可愛くて憎めないキャラクターたちがニューヨークで繰り広げるおとぎ話的恋愛ストーリー。天気の悪いニューヨークをオシャレに撮影することに成功している作品です。52点
レイニー・デイ・イン・ニューヨークのあらすじ
ギャツビーはペンシルベニア州のヤードレー大学に通う、裕福な家庭に生まれた若者。彼は大学に行くことに対してそれほど真剣ではなく、これまで親に言われるがままピアノを弾いたり、小説を読んだりしてなんとなく過ごしてきた。得意なことといえばポーカーぐらい。
そんな彼にはアシュレイという名の美しいブロンドの恋人がいた。アシュレイの親はアリゾナ州ツーソンで銀行を経営している大金持ちだった。
アシュレイも同じヤードレー大学に通い、ジャーナリズムを専攻している。ある日、アシュレイは有名な映画監督ローランド・ポラードとのインタビューのアポを取ったと喜んで話した。
インタビューが行われる場所はニューヨークだった。アシュレイとギャツビーはインタビューのついでに週末ニューヨークに泊まって、素敵な時間を一緒に過ごそうと言って興奮した。
ギャツビーはニューヨークに詳しく、アシュレイに見せたい場所が山ほどあった。
ところがいざニューヨークに着き、アシュレイがインタビューのために別行動を取ると、二人は大都会の中ですれ違っていく。
数時間だけの予定だったインタビューは長引き、アシュレイは監督の未公開映画のスクリーニングやパーティーにまで付いていってしまう。
一人残されたギャツビーは複数の昔の友人と偶然街で遭遇し、ひょんなことからかつての恋人の妹、チャンとも再会する。
ギャツビーを置いていったアシュレイはセレブたちが集まる華やかな世界に引き込まれて行き、ギャツビーのことを後回ししていった。
一方のギャツビーはチャンと美術館を巡っているうちにニューヨークに住む苦手な両親にも会いにいかなければならなくなる。
そうこうしているうちにギャツビーとアシュレイの距離は雨の降るニューヨークで余計に離れていく。
レイニー・デイ・イン・ニューヨークのキャスト
- ティモシー・シャラメ
- セレーナ・ゴメス
- エル・ファニング
- ジュード・ロウ
- ディエゴ・ルナ
- リーヴ・シュレイバー
- リー・アシュフォード
- レベッカ・ホール
レイニー・デイ・イン・ニューヨークの感想と評価
「カフェ・ソサエティ」、「マジック・イン・ムーンライト」、「ローマでアモーレ」、「ミッドナイト・イン・パリ」、「それでも恋するバルセロナ」、「女と男の観覧車」などで知られるウディ・アレン監督による、雨降りのニューヨークを舞台にしたロマンチックコメディ。
大学生のカップルが、週末だけニューヨークに遊びに行ったのをきっかけに、すれ違っていく、ちょっと可愛いドタバタロマンスです。
毎度お馴染みのウッディ・アレンの手法で作ってある映画で、いわばオチを知りながらついつい見てしまう喜劇のような視聴者と監督との間のお約束の中で成立しているドラマです。
ストーリーラインは、特に深刻な悩みのないお金持ちの大学生カップルがニューヨークを訪れ、楽しいひと時を過ごそうかと思ったら、思うようにいかず、お互い思い思いの時間を過ごす、というすれ違い物語になっていました。
主人公の二人は、そんなバカなと言いたくなるぐらい道端で様々な人々と遭遇していき、軽いノリでどこまでも付いていき、レストランやらバーやらパーティーやらに潜入していきます。
あまりにも無計画の二人の旅は一見、せわしく、落ち着きがないですが、レストラン一つにしても、ホテルの部屋にしても、ものすごくエレガントに描かれているのが特徴です。
ロケ地がいちいちオシャレで、色鮮やかなため、てっきり昔のニューヨークが舞台になっているのかと思ったほどです。でも現代なんですね。
僕の知ってる無機質なニューヨークとは違って、そこにはまるで欧州の風景が広がっていて映像にはウッディ・アレンの美術的なセンスが光っていました。
会話は相変わらずの早口の小ネタといった感じで、ところどころふふふと笑えるぐらいです。別に大爆笑するわけじゃないし、特別ロマンチックかといわれてもそうじゃないのに、それでもちゃんと見ていられるからすごいですよね、この人の映画は。
それにしても一体いつまで恋愛ドラマ撮るつもりなんだろう。80過ぎのおじいちゃんのどこにそんなロマンチックな発想が浮かんでくるのか不思議でしょうがないです。生涯ロマンチストってすげえなぁ。
ウッディ・アレンのストーリーってぶっちゃけ誰と誰がくっつくか、とかどうでもいいもんね。思い通りにいかない男女がそれぞれ自分の気持ちに正直に行動し、お互いの運命を受け入れていく、というのがパターンですよね。本作もそのパターンから決してそれていませんでした。
出演者はかなり豪華でした。
「キング」、「ビューティフル・ボーイ」、「君の名前で僕を呼んで」のティモシー・シャラメをはじめ、エル・ファニングやセレーナ・ゴメスが、ヒロインとして登場します。ティモシー・シャラメはウッディ・アレンの世界の中でもなかなか様になりますね。
また、脇役にジュード・ロウ、そしてディエゴ・ルナまで出て来たり、キャストだけでも遊び心が満載でした。
しかしながらこの映画、実はミートゥー運動でウディ・アレンが養女への性的虐待疑惑が再熱したせいで、お蔵入りになりそうになった曰くつきの映画だったんですね。ちなみにアメリカでは劇場公開されていないんだそうです。
なんだかウッディ・アレンまでローマン・ポランスキーみたいな扱いになってきましたね。今後、彼の映画製作はどうなるんだろう。
また、この映画に出演した、レベッカ・ホール、グリフィン・ニューマン、セレーナ・ゴメス、エル・ファニングなどがウッディ・アレンに対する抗議として、もらったギャラを寄付するという事態にまでなったんだそうです。こんなに可愛らしいストーリーなのに、舞台裏ドロドロかよ。
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