子供向けの超絶分かりやすい英雄物語。アメリカ人は怒っていいレベルの偏見のストーリーです。38点
イップ・マン完結のあらすじ
1964年のある日、イップ・マンは病院で癌と診断された。息子のイップ・チンは学校で喧嘩をしたため、退学処分になっていた。
ちょうどその頃、イップ・マンの道場にアメリカ人の青年がやってきては弟子のブルース・リーが空手トーナメントを開催するからぜひアメリカに来てほしい、と誘われる。
最初は時間がなくて行けないと断ったものの、息子が学校を退学になったこともあり、イップ・マンは息子の留学先を探すためにサンフランシスコに行くことにする。
サンフランシスコに到着したイップ・マンは、チャイナタウンで活動している格闘技のマスターたちと出会う。しかしマスターたちはイップ・マンを歓迎するどころか、弟子のブルース・リーが中国人ではなく、アメリカ人に中国の格闘技を広めようとしていることに強く反対していたのだった。
ブルース・リーはアメリカ人の生徒を数多く抱え、英語で本を書くなどしていた。それは中国人コミュニティーにとっては、掟破りのことだった。
イップ・マンは、息子が留学できるために中国人社会を管理する中華会館の会長ワンに推薦状を書いてもらうつもりだったが、閉鎖的な考えを持つ彼の考えに同意できず、逆に喧嘩別れしてしまう。
仕方なく直接学校の校長と話をしに行ったイップ・マンは、そこで ワン会長の娘ヨナがいじめられているところに遭遇し、ヨナを助ける。
ヨナは中国人であることを理由に白人の生徒たちからひどい扱いを受けていた。アメリカ社会に根付く中国人差別が、ワン会長がアメリカ人には格闘技を教えたくないという理由の一つでもあった。
サンフランシスコのカンフーコミュニティーは、空手コミュニティーとも揉めていた。空手をやっているアメリカ人がカンフーなんてフェイクだと言って、絡んで来ることが多かった。
アメリカの海兵隊の訓練では空手が取り入れられていたが、ブルース・リーの弟子であり、中国系アメリカ人のハートマンはカンフーも実践に使えるといって上官たちを説得しようとしていた。
しかしバートン・ゲデス軍曹は空手のほうが優れているといって、ハートマンをあざ笑った。試しに空手の師範とハートマンを戦わせ、実力を証明するように挑戦した。その戦いでハートマンは破れてしまう。
しかしハートマンは、バートン・ゲデス軍曹の上司を直接説得することに成功し、好反応を得ていた。チャイナタウンで開かれる祭りでカンフーのイベントがあるからその様子を撮影して資料に使いたいというとそれも承諾してもらえた。
ところがこれを聞いたバートン・ゲデス軍曹は逆上し、空手の師範を送り込んで、イベントを邪魔することにする。空手の師範は次々とカンフーマスターたちを倒していくが、なんとかカンフーの威厳を守ったのがイップ・マンだった。
イップ・マン完結のキャスト
- ドニー・イェン
- リン・ホン
- マックス・チャン
- スコット・アドキンス
- パトリック・タム
- チャン・クォックワン
- ワン・シィ
イップ・マン完結の感想と評価
ウィルソン・イップ監督による、ブルース・リーの師匠イップ・マンの終期を描いたカンフーアクション。
イップ・マンがアメリカに行ったのをきっかけに、チャイナタウンとアメリカ人との抗争に巻き込まれる漫画的おバカストーリーです。実在する人物の話だけど、ノンフィクション10%、フィクション90%ぐらいファンタジーなドラマになっています。
まず、どんだけよっていうぐらい中国人を善人、アメリカ人を悪人として描いているのが特徴です。アメリカ人は基本全員差別主義者で、中国人をいじめます。
一方の中国人は差別にも決して負けず、中国人としての誇りを持ってカンフーを使って悪を成敗する、という世界観になっています。ちょいちょい空手をだしに日本人も叩いている気配もありますね。
あまりにも偏見と差別に基づいた設定にはもう笑うしかないです。まあ、さんざんハリウッド映画もロシア人やアラブ人を悪人として描いているのでお互い様なんですけどね。
ただ、偉人の最期を描く映画としては、あまりにも幼稚で、お粗末な演出になっているなぁ、と感じました。
ストーリー展開はワンパターンで、登場人物が誰かと揉めてカンフー、また別の登場人物が誰かと喧嘩してカンフーの繰り返しです。
肝心のカンフーアクションもいまいちですね。パンチとキックがとにかく軽くて相手に効いている感じが全くしないのがいけません。ワン会長とテーブルを押し合う下りとかコントじゃないですか。
カンフースターの高齢化問題は日本の高齢化社会よりももしかすると深刻かもしれませんね。
イップ・マン、あれで前作ではマイクタイソン倒してるからね。嘘つけよって。せめてもっとアクションシーンに至るまでのストーリーがないと、大人はとてもじゃないけど見れないですよ。
この映画の最大のギャグは、アメリカ人は獣だ、オオカミだ、白人たちはみんな悪人だ、と啖呵を切っているワン会長の娘ヨナが、どう見ても白人とのハーフだという点ですね。あの役は絶対純潔の中国人にしないとダメだろ。
それもお母さんは登場せず、ワン会長はシングルファザーみたいな描写になっていたのが笑えます。っていうかあんだけ差別してるのに白人と結婚したのかよって突っ込まずにはいられないですね。
また、ヨナが美少女のため、ヨナのゴリ押しがひどいです。そのままヨナの半生を描き出すのかなって思ったぐらいです。
なんならヨナをカンフーマスターにしてアメリカ人をやっつける、という話でもよかったんじゃないかなぁ。そしたらイップ・マンの話じゃなくなっちゃうけどね。
そもそもイップ・マンに花を持たせるためのストーリーなら、ヨナいらなくない?
また、中国人コミュニティーがあれだけアメリカ人と揉めているのに、若くてイケイケのブルース・リーが全然助けに来ないのが面白いですね。
中国人の尊厳が脅かされる問題がアメリカで起きているのに中国から来た一連のトラブルとはおよそ無関係の高齢の師匠に戦わせるって弟子としてどうなんだよって話じゃないですか。
それにさあ、いい大人なんだから葬式にサングラスかけて来ちゃダメだろ。日差しの強い野外の埋葬式ならまだしも室内なんだから取ろうよ。
実際の葬式のときにはサングラスしてないでしょ。そういうところしっかりやろうよ。ファンタジーになりすぎて、もはや本人に失礼だろ。
コメント
近年のカンフー映画では『李小龍 マイブラザー』がお気に入りです。
高校生時代のブルース・リーの伝記映画を実弟監修でつくってます。
実は自転車に乗れなかったなど面白エピソードも豊富です。
ブルース・リーの伝記映画多いですねぇ。