リアリティー番組をネタにした、ちょっと笑えて、なぜか胸が熱くなる不思議な作品。演技とストーリー共に質の高いエンタメ映画です。66点(100点満点)
トゥルーマン・ショーのあらすじ
離島・シーヘブンで、保険会社に勤めるトゥルーマン・バーバンク(ジム・キャリー)は、「おはよう! そして会えない時のために、こんにちはとこんばんは!おやすみ!」が口癖の明るい青年である。
彼は生まれてから1度も島から出たことがなかった。それは、父と一緒に海でボートを漕いでいたときに「嵐が来るぞ」という父の警告を無視して船を進め、嵐を回避できず海に投げ出された父親を亡くしたことで、水恐怖症を患ってしまったためであった。
ある日、彼がいつものように新聞を買ったあと、雑踏の中ひとりのホームレスの老人とすれ違う。それは幼い頃、海に沈み亡くなったはずの父親だった。しかしその直後、老人は瞬く間に何者かに連れ去られてしまう。彼はこの出来事をきっかけに、自分の周囲を不審に感じ始める。
wikipediaより
トゥルーマン・ショーのキャスト
- ジム・キャリー
- エド・ハリス
- ローラ・リニー
- ナターシャ・マケルホーン
- ノア・エメリッヒ
- ホランド・テイラー
トゥルーマン・ショーの感想と評価
「ウェイバック -脱出6500km」や「いまを生きる」で知られるピーター・ウィアー監督による、リアリティー番組のために作られた架空の世界を舞台にした物語。
生まれた時からリアリティー番組の主人公にさせられたトゥルーマンが、自分の住む世界が実は”やらせ”で、街の住人は全員キャストであることに気づき、番組のセットから脱出を図るまでを描いたコメディー寄りの人間ドラマです。
物語の途中でわざとらしい商品の宣伝が流れたり、視聴者の映像が割り込んできたり、爆笑するポイントがあるわけではないんだけど、微笑ましいアイデアで溢れています。
赤ちゃんのときからずっとカメラに追いかけられ、テレビの見世物にされている哀れな男という主人公の人物設定からしてすでに面白いし、コメディー映画なのか、サスペンスなのか、はっきりしない曖昧さもいいですね。
考えようによっては怖い話なのにエキストラたちのあからさまなやらせ行動の数々を見ると滑稽で仕方なくて笑うしかないですもんね。
それで気づいたときにはトゥルーマンを応援しているような演出になっていて、ラストには感動すら覚えるから、すごく不思議なテイストの映画だなあ、という印象を受けます。
公開されたのが1998年というのがポイントで、リアリティー番組が世界で流行り出した頃と重なるんですね。
そう聞くと流行に乗っかっただけのようにも聞こえるけど、今見ても面白いし、生活の全てがコンテンツになるという点においては現代のユーチューバーのようでもあるし、どこに行っても行動の全てを見られているという点においては未来、あるいは現在の監視社会を表しているかのようです。
この映画の主演はジム・キャリー以外に考えられなかったんじゃないかな。この映画を見るまで僕はジム・キャリーのことが大嫌いでした。
ジム・キャリーといえば変顔をして笑わそうとする寒いコメディアンぐらいの印象しかなく、彼の作品はできるだけ避けていたんです。でも、この映画を見てから評価が一転しましたね。
ゴリゴリのコメディー以外の仕事もちゃんとできる俳優だったんだなぁ、と思っては見方が変わったし、今ではむしろコメディーよりも人間ドラマ向けの俳優じゃないかとすら思っています。
他のキャストたちも絶妙なわざとらしい演技をしているのがいいですね。トゥルーマンのローラ・リニーの嘘っぽい演技とか好きです。
あえて演技っぽい演技をする。それをちゃんとできるのがハリウッド俳優たちなんだよねぇ。
あと、このときのナターシャ・マケルホーンはすごい綺麗ですね。彼女は一体どこに行ってしまったんだろう。
トゥルーマン・ショーのトリビア
1、もともとはSFスリラーだった
トゥルーマン・ショーはフィリップ・K・ディックの小説『時は乱れて』からインスパイアされたという説もありますが、もともとはトワイライトゾーンのエピソードから構想を得た脚本家がSFスリラーとして書き始めたのがスタートだったそうです。
それがジム・キャリーが出演することになったのをきっかけにコメディー寄りの話に書き直したという説があります。
2、デニス・ホッパーが出演するはずだった
トゥルーマン・ショーのプロデューサー役にはもともとデニス・ホッパーが出演する予定でした。
ところが撮影を2か月前に控えた直前に降板。首になったか、あるいは自分から降りたのかは定かではありませんが、いずれにしても製作側と意見が合わずに途中でリタイアしています。
そんなときに白羽の矢が当たったのがエド・ハリスで、エド・ハリスはこの作品でアカデミー賞にノミネートされたほか、ゴールデングローブ賞を受賞しています。
3、エド・ハリスとジム・キャリーは一度も会わなかった
トゥルーマンを演じたジム・キャリーとクリストフを演じたエド・ハリスが終盤で対話するシーンはありませんが、実は二人は撮影現場では一度も顔を合わさなかったようです。つまり二人のシーンは別撮りだということです。
4、双子のロンとドンは警察官
トゥルーマンに毎朝挨拶してくる双子のおじさんのロンとドンは実は俳優ではなく警察官。二人は撮影現場の交通整理をしていたところスタッフを仲良くなり、そのまま起用されたそうです。
5、トゥルーマン・ショー症候群が現れた
この映画の影響で上映後、自分はカメラで誰かに一日中監視されているのではないか、テレビ番組に撮られているのではないか、という被害妄想を抱える人が急増したそうです。
そういった症状のことをトゥルーマン・ショー妄想やトゥルーマン・ショー症候群と呼ぶそうです。
さすがにリアリティー番組に撮られてると思う人は少なくても、SNSが急速に広まり、誰もがスマホで動画を撮れるようになった今では自意識が高くなった人々が急増してるので、ある意味軽いトゥルーマン・ショー症候群に陥っていると言えなくもないですよね。
ときどき誰もお前のことなんて撮ってないからって思う人いません?
コメント
トゥルーマン・ショーはめちゃくちゃ好きな映画なので、レビューしていただけて本当に嬉しいです。
ありがとうございます。
ブチギレてもいいはずなのに、こっそりと世界から抜け出そうとして、最後の最後まで役を演じきる、という、主人公のキャラクターがすごく好きです。
応援したくなるキャラでしたね。僕にとっても好きな映画の一つです。