ちょっとオシャレ風に仕上げている黒人家族ドラマ。悪くはないけど、良くもない、わざわざ映画館で見なくてもいいかな、という作品です。52点(100点満点)
WAVES/ウェイブスのあらすじ
タイラー・ウィリアムズは高校でレスリングに励んでいた。彼には厳しい父親と優しい義母。そして妹のエミリーがいた。
レスリングチームでは才能あふれる選手だったが、タイラーは日々の練習の中で肩に違和感を覚えていた。しかし痛み止めを飲んでごまかしながら練習や試合に出ていた。
ある日、病院に検査に行くと、関節がひどく損傷していることを知り、今すぐ手術を受けなければならないことを知る。しかしレスリングのシーズンは始まったばかり。今手術を受けると、シーズンを棒に振ることになり、期待してくれている両親をがっかりさせることになる。
そこでタイラーは怪我を隠して試合に出場する。ところがそのせいで取り返しの付かない大けがを負ってしまう。
落ち込む彼の心の支えとなったのは恋人のアレクシスだった。しかしまもなくタイラーはアレクシスが妊娠していることを知り、彼女に中絶を勧めるものの、アレクシスがそれを拒否したことで物事は思わぬ方向へと進んでいく。
WAVES/ウェイブスのキャスト
- ケルヴィン・ハリソン・Jr
- テイラー・ラッセル
- ルーカス・ヘッジズ
- アレクサ・デミー
- レネイ・エリース・ゴールズベリイ
- スターリング・K・ブラウン
- クリフトン・コリンズ・Jr
WAVES/ウェイブスの感想と評価
「イット・カムズ・アット・ナイト」、「クリシャ」のトレイ・エドワード・シュルツ監督による青春家族ドラマ。
ティネイジャーの兄妹の目線で、裕福な黒人家族の苦悩を描いていく、アート系作品です。
前半は、レスリングに熱中する少年タイラーを主人公に話が進みます。タイラーはある日、選手生命を奪うほどの大けがを負い、自暴自棄になり、またそんなときに恋人を妊娠させてしまい、さらに大きなトラブルに巻き込まれていきます。
それに対して後半は、妹のエミリーが主人公となります。エミリーはレスリング部の少年ルークと仲良くなり、恋に落ち、彼を通じて自分の家族を見つめ直していく、というのがストーリーの流れです。
兄のタイラーがやらかしたことにより、家族が崩壊の危機に立たされ、やがて妹のエミリーをはじめ、両親が少しずつ立ち直っていく様子が描かれており、家族の転落と再起のドラマといっていいでしょう。
綺麗な映像とノリのいい音楽を多用しているのが特徴で、カメラワークも凝った取り方をしているのが分かります。
ただし、音楽の使い方にしても、カメラワークにしても、多少のしつこさがあり、受け入れる人とそうでない人に分かれそうですね。
僕は前半のBGMは少し耳障りに感じました。ほぼミュージックビデオかよっていうぐらい、ずっと音楽が流れているので、ストーリーの邪魔をしちゃってるんですよね。
あれについてはもうちょっと大事なシーンだけ音楽を使ってメリハリをつけた方が良かったんじゃないかと思いましたね。
カメラワークについてはとてもスムーズで格好いいです。でも360度カメラで撮ったようなクルクル回る映像はいらないかなぁ。
一方で黒人家族を裕福な設定にしているのが珍しく面白いなあと感じました。
黒人=貧乏で教養のない不良みたいな描き方をするのではなく、金持ちの教育パパママに育てられた、という背景はなかなか見ごたえがありました。
しかしそれならそれでタイラーをもっと分別のある少年にしてもよかったですよね。
金持ちで、スポーツに長け、ピアノまで弾ける一見エリート風のキャラにしているのに道を踏み外すときは、もろ乱暴な不良黒人少年に成り下がってしまうのは残念ですね。彼女を妊娠させておいて暴走するなんてただのアホじゃないですか。
ただ、タイラーがどんどんアホになっていく様子こそがこの映画の最大の見所だったともいえなくもないです。
レスリングの夢が途絶え、恋人を妊娠させたことで、将来まで危うくなったタイラーが、なんとかして彼女を中絶させるために正気を失っていく下りが一番ハラハラしました。
それに対し、後半エミリーが主人公になると、興奮や危険な香りはなくなり、ただの甘い青春家族ドラマへと化していきます。正直、後半は退屈でしたね。
見せ場といえば、エミリーと父親がお互いの感情を打ち明け、涙するシーンぐらいでしょうか。それ以外は特になかったなぁ。
エミリーとルークの恋は可愛らしいんだけど、話があまり広がっていかず、挙句の果てにはルークの物語が中心になっていくような気配すらあり、どっちが主人公が分からなくなってしまいます。
また、最後はルークが憎んでいた父親と向き合っていく姿を目撃したエミリーが立ち直っていき、同時に両親も再起を図るという無理やりなハッピーエンドになっていましたね。
本当は美しく終わりたかったんでしょうが、どちらかというと感動よりも悲劇が伝わってくるストーリーなので見終わった後、心と体が重くなりました。
それぞれキャストの演技は上手なので、見れない映画じゃないけど、全体的にはまあまあでしたね。
コメント
店内のインテリアや食器のセンス、料理の盛り付けや、適度に心地の良いBGM、ルックスが良くて育ちが良さそうな美男美女の給仕等の要素が組み合わさって、お洒落で心地よい雰囲気を醸し出しているレストランなんだけれど、肝心の料理の味(脚本)だけはファミレス・レベル、といった印象の作品。
あまり料理の味に拘りがなく、雰囲気だけで騙せる様な女をデートに誘うには格好の店的な。
映像がメインで、PVみたいな映画ですよね。雰囲気に騙される人はいそう。
思っていたよりチャラチャラしていない重めの作品で、ストーリー的には新しいものはそう無かったように思いますが最後まで見られました。
ただやはり映像や音楽はキラキラしすぎて、おばさんには少し見にくかったですw
確かにキラキラでしたね