つまらないって言ったら、君には芸術が理解できないんだろ、と迫害を受けそうな映画。ただの駄作です。22点(100点満点)
ペイン・アンド・グローリーのあらすじ
かつて売れっ子映画監督だったサルバドール・マロは肉体的および精神的危機に陥っていた。もはや映画を撮ろうという気にはなれなかった。
そんなある日、サルバドール・マロの過去の作品Saborがリマスターされ、上映されることになり、それをきっかけに疎遠だった出演俳優のアルベルト・クレスポと数十年ぶりに再会する。
サルバドール・マロは当時ヘロインを使って撮影に臨んでいたアルベルト・クレスポの演技を認めていなかったが、月日が経った今では彼のパフォーマンスも評価に値すると思うようになっていた。
皮肉にもサルバドール・マロはアルベルト・クレスポと再会したときに自分もヘロインに手を出してしまう。ヒロインは慢性的な背中の痛みも紛らわしてくれた。
ヘロインを使うと、サルバドール・マロには昔の記憶が鮮明に蘇ってきた。幼少時代貧しくて洞窟のような家に移り住んだときのこと。彼は読み書きのできない青年エドゥアルドに子供ながら文字を教えるようになった。
父親は飲んだくれでサルバドール・マロの面倒を見なかった。母親は感情的だったが、優しかった。
サルバドール・マロは昔の作品のリマスター版の上映をきっかけに自分に影響を与えた人々との思い出の糸をたどっていくのだった。
ペイン・アンド・グローリーのキャスト
- アントニオ・バンデラス
- ペネロペ・クルス
- アシエル・エチェアンディア
- レオナルド・スバラグリア
- ノラ・ナバス
- フリエタ・セラーノ
ペイン・アンド・グローリーの感想と評価
「ジュリエッタ」、「私が、生きる肌」、「抱擁のかけら」などで知られるペドロ・アルモドバル監督による、退屈なマザコン&同性愛ドラマ。
監督本人の体験とフィクションを織り交ぜた、主人公と母親や初恋の相手との思い出などを回想していく物語です。
ストーリーは、落ちぶれた映画監督が、昔の自分の作品が再び劇場公開されることになったのをきっかけに、ヘロインに溺れ、過去の美しい思い出を振り返っていく、という流れになっています。
ほかのアルモドバル映画と同じで、母親に対する愛情と同性愛がストーリーのベースにあります。それはいいとしても起承転結が弱く、娯楽性に欠けるため、退屈で仕方ないです。
最大の問題点は、ストーリーテリングや構成がぐちゃぐちゃな点で、何を一番描きたいのかがはっきりしないことです。
亡くなった母親を描きたいのか、少年時代の性の目覚めをノスタルジックにつづりたいのか、あるいは昔の元カレとの美しい記憶が恋しいのか、物語の核となるテーマが伝わってきません。
ストーリーに大したアップダウンはないし、それぞれのエピソードが一本の線でつながるわけでもなく、いずれも中途半端になっていました。
その全てが監督にとっては大事な出来事なんだろうけど、あまりにも話が個人的すぎて、アルモドバルのバイオグラフィーに興味がある、あるいはすでに知っている人じゃないとそれぞれのシーンにピンと来ないでしょう。
その一方でファンじゃない僕からしたら結構どうでもいい話が続くだけでした。回想シーンなんか特にひどいよね。あれで母親の何を見せたいんだろう。フォーカスが定まっていないから母親役のペネロペ・クルスもろくに生かしきれていません。
かといって少年時代の監督自身の子役も印象が薄く、年上のお兄ちゃんの裸を見て気絶するシーンぐらいしか記憶に残らなかったです。
あの子は熱中症で気を失ったのか、お兄ちゃんのちんちんを見て興奮して気絶したのかどっちなんですかね。たとえ同性愛の気があったとしても気絶しなくてもいいよね。
なぜかこの映画は海外ではかなりの高評価を得ていて、アカデミー賞国際長編映画賞と主演男優賞(アントニオ・バンデラス)にノミネートされています。
きっとアルモドバルという権威に振り回されてるんでしょう。とりあえず巨匠が映画を撮ったら、ノミネートさせておけばいいみたいな風潮絶対あるでしょ。
アントニオ・バンデラスの演技も平凡だったし、同性愛キスシーン以外、特にインパクトのある仕事したとは思いませんでした。あのキスシーンにしても必然性がないしね。
全体的にいまいちポイントが掴めない映画でした。まあ、スペイン映画ってホラーやサスペンス以外だとそんなのばかりなんですが。
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