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レ・ミゼラブルはエキサイティングな映画!感想とネタバレ

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この記事は 約5 分で読めます。

芸術性だけでなく、娯楽性も兼ね備えた完成度の高いフランス映画。脚本や音楽だけでなく、撮影の仕方、音楽の使い方も上手く、エキサイティングな作りになっていました。73点(100点満点)

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レ・ミゼラブル(2020年)のあらすじ

フランス、パリでは国民がワールドカップ決勝戦の観戦のために外で集まっていた。見事優勝を果たしたチームは、国民を歓喜の渦に巻き込んでいた。

国民と一言でいってもフランスには多くの人種、文化、宗教が存在し、地域によって根強い格差社会の問題が広がっていた。

ヴィクトル・ユゴーの小説「レ・ミゼラブル」の舞台にもなったパリの郊外の街モンフェルメイユはそんな状況を象徴するような場所だった。

ある日、警官のステファン・ルイスはモンフェルメイユの犯罪防止班に加わった。彼は上司のクリス、同僚のグワダと共に治安の悪い地域のパトロールに当たる。

そこでは複数のギャングたちがお互いを警戒している緊張状態にあった。ある日、ジプシーのサーカスのリーダーであるゾロがライオンの子供を盗まれたといって仲間を引き連れ、「市長」の呼び名で知られるスラムの黒人リーダーを問い詰めにやってきた。

ライオンを盗んだのは黒人の男だったといって今にも乱闘になる勢いだった。そこに警官のクリスをはじめ、ステファン・ルイス、グワダの三人が割って入っていく。

殺し合いにも発展しそうな緊張状態を見て、グワダ、ステファン・ルイス、グワダの三人はライオンの子供を探すことにする。

すると、ライオンはイッサという名の少年が盗んだことが発覚する。警察は事件がギャング同士の抗争の引き金とならないようにイッサを捕まえて事を穏便に処理しようとするものの、イッサを逮捕しようとしたところ不良少年たちに反撃を受けてしまい、事件は思わぬ方向へと進んでいく。

レ・ミゼラブル(2020年)のキャスト

  • ダミアン・ボナール
  • アレクシス・マネンティ
  • ジェブリル・ゾンガ
  • ジャンヌ・バリバール

レ・ミゼラブル(2020年)の感想と評価

ラジ・リ監督による、パリ郊外の街を舞台にした、ギャングと警察によるクライムドラマ。2020年アカデミー賞国際長編映画賞のノミネート作品です。

人種、宗教などで分断されたスラム街で生きる人々に焦点を当て、それぞれのギャングたちの力関係によって成り立っている社会を警官の目線で追っていく物語で、リアリティーと迫力に満ちた内容に仕上がっていました。

いわゆるフランス映画風のスローな展開とは違って、要所要所にアクションを盛り込んでいるため、テンポがいいので、欧州映画が苦手な人でも見れるはずです。

複数のギャングやギャングの予備軍ともいえる不良の子供たちが共存するモンフェルメイユの風景は、普段世界に発信されるフランスの風景とは全く違います。

一見、日本の団地のような集合住宅に見えるものの、中に入っていくとそこには不法移民、売春婦、泥棒、ギャング、そして普通の家族たちが入り乱れるカオスな場所になっていました。

そんな場所の治安を取りまとめるのが三人の若い警官たちで、彼らは警官というだけでなく、ギャングのリーダーたちとも面識があり、普段からそれぞれのグループとコミュニケーションを交わし、トラブル処理の橋渡し役としても機能しています。

ギャングのリーダーたちは建前上、平和的に警察と交渉をしたり、話し合いの場を持ったりしますが、心の底では憎しみを持っていて、またいつか報復してやろうといった復讐心も垣間見えます。

警察に対する彼らの怒りはどこか社会に対する怒りとも解釈できそうです。移民ということで差別を受け、社会の外に日々追いやられていく中で、いつ爆発してもおかしくないような感情を胸の内に秘めている者も少なくないでしょう。

そんなモンフェルメイユの人々の不満や怒りを前半で紹介しつつ、ラストで一揆に火山が噴火するかのように暴動を起こす、というのがストーリーの流れになっていました。

ある意味それは小説「レ・ミゼラブル」が描く、フランスの歴史で度々起こってきた革命や暴動に重なるものがありますね。

ただ、予告動画を見る限りではゴリゴリのギャング抗争の話になるのかと思いましたが一味も二味も違っていましたね。特にラストの暴動シーンは意外性に満ちていました。

というのも怒りを爆発させたのがギャングたちではなく、彼らに下にいた子供たちだったからです。

一方でもうちょっと規模の大きい暴動や抗争を期待していましたが、どこか「ぼくらの七日間戦争」的な大人と子供の戦いにも見えなくもなかったです。もっとドンパチパチやっても良かったんじゃないかなぁ。

あと、治安の悪さは感じたけど、レ・ミゼラブルいうほどの悲惨さはあまり伝わってこないかなぁ。なんだかんだいってみんな普通に家があって生活しているからね。

三人の警察官たちはそれぞれ性格、人種、キャラがバラバラで、三人の関係性もなかなか見ごたえがありました。演技も良かったです。

一番のサプライズは少年イッサのキャラクターでしたね。最初は普通の悪ガキにしか見えなかったけど、ラストに見せるイッサの表情や人相は犯罪ドラマというより、ホラー映画に近いものがありました。

あそこまで雰囲気を変えられるってすごいな。ゴム弾でイッサが顔を撃たれたときの傷や腫れもリアルでしたねぇ。

また、アフリカ系の移民の女性たちが「頼もし」のようにお互いの掛け金を集めるシーンがあったけど、ああいう細かい習慣、文化を表現する一コマもいいですね。

アフリカ諸国に「頼もし」文化が一般的なのかどうかは分かりませんが、不法移民だとお金が銀行から借りられないだろうから、ああやってコミュニティーでお金を集める、というのは結構ある話ですよね。ああいう一コマが妙に細かくて、リアルでした。

監督のラジ・リは実際、モンフェルメイユの出身で、今も住み続けているそうなので、実際ああいう光景を普段から目にしているんでしょうね。

コメント

  1. 通りすがり より:

    リベラル系政治家・文化人、チープレイバーを安易に欲した近視眼的な経済界が犯した「移民政策の失敗」のツケを、現場の警官が押し付けられているのが気の毒に見えた。