ストーリーもオチもない、しょぼしょぼSFホラー。ゾンビが出てこないゾンビ映画で、登場人物がただ逃げるだけのお話です。17点(100点満点)
映画ハプニングのあらすじ
ある日、ニューヨークのセントラルパークで突然次々と大勢の人々が自殺を図る。それを皮切りにニューヨークの街でも飛び降り自殺をする人が急増し、街は大パニックに。メディアはテロによる化学兵器の攻撃ではないかと報じた。
まもなくアメリカ北東部で動揺のケースが広がり、フィラデルフィアの高校教師エリオットは妻のアルマと友人の親子ジュリアンとジェスと一緒にハリスバーグに避難することに。ジュリアンの妻は後からハリスバーグで落ち合うことになっていた。
しかしハリスバーグ行きの列車は途中小さな町で運行を停止し、4人は列車を下ろされてしまう。
ジュリアンが妻と連絡を取ると、彼女はハリスバーグ行きの電車に乗ることができなかったという。心配になったジュリアンは娘のジェスをエリオットとアルマに預けて、自分だけヒッチハイクした車に乗って妻を探しに行くことに。
ところがジュリアンが向かった先はすでに人々を自殺に追い込む毒素で覆われていた。一方、エリオット、アルマ、ジェスは夫婦の車に乗せてもらい、安全場所に逃げようとしたが、道に死体が転がっているのを目撃し、逃げ道は塞がれてしまうのだった。
映画ハプニングのキャスト
- マーク・ウォールバーグ
- ズーイー・デシャネル
- ジョン・レグイザモ
- アシュリー・サンチェス
- スペンサー・ブレスリン
- ベティ・バックリー
映画ハプニングの感想と評価
「シックスセンス」、「アンブレイカブル」、「ヴィジット」、「スプリット」、「ミスター・ガラス」、「サイン」、「ヴィレッジ」などで知られるM・ナイト・シャマラン監督のしょうもないパニック映画。
ある日、突然アメリカの一部の地域が得体の知れない毒やら菌に感染し、人々が自ら死にたくなる症候群にかかる様子を描いた間抜けな話です。
いわゆる人類滅亡系、感染系、パンデミックホラーで原因不明の現象から逃げ惑う登場人物の様子をスリリングに描きたかったんだろうけど、中身がなさすぎて、どこをどう怖がればいいのか分からない代物です。なにより何も起こらないのにタイトルが「ハプニング」っていうのが最高の皮肉ですね。
実はこの映画、昔のこのブログで一度紹介してるんですよ。でもあまりにもつまらなかったので感想が3行ぐらいで終わってしまったせいで、ほとんど誰にも読まれずに削除した過去があります。
最近またM・ナイト・シャマラン監督の作品を見返しているので、その一環として今回また紹介し直すことにしました。
しかしながら言いたいことは2008年当時に3行の中で表現したことと今もさほど変わらないです。ぎゅっとまとめると、私の時間を返してください、に尽きます。
そう思わされる最大の理由は、「謎」を最後まで引っ張りながら、結局何の結論も提示しないことじゃないですね。
人々が自殺したくなる原因はテロなのか、放射能汚染なのか、環境汚染か、植物による暴走か、といった可能性を挙げているだけで、どれが答えとも言わないのがダメですね。
おそらく、その答えを視聴者にディスカッションさせるのが狙いなんだろうけど、そもそも科学的根拠も何もないSFの世界の辻褄の合わない設定を討論するほど視聴者は暇じゃないんですよ。
これがまだ伏線やヒントが効果的に使われていて、一つの結論を導くようなストーリーになっていたら話は違っていたんでしょう。
でも実際は、なんだか分からないけど怖いから逃げようよっていう登場人物の一日を映したに過ぎないんですよね。
挙句の果てには科学者がテレビに出演して、「答えは誰にも分かりません」とか言っちゃてるからね。そんなことをストーリー上の”専門家”が言い出したら、視聴者が真相について考えようってならないじゃないですか。
でもこんな映画に対してもちゃんとセオリーを打ち出している暇なファンはいて、やれ人類が規定数を超えたから神が間引きしたんだとか、やれ聖書に基づいてるとか、よくもまあ直接描写がされていないことを想像を膨らませて、あることないこと言えるなあと感心しちゃいますね。
ただ、この映画に関しては大部分の人は別に答えなんてどうでもいいっていう派じゃないかな。だってつまらないから。
キャストの演技もひどいですね。マーク・ウォールバーグは感情がこもってないし、ズーイー・デシャネルは終始ヘラヘラしてるし、緊迫した状況がてんで伝わってきませんでした。
それもこの脚本じゃあ仕方がないのかなあ、とも思えますね。だって何に対して逃げ惑ってるのかが分からないんだから演技するほうもノレなかったのかもしれませんね。
ジュリアンが娘を一人置いて自分だけ妻を探しに行く下りもありえないですよね。生きるか死ぬかの状況で自分の子供を置いていく父親がどこにいるよ。
車の席がないっていうのが言い訳だったけど、膝の上に座らせればいいじゃん。そんなに車内もぎゅうぎゅうじゃなかったしね。
途中で出てくる気味の悪いおばあちゃんとか全くいらないです。怖いシチュエーションを増やすために苦肉の策として登場させた感じがして、苦しくなりました。
最後はちゃっかりエリオットとアルマが友人の娘ジェスを我が子のように育てちゃってるし、あんな感じで簡単に友達の子供って養子にできるんですか?
さて、毎回好例の監督によるカメオ出演ですが、本作ではアルマに言い寄る男性ジョーイをM・ナイト・シャマラン監督本人が演じていました。つまり電話の声だけの出演です。アルマにうざがられてたのが笑えました。
そういえば意図的にところどころ笑いを狙ってるみたいなシーンもあって、見事に滑ってましたね。エリオットが植物に話しかける下りとかね。そんなのいらないからもっと怖がらせてよ。
唯一の救いは、90分にまとめてくれたことでしょう。これが3時間あったらそれこそ耐え切れなくて壁に頭ぶつける人が出てますよ。
コメント
私はこの作品大好きです。もっと素直に捉えれば?
ナイス辛口!
好きな映画ですが指摘ごもっとも。
好きなポイント
・90年代LGBT映画でドラッククイーンを演じたジョン・レグザイモがみられて嬉しかった
・女優の着こなし
・他には無い