とりあえずテイラー・スウィフトを出しておけばファンが見るだろうと思っている類の記録映画。内容薄々で、テイラー・スウィフトの魅力が感じられない作りになっています。32点
ミス・アメリカーナのあらすじ
テイラー・スウィフトは子供の頃から歌手を目指してたくさんの曲を自ら作曲してきた。やがて彼女は誰もが認めるスーパースターとなり、数々の賞を受賞する。
しかしトップに上り詰めたテイラー・スウィフトが直面したのは、突然手のひらを反すメディアやSNSによる心無いコメントや誹謗中傷だった。
有名になればなるほど、人々やメディアによる彼女の粗探しがエスカレートしていき、体型ことなどを好き放題書かれるようになった。それによってテイラー・スウィフトは拒食症に苦しんだり、摂食障害に陥ったりした。
そんな中でテイラー・スウィフトはできる限り、波風を立てないように、トラブルを回避するように生きようと努めてきたが、自分を抑えて生きることに疲れ果てていた。
やがて彼女は決心を決め、政治的立場を表明することにする。
ミス・アメリカーナのキャスト
- テイラー・スウィフト
- アンドレア・スウィフト
- スコット・スウィフト
ミス・アメリカーナの感想と評価
ラナ・ウィルソン監督による、今を時めく人気シンガー、テイラースウィフトを追いかけたドキュメンタリー映画。
順風満帆に大成功を掴んだかのように見える人気歌手が、成功の影でいかにメディアや人々から誤解を受け、苦しめられてきたかをつづった、戦う女の物語です。
結論からいうと、ものすごく退屈で、すでにニュースなどで報じられている経緯をまとめただけのような薄っぺらい話でした。いわば信者ビジネス映画で、「Hulu安室奈美恵ドキュメンタリー」や「ARASHI’s Diary」と同列に置いていいと思います。
それでも特別テイラー・スウィフトのことが好きなファンなら、彼女の未公開映像が見れることに興奮するんでしょう。逆にニュートラルな人にとっては、まあつまらないです。
テイラー・スウィフトの活躍と努力はすごいんですよ。名声を得た裏側で、下品なメディアのコメントやSNSに集まるネガティブコメントと日々戦っている姿は勇敢かつタフです。
それでもめげずに音楽を続け、自分を表現し、前作のアルバムよりもいい作品を作ろうと日々奮闘する姿勢には頭が下がりますね。
でも残念ながらこの映画はそんなテイラー・スウィフトの良さも悪さも引き出せておらず、早い話がしょぼいです。
ファンじゃなければそりゃあつまらないだろって思うかもしれないけど、映画として面白いかどうかはファンであるかどうかとは、実はあまり関係ないからね。
例えば、特別エミー・ワインハウスのファンじゃなくても「Amy」は普通に面白いもん。
じゃあこれと何が違うかって言ったら、その人の隙や弱さや人間味や素をどれだけ映し出せるかどうかがカギだと僕は思っています。
少なくともこの映画のテイラー・スウィフトは、ときおり涙も見せるけど、カメラの前で、素の自分を見せたか、または自分の弱さをさらけ出したかといったら疑問に思います。
あくまでも自分寄りのメディアに対する「仕事」をしているだけで、終始気を張っているのが分かるし、格好つけているのが見えるし、早い話がずっとオンですよね。そうじゃなくて気が抜けた瞬間を見せろって思うんですよ。
85分の上映時間のうち、大部分がテイラー・スウィフトがレコーディングをしている当たり障りのない風景を見せるだけだからね。
あれを見ただけで、プライベートまではほとんど密着させてもらえなかったんだなぁ、というのがバレてしまって興ざめします。
なんだよ、あの一人身アピール。男関係一切なしかよ。そんなわけないだろ。私が愛しているのは両親だけです、みたいなクリーンなイメージで行こうとしてるんですか? なんかプロモーションの仕方が日本のアイドルみたいですね。
ああいう感じに来ると、友達として登場する人まで本当はさくらなんじゃないかなって勘繰りたくなるよね。
ライブ映像にしてもちょろっと過去のライブの最中と前後の様子を見せるに留まっており、ヒロインの緊張感や達成感が伝わってきません。
もっとライブのトラブルを追って、それに対して、テイラー・スウィフトがどうリアクションしたとか、異常事態を見せないとなんも意味じゃん。音響さんを罵ってるシーンところとかちょうだいよ。
例えばカニエ・ウエストが授賞式の時にマイクを奪って、テイラー・スウィフトを侮辱したシーンを取り上げるなら、あの舞台裏を見せないと駄目でしょ。どうせインタビューするならテイラー・スウィフトにカニエ・ウエストをディスらせて、どれだけ彼女が怒ってるか見せないと。
そうじゃなしに悲しげに彼女がテレビのインタビューに応じている当時の映像を引用して乗せるってただの寄せ集め映像集じゃん。
政治的立場を表明する下りもほとんどがTV映像をまとめただけに過ぎないですよね。
セクハラを受けた裁判について取り上げる場面ではそもそも絵がないからなのか、相手に訴えられることをびびってるのか、アニメになってたしね。
手元に大したオリジナルの映像がないのにミュージシャンに忖度してドキュメンタリーを作ろうとすると、結局、こういう作品になるよね。
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