カンヌ映画をはじめ、イタリア国内で高い評価を受けたクライムドラマ。最後だけはしっくりこなかったけど、全体的には十分に見る価値のある作品です。67点(100点満点)
映画ドッグマンのあらすじ
体が小さく、気の弱いマルチェロは、海岸沿いのさびれた町でペットのトリマーをして生活していた。彼にとってはお客さんの犬たちと一人娘が宝物だった。
お人よしマルチェロは地元の人たちから好かれていた。しかしそんな彼の性格に付け込む男がいた。シモーネだ。
シモーネは図体がでかく乱暴者で、暴れたら手が付けられなかった。地元の人々もトラブルメーカーの彼のことをみんな鬱陶しいと想っていた。
しかしマルチェロは気が弱いこともあって、シモーネに言われるがまま犯罪に加担させられることもしばしばだった。シモーネのためにコカインを仕入れて来ては、なんとか彼の機嫌を取るのだった。
ところがそんなある日、シモーネはマルチェロの隣の店に侵入しようとマルチェロに持ち掛ける。隣の店はしかしマルチェロの友人の店だった。
シモーネはいくら断っても聞き耳を持たず、マルチェロを暴力で脅した。マルチェロは仕方なく、店のカギをシモーネに渡して好きにさせた。すると、翌日には大騒ぎになり、あろうことかマルチェロが逮捕されてしまう。
映画ドッグマンのキャスト
- マルチェロ・フォンテ
- エドアルド・ペーシェ
- ヌンツィア・スキャーノ
- アダモ・ディオニージ
- フランチェスコ・アクアローリ
映画ドッグマンの感想と評価
「ゴモラ」のマッテオ・ガローネ監督による犯罪ドラマ。カンヌ映画祭でマルチェロ役を演じたマルチェロ・フォンテが主演男優賞を受賞した作品です。
映像とロケーションと演技が素晴らしく、芸術性と娯楽性の両方を兼ね備えた内容になっています。
ストーリーは、ジャイアンのような街一番の暴れん坊に、街一番の小柄なのび太君風のおじさんが散々振り回され、犯罪にまで加担させられ、最後は復讐へと駆り立てられる様子を描いていきます。
主人公のマルチェロは優柔不断で、無計画で、何がしたいのか分からない行動を重ねるため、とても共感できませんでした。
ことごとく大事な場面で決断を誤り、できるだけ温和に物事を済ませようとヘラヘラしてその場を乗り切ろうとするせいで、ドツボにはまって犯罪の世界から抜けられなくなる不運で間抜けなキャラクターでもあります。
もしかすると、皆が知り合い同士の貧しい田舎町で平和に暮らするには、悪い奴らとも関わらざるを得ない背景があるのかもしれません。
逃げ場のない閉鎖的なコミュニティーの中で、気の弱い男が生き延びるには、愛想をふりまいたり、強い者に服従しなくてはならないときも多々あるのでしょうか。
それにしてもマルチェロの判断力のなさやアホさ加減には、呆れるしかなかったです。しかし同時に妙なリアリティーがあるのも事実ですね。
なかなか映画の主人公にはいないキャラだし、小心者のくせに変な場面ではとんでもない度胸と根性を発揮するアンバランスさがいいです。
嘘みたいな話だけど、これ実話が基になっているんですね。シモーネみたいなめちゃくちゃする奴が実在したら嫌だなぁ。
気に入らなかったら暴力で解決するけど警察にはなぜか捕まらない。義理人情一切なしで、仲間意識もゼロ。でもお母さんには頭が上がらないってリアルジャイアンじゃないですか。ストーリー的にはわかりやすくて、ものすごくいいキャラしてたけど。
実話ベースということもあってか、ラストシーンまではずっとリアリティー路線をひた走ります。しかしラストだけはドラマチック、あるいは不条理ドラマ風にしすぎたところがあって、もったいなかったです。
ラストだけでも結構な時間を費やしてたし、引っ張ってましたよね。もっとすっと終わっても良かったかなぁ。
ストーリーは結構早い段階で読めるし、そもそもポスターがネタバレを含んでるんですよね。
だからどういうふうに終わるとかはそれほど重要じゃないのかなとも考えられそうです。それよりもむしろ不幸と負のオーラをまとった、あのさびれた町で起こる人間模様を堪能すべきなのでしょう。
ロケーションは格好良すぎて文句なしです。よくもこんな場所見つけて来たなあ、と思いました。
イタリアにあんな場所あるんだなあ、というぐらい廃れていて、場末感がやばいです。ビーチがあるのに全然人気がないし、建物がもれなく廃墟みたいで映画としては最高の絵になっていました。
あのロケーションを選んだ時点で勝負あり、という感じがしましたね。絶対に住みたくはないけど。
コメント
観ました。内容は、う~ん、、、でした。
けど、ロケーションだけ本当に良かったです。
う~ん、でしたか。それは残念です。ロケーション、本当いいですよね。