M・ナイト・シャマラン監督の数少ない面白い作品のひとつ。オチも含めてストーリー展開がしっかりしていて、飽きることなく、最後まで見れる映画です。60点(100点満点)
映画ヴィレッジのあらすじ
深い森に囲まれた村コヴィントンは、自給自足のコミュニティーとして成り立っていた。
村人たちは森に住む得たいの知れない怪物に怯えながら生活し、森を抜けて村を出ることを固く禁じられていた。
ある日、7歳の少年が亡くなったことをきっかけに無口の青年ルシアス・ハントは、村を取り仕切る年配者たちに近隣の町から薬を持ってくる許可を得ようとしたが、あっさり断られてしまう。
年配者たちは若い村人たちに対して何かを隠している様子だった。ルシアス・ハントの家にある黒い箱にも秘密と関係がありそうだったが、もちろん箱にはかぎが掛かっており、中を覗くことは禁じられていた。
森に怪物が現れると、ルシアス・ハントは真っ先に村人たちの安全を守ろうと行動した。彼は盲目のアイヴィー・ウォーカーのことも決して忘れなかった。やがて二人は強く惹かれ合うようになり、結婚を誓うが、その直後二人の前に予想だにしなかった悲劇が訪れる。
映画ヴィレッジのキャスト
- ブライス・ダラス・ハワード
- ホアキン・フェニックス
- エイドリアン・ブロディ
- ウィリアム・ハート
- シガニー・ウィーバー
- ブレンダン・グリーソン
映画ヴィレッジの感想と評価
「シックスセンス」、「アンブレイカブル」、「ハプニング」、「ヴィジット」、「スプリット」、「ミスター・ガラス」、「サイン」などで知られるM・ナイト・シャマラン監督による、ある秘密を共有しているコミュニティーをテーマにしたミステリードラマ。
M・ナイト・シャマラン監督にしてはホラー要素が少ないの対し、ストーリー性とドラマ性に富んだ内容になっています。
海外では散々な評価を受けたようですが、僕は結構好きですね。閉鎖的なコミュニティーというテーマは一見特別な時代の特別な場所のようでいて、実は社会や世界の縮図を映していますよね。
今の時代でも自給自足で閉鎖的なコミュニティーなんていくらでもあるし、独自の掟や情報の中で生きている人たちという観点でいえば、日本人だってあまりこの映画の登場人物と変わらないような気がします。
人間なんてだいたい自分の持っている知識や情報が正しいと信じて生きているものなので、おとぎ話のようでいて、それほどかけ離れた世界を描いているとは思えませんでした。
なにより話が読めないのがいいし、ラストのサプライズにもまんまとはまりましたね。オチに対しては、「そんなバカな」という反応と、「騙されたー」という反応の両方がありそうですね。僕は後者でした。
ラストはオチやサプライズというよりも、それそのものが物語のテーマとも言えるし、なかなか味わい深かったです。
最初は、モンスターがなんでローブを着てるんだよ、とか突っ込みながら見てたけど、それがちゃんと伏線になっていて、終盤まで「秘密」が上手く機能していたのがよかったと思います。
キャストもなかなか豪華ですね。盲目の少女はブライス・ダラス・ハワード。無口な青年はホアキン・フェニックス。知恵遅れの青年はエイドリアン・ブロディ。そして年配者の中にはウィリアム・ハートとシガニー・ウィーバーまでいます。
ブライス・ダラス・ハワード演じる盲目のアイヴィーは、目が見えないのにかなり無茶するし、森の中を走り回ったりして、お前絶対見えてるだろと言いたくなる、ちょっと強引な設定のキャラとパフォーマンスでしたが、それ以外の面子は、なかなかいい仕事してますね。
劇中に使われている色にも様々な意味が込められてそうな感じがしましたね。赤色は危険を象徴していると言われ、恐れられていたのに対し、黄色はその対比として用いられていたような印象も受けました。
果たして黄色は安全や保護を意味していたんでしょうか。それとも無知の象徴であったようにも受け取れそうですね。
アイヴィーは暗闇の中でも色が見えるといっていましたが、彼女が愛するルシアスに何色を見てたのかも気になるところです。最後まで明かしてくれなかったけど、案外、蛍光のピンクとかだったりして。
一番好きなシーンは、お姉ちゃんが相手の気持ちも考えずに結婚をお父さんに報告しちゃう下りですかね。ああいう思い込みの激しい子いそうで怖いもん。また、あの思い込みが村人の生き方ともリンクしていましたよね。
ちなみに分かりにくいものの、この映画でもM・ナイト・シャマラン監督がカメオ出演してますよ。
終盤に出てくる新聞を読みながら部下に指示する警備員がそうです。ほかの映画と違ってかなり控え目なカメオにしてあるのもなかなかシャレてますね。
映画ヴィレッジの盗作疑惑について
この映画、実は盗作疑惑まで出ているそうですね。そういう話を聞くとがっかりしちゃう人も少なくないんでしょうか。僕は面白ければあんまり気にしないかなぁ。
僕もたまにこれパクリだろ、ふざけんなって言うときありますよ。でもそれはつまらない場合に限ります。
映画なんて「面白い」が正義だと思ってます。パクリでもオリジナルを超えたらそれがオリジナルになってしまう、というのが常だからね。
ライオンキングを見る度にジャングル大帝レオのパクリだって外国人は誰も思わないでしょ。超えられちゃったってことですよ。
そもそもパクリとモチーフとオマージュの境界線ってなんだよって話だし、難しい問題ですね。でもシャマランもいつか訴えられて有罪になったらそのときは潔く払おうね。
コメント
これは面白かったですよね。
シックスセンスより怖過ぎずに、それでいて一定の緊張感があって、ストーリーもオチもしっかりしていて、好きな映画です。
後半、盲目の女の子1人だけに託されてしまって、お前らどんだけ薄情なんだ!と思って見てました。
男たちの情けなさがいいですね。そんだけ洗脳されてたってことだけど。
オチに対して「非現実的だ」とか怒る人は、アーミッシュとか知らない無教養なんでしょう。
まあ、膨張したオチでしたけどね。アーミッシュでも完全に情報が遮断されてるわけではないので。
映画男さんオススメの数少ないシャマラン作品、やっと見られましたw
私もすっかり騙されましたー。
森やら怪物うんぬんの前に、あの村人たちの何かありそうな胡散臭い雰囲気が種明かしに効いていた気がしました。
シャマランの数少ないサプライズ映画ですね。