主人公には大いにむかつかされるけど、結局は楽しんで見れちゃう映画。最後の怒涛の展開は素晴らしかったです。64点
アンカット・ダイアモンドのあらすじ
ニューヨークで宝石商を営むユダヤ人のハワードはギャンブル好きで多方面からお金を借り、トラブルが尽きなかった。そんなある日、ハワードの宝石店にNBAのスター選手、ケヴィン・ガーネットが現れる。
ちょうどそのときエチオピアからハワードが長年探し求めていた珍しいオパールが届く。それを自慢気にケヴィン・ガーネットに見せると、ケヴィン・ガーネットは不思議な運命を感じてオパールを欲しがった。
オパールは競売にかけることが決まっていたためハワードは断った。しかしケヴィン・ガーネットがあまりにも執拗に頼んできたため、NBAのチャンピオンリングを担保に1日だけ貸してあげることにする。
すると、ハワードは今度はそのチャンピオンリングを質屋に持っていき、大金を借りた。あろうことかその金でケヴィン・ガーネットが出場するNBAの試合に賭けてしまったのだった。
オパールを持ったケヴィン・ガーネットは最強だった。試合でゴールやリバウンドを決めまくり、大活躍した。ハワードの予想は的中し、彼は大金を手にするはずだった。
ところがハワードは借金をしていたユダヤ人仲間のアルノの用心棒に拉致され、自動車のトランクに裸で閉じ込められてしまう。アルノは借金があるにも関わらずハワードがギャンブルをしていたことを知り、激怒していた。そしてハワードの掛け金も取り下げていたのだった。
一方、ハワードが競売に出そうとしていたをケヴィン・ガーネットは返却するのをためらっていた。ケヴィン・ガーネットはすっかりオパールの魔力にはまり、ゲン担ぎのために自分の側に置いておきたくなったのだ。
ハワードはケヴィン・ガーネットからオパールを取り返そうとするが、その間にも愛人、家族、借金取りなど様々なトラブルに見舞われる。
アンカット・ダイアモンドのキャスト
- アダム・サンドラー
- ラキース・スタンフィールド
- ケヴィン・ガーネット
- イディナ・メンゼル
- エリック・ボゴシアン
- ジャド・ハーシュ
アンカット・ダイアモンドの感想と評価
「グッド・タイム」や「神様なんかくそくらえ」のジョシュア&ベン・サフディ監督による、アダム・サンドラー扮する宝石商が巻き起こすドタバタ犯罪劇。
主演にアダム・サンドラー、脇役にNBAの選手ケヴィン・ガーネット本人と歌手のザ・ウィークエンド本人が出演しています。
主人公にイライラさせられながらも登場人物たちの先の読めない行動に惑わされ、結局最後まで見てしまう一風変わった映画で、いわば掴みどころのない物語でメッセージ性やストーリー性よりも、怒涛の展開を楽しむタイプの作品ですね。
ジャンル的には「シリアスマン」、「ビッグ・リボウスキ」、「ミラーズ・クロッシング」、「ノーカントリー」などでお馴染みのコーエン兄弟の作品に近いものがあります。奇しくもサフディ兄弟もユダヤ人で、本作でもユダヤ人を描いていて共通点も少なくないです。
主人公のハワードはお調子者の宝石商でギャンブルにのめり込み、あらゆるところから金を借りているにも関わらず、愛人を囲い、羽振りの良さげな暮らしをし、なんとかビジネスかギャンブルで一発逆転を企んでいるような男です。
ハワードは客とも家族とも愛人ともいい加減な距離感で付き合うのが特徴で、常に目の前にあるトラブルを解決するたね、あるいは後回しにするために奔走する綱渡り人生を送っています。
そんな彼の姿は慌ただしく、自分自身で巻いたトラブルの種を口からでまかせや行き当たりばったりの発想で交わそうとする様子は腹立たしくもあります。
でもハワードのクズっぷりはものすごくリアリティーがあって共感は一切なくても不思議と最後までバカ男の末路を見守ってやりたくなる自分がいました。愛人と上手くいかなくなった途端に奥さんと寄りを戻そうとする下りとか最高です。
アダム・サンドラーは腹立つ男の役をやらせたら上手いですよね。どこかハワードのキャラは「パンチドランク・ラブ」の主人公と被るものがありました。
とはいえギャンブル狂いという点ではまた違った一面を見せています。やっぱりギャンブル好きの価値観は、普通の人とは感覚が大分違うでしょうね。
カジノで生計を立てているプロのギャンブラーならまだしも負けても負けてもやめられない依存症タイプはギャンブルの持つ中毒性や興奮そのものに魅了されているようなところがあって、ハワードも例外ではありませんでした。
なんでその金をそこに突っ込むんだよっていうことばかりだからね。命を狙われるほど危険な目にあっても借金を返そうとしなかったり、せっかくお金ができてもすぐに使っちゃったり、完全に病気ですよね。
ハワードの奥さんが、「まじであんたの顔むかつく。あんたなんか最低の男」と言っていたのがすごく的を射ていて、あの真剣味に欠ける終始半笑いの顔が憎悪を引き起こしますね。
人の話は全然聞いてないし、借金は返す気ないし、不義理だし、嘘つきだし、「あ、こいつは殺されてもおかしくないわ」って思っちゃいました。
なぜかそんなクズのおっさんに若くてセクシーな愛人がいて、結構本気で惚れられているのが不思議でなりませんでした。ああいう男に女性は母性をくすぐられるんでしょうか。
あの愛人は愛人で有名なシンガーとその場の雰囲気でやりそうになったり、尻に名前のタトゥーを掘ったりと、ノリに任せてやらかすタイプでハワードとはある意味似た者同士でしたね。
最大の見所は散々やらかし、恨みを買ってきた男が行き当たりばったりで生きて来た結果、一体どうなるのかというのを見せるラストでしょう。
全く予想がつかなかったし、意外性は十分で、また皮肉もかなり込められていました。まああれはあれでハワードにとっては幸せだったのかもなぁ。だって彼が最後に見せた表情は満面の笑みだったからね。斬新なハッピーエンドですね。
コメント
この監督の「グッドタイム」が大好きで、「アンカット・ダイアモンド」を観たクチです。サフディ兄弟の観客をイライラさせながらも決して主人公を見離させない演出力には驚かされました。一歩間違えれば全く共感できない、どうなってもいいようなキャラクターを主人公に置くのはかなりリスキーなのに、それを承知の上で敢えてギリギリのラインに挑戦しているようにも感じられます。
個人的には「グッドタイム」の方が好きだったので、是非そちらの感想も読んでみたいです。
確かに共感できない主人公って映画的にはリスキーですね。グッドタイムはまた機会があれば感想書きますね。