセラーからは合同のセラピーセッションに出るように言われていたが気が乗らなかった。
そんなある日、レオニダ・リヴァは久々に疎遠だった妻、息子、娘に会いに行く。息子のマティアは家族から離れていったレオニダ・リヴァに強い恨みを持っていた。
その晩、マティアが妹のテレサとハンバーガーを食べに行き、マティアが席を離れた隙を見て、何者かがテレサを連れ去ってしまった。
マティアは仕方なく、父親のレオニダ・リヴァに頼るしかなかった。一応警察を呼んだもののレオニダ・リヴァは警察に頼ることなく、犯人を自ら追うことにする。
内なる獣性のキャスト
- ファブリツィオ・ジフーニ
- リノ・ムゼーラ
- モニカ・ピゼッドゥ
- アンドレア・ペンナッキ
- エマヌエーレ・リンファッティ
内なる獣性の感想と評価
ルドヴィコ・ディ・マルティーノ監督による、誘拐された娘を奪い返そうとする元軍人の父親を描いたイタリアンアクションスリラー。面白そうな雰囲気はあるものの、テンポが悪く、いまいち乗れない救出劇です。
戦場の記憶がトラウマになっている元軍人の男がある日、娘を誘拐され、人身売買組織から娘を救出する、というプロットは、もろ「ランボー ラスト・ブラッド」のまんまですね。
「ランボー ラスト・ブラッド」は誘拐された娘が実の娘じゃないというだけで、大筋の内容は同じで、よくこれで企画が通るな、という感じがしました。
ランボーぐらい滅茶苦茶やってくれたらいいんですが、この映画の場合、グロさはかなり控えめになっていて、アクションシーンでは主人公がほぼほぼ素手で戦います。
そう、つまりはマフィア、ギャングといった暗黒組織に元特殊部隊の隊員が武器も持たずにたった一人で挑むというプロレス的、漫画的な演出になっているわけです。
主人公が素手で戦いたなら勝手にそうすればいいけど、犯罪組織の奴らもなぜか大半は素手で立ち向かって来るんですよね。だからガンアクションはほぼなく、いまいち興奮に欠けるのはそのせいかもしれません。
主人公を演じるファブリツィオ・ジフーニは迫力はあるし、なかなか強そうです。しかしアクションはややスローで特殊部隊のスキルを存分に披露したとは言えないですね。そもそも特殊部隊の隊員が銃を使わないんだから披露するつもりもなかったんでしょう。
脚本があまりよろしくないため、途中途中でいらないシーンや会話が邪魔をします。特に戦争時代の回想シーンは長すぎますね。家族同士の会話、主人公と戦友の会話など、話の内容がどこにもたどり着かないものが多すぎます。
第一、あそこまで過去を振り返るなら、過去の出来事と娘の誘拐事件が関連していないと話にならないですよね。
それなのに事件の黒幕は無関係の人身売買組織だったみたいなオチはちょっと納得がいきませんね。伏線をばらまきまくって全く拾わないって、なかなか自分勝手なことしてくれるよね。
ランボーもトラウマの回想シーンはあるけど、あんなにネチネチ昔のことを思い出したりしないじゃないですか。そんなことよりさっさと娘を探しにいけよって話なわけで。
また、父親と娘の関係性をほとんど描いていないため、娘が父親をどれだけ信頼しているのかも分からないし、父親が娘をどれだけ溺愛しているかも分からないんですよ。だから不在だった父親が急に父親面しだしたみたいなことになっていて、それも感情移入できない原因の一つでした。
警察も大分ポンコツでしたね。あんなに派手に逃走しているジープを見つけられないのもそうだし、黒幕のモーツァルトがやっていた人身売買ビジネスについて全く知らなかった様子だったし、事件の手がかりは何も持っていないっていうね。
挙句の果てには刑事が、自分のことをひき逃げしたレオニダ・リヴァに君のおかげで助かったよみたいに感謝しちゃったりなんかして、精神状態まで疑いたくなりました。レオニダ・リヴァは娘を助け出すためにあれだけ罪を重ねたのに、無罪放免なわけですか? なんでもありだな。
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