鬱陶しくて屁理屈だけど、どこか憎めない男子高校生の青春物語。
ウェス・アンダーソン監督が好きな人にはおすすめできます。そうじゃない人は別に見なくてもいいかなという映画です。48点(100点満点)
天才マックスの世界のあらすじ
マックス・フィッシャーはエキセントリックな15歳の少年。彼は勉強はまるでできないのに対し、複数のサークルを掛け持ちし、そのほとんどでいつも中心的存在だった。
試験の成績は悪いのにかかわらず、奨学金をもらって私立のラッシュモア校に通っている点でも変わっていた。
ある日、マックス・フィッシャーは学校の集会で起業家のハーマン・ブルームの正直で率直なスピーチを聞いて感動した。
ハーマン・ブルームもマックス・フィッシャーと言葉を交わすした途端、とても15歳とは思えぬ自信に満ちたマックス・フィッシャーの振る舞いを見て、彼を気に入り、二人は年齢の差も忘れて良き友人となる。
そんなある日、マックス・フィッシャーは、学校の女教師ローズマリー・クロスと知り合い、片思いを抱くようになる。
その日からマックス・フィッシャーは、ありとあらゆる手段を使ってローズマリー・クロスに好印象を与ようとするが、彼女は彼女で妻子持ちのハーマン・ブルームと不倫関係に陥っていく。
天才マックスの世界のキャスト
- ジェイソン・シュワルツマン
- ビル・マーレイ
- オリヴィア・ウィリアムズ
- シーモア・カッセル
- ブライアン・コックス
- メイソン・ギャンブル
- サラ・タナカ
天才マックスの世界の感想と評価
「犬ヶ島」、「グランド・ブダペスト・ホテル」、「ダージリン急行」などで知られるウェス・アンダーソン監督の青春恋愛ドラマ。
ウェス・アンダーソン監督と脚本を書いた俳優オーウェン・ウィルソンの実体験や学生時代の思い出がかなり反映されている作品です。
主人公マックスのウザキャラとそのほかの登場人物たちの可愛らしさと間抜けさをなんとなく楽しむコメディーで、独特の間と演出によってできた、掴みどころのない話ですね。
好き嫌いがはっきり分かれる映画だし、マックスのキャラをどれだけ許せるかが鍵となってくるでしょう。生理的に無理っていう人がいても理解できます。
マックスは一見、大人っぽくて、ませてて、生意気で、賢そうなんだけど、実は勉強もスポーツも全然できなくて、でもなぜか一部の人たちからはすごい支持されている不思議なタイプです。
得意なことといえば演劇部の脚本や演出を決めることで、どちらというと学問やスポーツではなくアートや感性で生きるほうに向いているようです。
学校で人気者になる男子といえば多くの場合スポーツマンだったり、長身だったり、イケメンだったりするけど、彼の場合はそうではなく、体もひときわ小さく、ハンサムでもなく、特に何も優れていないのにやたらと自信だけはあって、大人に対しても決して物怖じしない鋼のメンタルを持っています。
要するに口だけのハッタリ男子なわけで、根拠のないポジティブな態度がうざいのは確かです。とはいえなんせ15歳だし、根が悪い奴じゃないのが分かるので、だんだん笑えてくるのが不思議でした。
そしてその不動のメンタルを武器にマックスが学校の教師に猛烈にアタックしたり、学校で好き勝手やった末に退学になったりしながらも、前向きに生きていく姿を描いていて、恋、友情、クラブ活動の全てに一生懸命な高校生の微笑ましいストーリーに仕上がっていました。
はっきり言ってバランスは悪いし、まとまりはないし、粗削りの作品ですね。退屈な時間帯は少なくないし、笑いも爆笑できるほどのものではないです。全体的に話が薄いですね。
でもウェス・アンダーソン監督らしさはこの頃からいかんなく発揮されていて、個性的であることは否定できません。音楽の使い方や登場人物の衣装とかは独特のセンス持ってますよね。
一つ好感が持てるのは、ハリウッド映画が描く典型的な男らしさとはまた違った、男性キャラクターを一貫して作り上げてる点ですね。部活でいうところのメジャーなスポーツ部の男子じゃなくて、マイナーな部活をする男子の目線なんですよね。
主役のマックスを演じたジェイソン・シュワルツマンは当時17歳で、演技未経験だったそうです。未経験でいきなりあんな訳の分からないキャラクターを作れるとかすごいなぁ。
ちなみにジェイソン・シュワルツマンはソフィア・コッポラとニコラス・ケイジのいとこで、つまりゴッドファーザーで有名なフランシス・フォード・コッポラの甥っ子です。なんだろうね、あのファミリーは。次から次へとタレント出てくるじゃん。
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