イケメン漁師が逃亡中にダウン症の青年と美女と出会って家族になる、というありえない物語。バディームービーとロードムービーをミックスしたポンコツ映画です。30点(100点満点)
ザ・ピーナッツバター・ファルコンのあらすじ
両親に捨てられたダウン症の青年ザックは養護施設で生活していた。彼はプロレスが大好きで、よく人気選手ソルト・ウォーター・レッドネックの試合映像を見ていた。
いつか自分もソルト・ウォーター・レッドネックのようになりたいと夢見るザックは、ある日養護施設から脱走する。
一方、漁師のタイラーは盗んだカニを売って金を稼ごうとしたために地元の漁師たちから目を付けられていた。
漁師たちとトラブルになった腹いせにタイラーは漁師たちが漁に使う道具などをまとめて燃やしてしまう。これによって命を狙われることになったタイラーはボートに乗って逃亡を図ろうとした。
ところが同じボートには見知らぬ青年ザックが紛れ込んでいた。こうしてひょんなことから二人の逃亡者は出会い、それぞれの目的地まで逃避行を続けていくのだった。
ザ・ピーナッツバター・ファルコンのキャスト
- シャイア・ラブーフ
- ダコタ・ジョンソン
- ジョン・ホークス
- ザック・ゴッサーゲン
- ブルース・ダーン
- ジョン・バーンサル
ザ・ピーナッツバター・ファルコンの感想と評価
タイラー・ニルソンとマイケル・シュワルツが共同監督した、ダウン症の青年とならず者の友情を描いた、エセハートフル人間ドラマ。
「ハックルベリー・フィンの冒険」を現代風にしたストーリーでアメリカでは高評価だったようですが、リアリティーはないし、ストーリーは雑だし、ファンタジードラマに近い、甘ったるい話です。
天使のようなピュアな心を持つ障がい者をネタにしていて、感動狙いのシーンは少ないものの、感動ポルノ寄りの作品であることには違いないです。
ザ・ピーナッツバター・ファルコンとは、ザックが自分につけたプロレスのリングネームで、物語はなにかとプロレス好きのザックのひたむきさや可愛らしさをアピールしてきます。
障がい者とイケメンが一緒に旅をする、という点においては「レインマン」と似ていますね。身寄りのいないダウン症の可哀想な男の子を登場させている、という点においては「チョコレートドーナツ」を彷彿とさせますね。
ただ、「レインマン」はまだ主人公二人が兄弟だし、弟のほうにはっきりとした目的、あるいは下心があるから行動を共にする理由がありましたが、この映画の場合、ならず者のタイラーがダウン症のザックと一緒にいる意味が全くないんですよね。
タイラーはチンピラたちに命を狙われ逃亡中。それに対してザックは養護施設から飛び出し、憧れのプロレスラーが運営するレスリングスクールに入るために南を目指します。
しかしそんな二人はお金を持っておらず、ザックについてはパンツ一丁で施設を飛び出してきたという無茶苦茶な設定になっており、それなのに旅路で必要なものは全てなんとかなる、という夢物語になっていました。
また、二人の間に美女エレンノアが割り込んで来る下りも「レインマン」っぽいですね。
そんでもって養護施設で勤務し、教育があって、奇麗な格好をした彼女がチンピラに命を追われ、何日も風呂に入っていないような、うす汚いタイラーに惚れるっていうのに無理がありますね。絶対臭いだろ、あの男。それもエレンノアは未亡人ってものすごい都合のいい設定ですね。
最終的に三人は疑似家族的な関係になっていき、運命的な出会いを果たした人間たちの間に芽生えた、現実感のない友情と愛情をこれでもかというほど美しく描いているのには呆れるしかなかったですね。
プロレス関係のエピソードはもれなく嘘っぽかったですね。ザックがプロレスラーに憧れているところはいいとしても、憧れのプロレスラーと案外簡単に会えちゃったり、挙句の果てにはすぐに地下プロレスにザックが出場できちゃったり、と夢がトントン拍子に叶っていく様子が寒かったです。
結局みんないい人っていうのにも面白い味を感じませんね。あれでタイラーが最後に死んでくれてたらまだ自業自得、因果応報ストーリーで終わっていたけど、それすらもハッピーエンドにしちゃってるからね。残念だわー。
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